10年の時を駆けて黄金のラインアップでまさかの大復活劇 JOURNEY - TRIAL BY FIRE(トライアル・バイ・ファイアー)

もはやあきらめてた前作からの長い10年間





1986年、高校生だった僕は初めてリアルタイムでJOURNEY(ジャーニー)の新作CDを買うという幸運に恵まれました。
彼らの9thアルバム、RAISED ON RADIO(Raised On Radio〜時を駆けて)です。

 

このアルバムは、ビルボード誌アルバムチャート第4位 アメリカで200万枚、世界で400万枚セールスと、その前の作品ほどではありませんでしたが、まあまあのヒット作となりました。
そして、このアルバムを引っさげ、全米ツアーが始まります。

 

ところが、アルバムのプロモートツアーが終わると同時に、スティーヴが母の死など、さまざまな心労のためジャーニーを脱退します。
そのため、ジャーニーは活動停止。
事実上の解散状態となったのでした。
当時僕は、非常に強く失望したことを覚えています。

 

そんな中、ジャーニーの3人はそれぞれの道を歩み始めます。

 

もっとも活発に活動したのは、やはりジャーニーの中心人物であるギタリスト、Neal Schon(ニール・ショーン)でしょう。
この10年の主な活動を拾えば、まずは、Jonathan Cain(ジョナサン・ケイン)と共に、元THE BABYS(ベイビーズ)のJohn Waite(ジョン・ウェイト)らとともに、BAD ENGLISH(バッド・イングリッシュ)を結成。
1989年には1stアルバム、BAD ENGLISH(バッド・イングリッシュ)、そして1991年には2ndアルバム、BACKLASH(バックラッシュ)をリリース。
ジャーニーの再編、もしくはベイビーズの再編、どちらにもとれるこのバンドは、数多くの名曲を残しました。

 

バッド・イングリッシュ解散後、ニールはJohnny Gioeli(ジョニー・ジョエリ)とJoey Gioeli (ジョーイ・ジョエリ)の兄弟と組んで、HARDLINE(ハードライン)を結成、1992年にアルバム、Double Eclipse(ダブル・エクリプス)をリリースしてます。

 

そんな活動をしながらも、1989年には自身初のソロアルバムLATE NITE(レイト・ナイト)、1995年には2ndソロアルバム、BEYOND THE THUNDER(ビヨンド・ザ・サンダー)をリリース。
また、これ以外にも数多くのアーティストとの競演も果たし、非常に精力的にプレイし続けていました。

 

ジョナサンも、バッド・イングリッシュ解散後に、1995年にはBACK TO THE INNOCENSEPIANO WITH A VIEWといったソロ作品をリリースしています。

 

そしてヴォーカルのSteve Perry(スティーヴ・ペリー)は長い沈黙の後、1994年には2ndソロアルバム、FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE(ストレンジ・メディスン)で音楽シーンにカムバックしています。
その頃のインタビューで「改めてソロとして、自分の音楽を作る過程で、ニールやジョナサンを恋しく思うこともあった」、と語っています。
ジャーニー解散のきっかけは、スティーヴの脱退だったわけで、こうした気持ちの変化に、再結成への布石を感じることができますね。

 

また、この10年間の間、いや、その後もずっとジャーニーがいかにリスナーの心にしっかりと根付いていたか、1988年にリリースされた、GREATEST HITS(グレイテスト・ヒッツ〜永遠の旅)の売り上げに見ることができます。
このベストアルバムは、ビルボード誌アルバムチャートで第10位を記録しますが、その後も毎年売れ続け、1996年の時点でアメリカで400万枚を売り上げていました。
そしてなんと、この記事を書いている時点(2018年3月)でもいまだにアルバムTOP200にランクされており、500週のランクイン(連続ではないようです。)を達成し、いまだに記録更新中なのです。

 

500週ランクインしているのは、937週のPINK FLOYD(ピンク・フロイド)のThe Dark Side of the Moon(狂気)、510週のBob Marley and the Wailers(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)のLegend: The Best of(レジェンド)に続く史上3作目となっています。
そして今時点での売り上げは、アメリカで1700万枚、世界では2000万枚を越えていると言われています。

 

産業ロックなどと揶揄されることもありましたが、やはりジャーニーの優れた音楽は多くの人の心を掴んでいるのです。

 

