NEMOPHILA(ネモフィラ)デビューシングル OIRAN

NEMOPHILA(ネモフィラ)は、前の記事(NEMOPHILAカバー動画 – IRON MAIDEN「The Trooper」)で書いたように、シングルリリースの少し前に自らのYouTubeチャンネルを開設。
そこで、カバー動画をアップしています。

 

そして、2019年8月のバンド活動開始後、いろいろライヴ活動を行った後、満を持して2020年2月29日にデビューシングルの「OIRAN」をリリースしました。

徳間ジャパンの公式お知らせページにはこんな宣伝が。

メタル+ラウド&グランジも取り入れた、
地獄のゆるふわバンド(原案:むらたたむ)“NEMOPHILA”始動♪
予測不能でミクスチャーな佇まいと、ポジティブ系バキバキサウンドで世界に笑顔をお届け♪

なかなか言い得て妙なコピーですね。
メタル+ラウド&グランジの雰囲気はビンゴですし、予測不能、バキバキサウンドってのも当たってます。

 

そして、「世界にお届け」ってのもいいですね。
やはり照準は世界に向かってます。
J-POP系で世界を狙うのは相当ハードルが高いですが、メタル系だからこそ十分狙える要素はあると思います。
古くはラウドネスが狙った同じ世界を、ぜひとも撃ち抜いてほしいものです。

 

あと、ところどころに♪マークが転がってるのもこのバンドならではのポイントですね。
ガチな音楽ではあるものの、ふわっとした雰囲気も醸し出してます。
まさにたむちゃん原案の、「地獄のゆるふわバンド」にふさわしいキャッチーコピーと言ってよいでしょう。

 

まずは、この1stシングルのタイトル曲、「OIRAN」について語りたいと思います。

1stシングル トラック1 OIRAN

OIRAN

作詞 mayu

作曲 Kensuke Akiyama

編曲 Kensuke Akiyama

作詞はヴォーカルのmayuちゃん、作曲は秋山健介さんとのことです。
秋山健介さんはLAST MAY JAGUAR(ラスト・メイ・ジャガー)というロックバンドに2014年から2017年まで所属していたギタリストさんです。
現在は、いろんなアーティストに曲提供や、ライヴにサポートギタリストで参加するなどの音楽活動をしておられるようです。
で、今回ネモフィラのデビューシングルでは作曲とアレンジで強力に参加しておられます。

 

曲に関して言えば、中毒性のあるスピードメタル曲に、メロディアスな歌メロも乗せてとてもいい感じに仕上がってますね。
この緩急をつけた曲作り、またフックのあるサビメロなど、とてもいい曲を提供してくれたと思います。
そしてもちろん、そのいい曲を実際に歌い演奏したネモフィラメンバーとのケミストリーで、非常に盛り上がるハードロックチューンが完成しました。

 

作詞はmayuちゃんとなっていますが、デモ曲を聴いて和の雰囲気を感じ、それで和を連想する言葉をつないでいき、最後にタイトルを「OIRAN」に決めたそうです。
タイトルのOIRANは、漢字では「花魁」と書くそうですね。
おいらんって言葉は知ってましたが、こんな漢字だとは今回初めて知りましたw

 

ウィキペディアによると、

花魁(おいらん)は、吉原遊廓の遊女で位の高い者のことをいう。現代の高級娼婦、高級愛人などにあたる。

となってます。
CDのジャケットのイメージはまさにそのまま「おいらん」が描かれています。

 

それにしても、mayuちゃん若いのにこの詩の世界観は独特ですね。
非常に詩的で、和の雰囲気がたっぷり注ぎ込まれてます。
もともと作詞とかどのくらいやってたのかは不明ですが、まずはこのデビュー曲でここまで書ければ合格ではないでしょうか。
サビの部分の世界は、メロディとmayuちゃんのヴォーカルと相まって、非常に素敵な歌詞になってると聞くたびに感じます。

 

ただ、ガールズメタルバンドのデビュー曲でここまで「和」に振るのは賛否両論あるかもしれません。
が、僕はとても好意的に受け止めています。
楽曲の世界観ともマッチしていますので、詩と曲の一体感が十分感じられます。
また、世界を狙うに当たっては、このくらいの和のテイストは逆に注目を受けやすいとも思いますね。
ジャパニーズカルチャーは今や世界中で注目されているわけで、そんな世界に向けてのあいさつ代わりの一曲として、僕は目の付け所が良いのではないかとも思ったりしてます。