そしてついに、待ちに待った再結成の噂が飛び込んできます。
それも、ESCAPE(エスケイプ)FRONTIERS(フロンティアーズ)といった黄金期の5人が再び集結したのです。
前述の3人、ニール、スティーヴ、ジョナサンに加えて、ベースのRoss Valory(ロス・ヴァロリー)、ドラムスのSteve Smith(スティーヴ・スミス)の鉄壁の5人です。

 

そして楽曲は、ニール、スティーヴ、ジョナサンという3人を中心とした、黄金期のスタイルで作詞作曲がなされています。
出来上がったこのアルバムは、彼らの本気の度合いを示すかのように、全15曲(日本盤は16曲)トータル75分に及ぶ、超大作に仕上がってます。
それも、カバーなどのない、全曲オリジナルで勝負です。
もう、期待しない理由などはありませんでした。
まさかジャーニーが復活するなど夢にも思っていなかった僕には、最高のサプライズになったのです。

 

では今日は、1996年リリースの、JOURNEY(ジャーニー)の10thアルバム、TRIAL BY FIRE(トライアル・バイ・ファイアー)をご紹介したいと思います。

TRIAL BY FIRE(トライアル・バイ・ファイアー)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、MESSAGE OF LOVE(メッセージ・オブ・ラヴ)。

 

ついに帰ってきたジャーニーですが、いったいどんな感じなのだろうと期待と不安の半々で聞き始めたアルバムでしたが、このオープニングを聴いて完全に復活したんだ、と感慨深く感じました。
ニールの弾きまくりのイントロから、重厚なコーラス。
そして、ドラムが入ってきて始まったのは、紛れもないジャーニーのサウンドです。

 

スティーヴのヴォーカルは円熟味を増し、ジャーニーのヴォーカルとして見事に歌い上げてます。
これが聴きたかったのです。
ソロももちろんいいのですが、やはりジャーニーというバンドで歌ってこそ、彼の魅力は最大化するのだと思います。

 

間奏部では、SEPARATE WAYS(セパレイト・ウェイズ)のイントロを思わせるキーボードフレーズが入ってたりして、従来のファンへのちょっとしたお遊びも入ってます。
続くギターソロではニールの熱いプレイが踊ってます。
サビのスティーヴのヴォーカルがよいのはもちろんですが、バンドメンバーのコーラスも相変わらず美しいです。
最後は、ニールがたっぷりとプレイして、完全復活をアピールです。

 

やっぱりジャーニーはこうでなきゃ、というかっこいいサウンドが挨拶代わりの1曲目になりました。

 

この曲は2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌Mainstream Rockチャートで第18位を記録しています。

 

2曲目は、ONE MORE(ワン・モア)。

 

ストリングスによる、スリリングなイントロの後に始まる、ドラマティックな楽曲です。
悲壮感あふれるメロディをスティーヴが枯れた味わい深いヴォーカルで歌い上げます。
その合間に聞けるニールのプレイが、さらに楽曲をドラマティックに盛り上げます。

 

サビでのタイトルの連呼も、非常に耳を引きますし、キャッチーかつ印象的なメロディです。
中盤のストリングスもいい感じで、その裏のロスのベースもしっかりとグルーヴを出していてかっこよく決まってます。
中盤はストリングスに譲っていたニールは、ラストで鬱憤を晴らすような激情プレイを披露してます。
単音のメロディプレイと、弾きまくりプレイ、どちらもニールは素晴らしいです。

 

3曲目は、WHEN YOU LOVE A WOMAN(ラヴ・ア・ウーマン)。

 

強力なジャーニーらしいバラード、きました。
ピアノの弾き語りにのせて歌い出すスティーヴのヴォーカルは、やはり絶品です。
そして、バンドサウンドが加わると、AORっぽい心地よいサウンドになります。
加えてバックにはストリングス隊が楽曲をさらに美しく彩ってます。

 

ニールの最初のソロも、クリーントーンでエモーショナルに奏で上げられてます。
そして、ストリングス隊によりドラマティックに盛り上がった後でのソロは、いつものように気持ちよく弾きまくってます。

 

ジャーニーならではの美しいバラードですね。
10年待ったかいがあった、というものです。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、シングルチャートで第12位、Adult Contemporaryチャートで4週連続No.1を記録しました。

 

4曲目は、IF HE SHOULD BREAK YOUR HEART(イフ・ヒー・シュッド・ブレイク・ユア・ハート)。

 

ギターアルペジオの流れにのって、素朴な雰囲気なのに、美しい名曲です。
スティーヴは、ここでは情感を抑えてシンプルに歌い上げてます。
その辺の、ちょうどいい感じのヴォーカルが心地よいです。

 

ニールもアルペジオは飽くまでも美しく、またソロではメロディアスに、といった具合に効果的にギターを披露してます。
こんな、楽曲にぴったりのプレイを出せる彼のプレイは、やはりジャーニーの中心人物ならではでしょう。
なんか、全てがちょうどいい、美しい曲です。
この手の曲を作り出せるのは、ジャーニーの他には見当たらない、とさえ思えます。

 

この曲は3rdシングルとしてカットされ、Adult Contemporaryチャートで第21位を記録しています。

 

5曲目は、FOREVER IN BLUE(フォーエヴァー・イン・ブルー)。

 

印象的なギターによるイントロで始まります。
結構ポップな楽曲で、とても軽快で爽やかな印象を受けます。
サビメロがまたいいですね。
美しいメロディを持っている、これまた名曲の一つと言っていいでしょう。

 

抑え目に始まるのですが、どんどん盛り上がってどんどん爽やかになっていく展開がたまりません。
この盛り上がりも、やはりやや枯れてきた感のある、スティーヴの味わい深いヴォーカルによるところが大きいと言えるでしょう。

 

6曲目は、CASTLES BURNING(キャッスル・バーニング)。

 

イントロから、ジミヘンばりのニールのギターが炸裂です。
ワウをたっぷり踏んで、ブルージーに弾きまくってます。
やはりこんな曲では、ドラムとリズム隊の存在が際立ちます。
Raised On Radio〜時を駆けての時にはありえなかったサウンドと思います。

 

中盤では、ニールの狂気に満ちたようなシンプルなメロディが盛り上げます。
その後には、思いっきり弾きまくってます。
かなりジャーニーでは普通は聴けないワイルドなプレイがたっぷり聞こえて来ます。
これまでに聴いたことがないジャーニーの新たなチャレンジの詰まった6分の大曲です。

 

7曲目は、DON’T BE DOWN ON ME BABY(ドント・ビー・ダウン・オン・ミー・ベイビー)。

 

ここでまたもエモーショナルで壮大な、素晴らしいバラードが入ってます。
ジョナサンのキーボードが美しいです。
また、こちらにもストリングス隊がバックを美しく彩ってます。

 

そしてやはりスティーヴの伸びやかなヴォーカルがたまりません。
円熟味を増した彼のヴォーカルが、ジャーニーのバラードに磨きをかけています。
もはや、こんな曲は簡単に作れるのでは?と思えるほどの、見事なジャーニー節になっております。

 

8曲目は、STILL SHE CRIES(スティル・シー・クライズ)。

 

優しい、アコースティックの美しいイントロがまたいいですね。
そして、スティーヴの哀愁たっぷりの声が入ってきた時点で、名曲誕生です。
恐らくこの曲はエスケイプ収録のWHO’S CRYING NOW(クライング・ナウ)の続きじゃないでしょうか。
あの時泣いていた女の子は10年後の今も泣いているのです。
そんな切なさがたっぷりと込められたいい曲です。

 

後半はジョナサンのキーボードが美しく奏であげられています。
さすがのメロディメイカーですね。
美しい楽曲をさらに美しく仕上げています。

 

9曲目は、COLORS OF THE SPIRIT(カラーズ・オブ・ザ・スピリット)。

 

イントロは、アフリカの土着の音楽を思わせます。
曲自体は、ミドルテンポの重厚感のある楽曲です。
叙情的な雰囲気で淡々と歌うスティーヴも味があっていいです。
ニールもちょっと抑え目で雰囲気重視のプレイを見せています。

 

10曲目は、WHEN I THINK OF YOU(ホエン・アイ・シンク・オブ・ユー)。

 

これまた王道バラードの登場です。
もう、ジョナサンの奏でるピアノのイントロを聴くだけで、心が震えます。
そこにニールのギターソロメロディが加わって、もう完璧なスタートです。

 

そしてスティーヴが優しく歌うのですから、もう悪いはずがありません。
こんなに、定番となりうる素晴らしいバラードを連発できるって、やっぱりジャーニーはすごいです。
10年の歳月は、ジャーニーというバンドの能力を決してスポイルさせることはありませんでしたね。
10年前と全く変わらない、優れた楽曲を生み出しています。