 

このデビュー曲は、リリース前からライヴですでに披露しているオリジナル曲のうちの一曲です。
ライヴを重ねるごとに出てくるアイディアを加えていって少しずつ仕上がっていってます。
特にギタープレイに関しては、SAKIちゃん葉月ちゃん、そして秋山健介さんの3人で細かくフレーズを詰めていってついに良いものが完成しています。

 

では、ここでネモフィラのYouTubeチャンネルにCDリリースの一週間前くらいにアップされた、スタジオで録音録画した動画をご紹介します。
これにはツイッターで但し書きがされていて、

“OIRAN”のRec前にスタジオでセッションした動画です。
歌詞やフレーズ等色々違います。 オリジナル版は各配信サービスよりダウンロード頂けます。
NEMOPHILA/OIRAN Studio Demo Ver.

となっています。
それを踏まえてご覧ください。

CDヴァージョンまで達していない、ラフな演奏ではありますが、演奏をとても楽しんでやっているのがガンガン伝わってくるのではないでしょうか。
中盤ではヘッドバンギングならぬ、ペンギン・ブレイクダウン(ツイッターでファンが名付けたらしい)として5人でリズムに合わせて左右に揺れるパフォーマンスがあります。
こんなのも、単に硬派なメタルバンドでは絶対にやりませんよね。
また、笑いをこらえながらこらえられずに笑ってプレイするのも彼女たちのスタイルです。
笑顔あふれるアイコンタクトは、音楽とは楽しんでやるもの、というメッセージを放っています。
ヘヴィで疾走感あふれるメタル曲なのに、こんなゆるっとふわっと感が漂っているのが、まさに地獄のゆるふわバンドと銘打った、ネモフィラの真骨頂と言えるでしょう。

 

エレキギターの完成形については、ヤングギター2020年9月号で取り上げられていて、『NEMOPHILA「OIRAN」弾いてみよう! SAKI&葉月奏法』という動画がアップされています。
こっちでは、それぞれCDになった完成形をかっちりと弾きまくっていますので、二人のギタリストのテクをしっかり見るのにすごくよいと思います。

7弦ギターをさらにダウンチューニングしたツインギターのプレイは迫力いっぱいです。
SAKIちゃん葉月ちゃんルックスだけではないことをはっきりと見せてくれてる動画だと思いますね。
蛇足ながら付け加えるとすれば、葉月ちゃん伊達メガネめっちゃ似合ってます

 

そして、さきほどのスタジオセッション動画には、ドラムのたむちゃんを映した動画が、むらたたむチャンネルにアップされています。
ヘヴィでスピードのある楽曲も、ドラムがもたってるようじゃ話になりません。
その点、たむちゃんは見事な安定感を持った優れたドラマーであることが一目でわかる動画になってると思います。
そして、腕がいいのは当然として、何といっても楽しんでプレイしてるってのが、これまたしっかりと伝わってきます。

さすがの安定感と笑顔ですね。
ウィキペディアでは、ある記事に

「キュートなビジュアルからは想像できないパワフルなドラミングを繰り広げる」と評された。

と書かれています。
まさに、この笑顔と激しいドラミングのギャップがおっさんの心をくすぐるのです。

 

というわけで、1stシングルのトラック1「OIRAN」をご紹介しました。
ライヴでも思いっきり盛り上がる定番曲になっています。
動画への多くのコメントにもあるように、やっぱりこのバンドの最大の特徴は稀有なヴォーカルだと僕も思います。
mayuちゃんは、デスヴォイス、グロウル、スクリームで意表を突くと思えば、低音の優しい歌声もいいですし、サビで盛り上がる高音ハスキーヴォイスまで、非常に声色、表現力が豊かです。
他のバンドメンバーも特筆すべきことはありますが、やはりたいていの場合バンドの顔はヴォーカルです。
このmayuちゃんという唯一無二のヴォーカルを抱えている時点で、このバンドの未来は明るいと思うのは、僕だけではないでしょう。

 

本当はこの記事で1stシングルの3曲を紹介するつもりだったのですが、長くなったので残りは次の記事に書きたいと思います。