 

11曲目は、EASY TO FALL(イージー・トゥ・フォール)。

 

これはフロンティアーズ収録の、AFTER THE FALL(愛の終わりに)に匹敵する素晴らしいバラードですね。
こんなミドルテンポの懐の深い曲もジャーニーは大得意です。

 

クリーントーンのギターアルペジオで始まるイントロは美しく、スティーヴの紡ぐ歌メロもまた美しいです。
そして、やはり特筆すべきはサビメロでしょう。
なんともゆったりした、そして心地よく伸びるスティーヴのヴォーカルと、バンドメンバーによるコーラス
ストリングスも美しくサビを彩ります。
もう美しすぎます。

 

ニールのギターソロも、いつものようにメロディアス&速弾きできめてます。
ラストはクリーントーンでたっぷりと余韻あるプレイを披露です。

 

もはやAORバンドと言われてもかまいません。
そう言われてもおかしくない、美しいバラードなのです。

 

12曲目は、CAN’T TAME THE LION(キャント・テイム・ザ・ライオン)。

 

イントロは、ディレイを使って幻想的なリフが繰り出されます。
ドラムが入ると共に、爽快なバンドサウンドが楽しめます。
ここまでバラードやミドルテンポの曲が続きましたが、ここでバンドとしてのジャーニーの魅力に再び出会えます。

 

ニールも、こんなロックサウンドではやはりソロにも力が入ってます。
彼らしいスペイシーなソロが間奏を彩ってます。
ラストも雄大なソロタイムで魅了してくれます。
ハードさはないものの、バンドの一体感が味わえる優れた楽曲だと思いますね。

 

この曲は4thシングルとしてカットされ、Mainstream Rockチャートで第33位を記録しています。

 

13曲目は、I CAN SEE IT YOUR EYES(アイ・キャン・シー・イット・イン・ユア・アイズ)。

 

この曲は、日本盤のボーナストラックです。
前曲からの流れで、ノリノリな楽曲が続きます。

 

やはりこういう曲では、ニールのギターリフがかっこよく映えます。
バンドサウンドも良く、サビのキャッチーな歌メロもいい感じです。
ニールのソロも、ロングトーンと速弾きのバランスがよく、コンパクトにまとまった良ソロになってます。
ラストも思いっきり存分に弾きまくっています。

 

ボーナストラックとして、ちょっと周りの曲とは音質が浮いてる気もしますが、おまけとは思えないクオリティのストレートなロックンロールになっています。

 

14曲目は、IT’S JUST THE RAIN(イッツ・ジャスト・ザ・レイン)。

 

ゆったりと癒しのひと時を与えてくれる、佳曲です。
こんな雰囲気を出せるロックバンドって希少でしょう。
静かに、切なく歌うスティーヴのヴォーカルが際立ちます。
また、時に搾り出すようなハイトーンもいいです。

 

主にキーボードのジョナサンが、楽曲をきれいに飾り立ててます。
また、ニールのささやかなクリーントーンのプレイもいいですね。
ラストは雷鳴と雨の効果音とともにエンディングへ。

 

15曲目は、TRIAL BY FIRE(トライアル・バイ・ファイアー)。

 

ラストはアルバムのタイトルトラックです。
雨の効果音の流れで始まる、神秘的な雰囲気の楽曲です。
アルバムの終焉にふさわしく、淡々と静粛に曲が流れていきます。
スティーヴも、抑制されたヴォーカルでこの雰囲気に貢献しています。
ニールのギターソロはクリーントーンですが、ささやかながらも激しくプレイしています。

 

16曲目は、BABY I’M A LEAVIN’ YOU(ベイビー・アイム・リービング・ユー)。

 

これはHidden track(隠しトラック)としておまけ的についてきてます。
レゲエ調のジャーニーには珍しい曲調です。
まあ、新たな面に挑戦、もしくは遊び心で入れた、ということでしょう。

 

悪くはないのですが、アルバムの全体の流れからは浮きまくってる感じがするので、僕は蛇足だったかな、というのが正直な気持ちです。
これをもって、10年振りのアルバムが幕を下ろします。

まとめとおすすめポイント

1996年リリースの、JOURNEY(ジャーニー)の10thアルバム、TRIAL BY FIRE(トライアル・バイ・ファイアー)は、ビルボード誌アルバムチャートで第3位、アメリカで130万枚、世界では200万枚のセールスを記録しています。

 

グランジが台頭して、80年代の多くのロックバンドが駆逐された時代にあって、決して悪くない、むしろよく健闘したと言えるのではないでしょうか。

 

10年振りのアルバムの内容はと言えば、そのブランクを感じさせない素晴らしい楽曲と演奏の詰まったものだと思います。
もちろん、エスケイプやフロンティアーズ、そしてRaised On Radio〜時を駆けてなどのアルバムと似た部分もありますが、むしろ正常に進化した内容ではないかと僕は思います。
強いて言えば、スティーヴの2ndソロ作品、ストレンジ・メディスンが1番近い作風のような気もします。

 

とにかく、ニール、ジョナサン、スティーヴの3人による作詞作曲は、以前と同じく素晴らしいものを生み出しました。
捨て曲がない、という表現がぴったりかもしれません。
どの曲もジャーニーらしさであふれています。
全体的にバラード作品が多い傾向になってはおりますが、もはやそれはジャーニーというバンドの円熟の結果と思えます。

 

僕も若い頃だったら、フロンティアーズのようなハードな作風も求めてがっかりしていたかもしれませんが、あれから10年経って僕も10年分大人になりました。
そして四十路も終わろうとしているいまや、このぐらいのサウンドが1番心にしみると感じられます。
ジャーニーのメンバーと共に僕は大人になり、AORっぽいジャーニーをしっかりと受け止められるようになったのです。

 

バンドの成長を見ながら自分も成長していく、こんな体験ができてとても幸せに感じられます。

 

あと、一つ言わせてもらえば、曲数が多すぎる、というのは一つの弱点になるのかもしれません。
エスケイプもフロンティアーズもRaised On Radio〜時を駆けても、40分~45分の作品です。
厳選されたコンパクトな作品の中に、名曲が詰まっていました。
それで、何度も繰り返し聴いて、脳内再生ができるほどになったものです。

 

今回はボーナストラックを入れて16曲、75分を越える大作になっています。
購入当時、なかなかフルで聞くのが難しかった記憶があります。
なので、一曲一曲が頭に入るのにだいぶ時間がかかったのです。

 

もちろん名曲の数が多いのは魅力の一つですが、アルバムとして聴くには75分作品というのは、なかなかハードルが高いです。
もう少し絞ったほうが、アルバムとしての印象がさらに際立ったのではないか、とも思ったりします。
でも、じゃあどの曲を削るか決めろ、と言われてもあのレゲエの曲しか思い浮かびませんけどね。

 

時代的に、コスパの問題もあって、収録時間が増えていっていたのもこの頃だったような気がします。
なかなかバランスって難しいものですね。

 

さて、このアルバムをもってジャーニーの快進撃が再び始まるのかと思いきや、スティーヴの怪我によりツアーが実施されず、結局スティーヴは脱退することになってしまいます。
本当に残念でした。
でも、この10年待ってジャーニーの新譜が聴けただけでも僕は幸せでした。
その後のジャーニーも追っかけていくわけですが、黄金期メンバーの最後のこのアルバムは今でも僕の中で輝きを放っています。
全曲オリジナルで勝負した、ジャーニーの奇跡の再結成アルバム、洋楽ファンならぜひとも聴いておきたい一枚だと僕は思います。

チャート、セールス資料

1996年リリース

アーティスト:JOURNEY(ジャーニー)

10thアルバム TRIAL BY FIRE(トライアル・バイ・ファイアー)

ビルボード誌アルバムチャート第3位 アメリカで130万枚、世界で200万枚セールス

1stシングル WHEN YOU LOVE A WOMAN(ラヴ・ア・ウーマン) ビルボード誌シングルチャート第12位、同誌Adult Contemporaryチャート4週連続No.1

2ndシングル MESSAGE OF LOVE(メッセージ・オブ・ラヴ) Mainstream Rockチャート第18位

3rdシングル IF HE SHOULD BREAK YOUR HEART(イフ・ヒー・シュッド・ブレイク・ユア・ハート) Adult Contemporaryチャート第21位

4thシングル CAN’T TAME THE LION(キャント・テイム・ザ・ライオン) Mainstream Rockチャート第33位