典型的な80年代サウンドになってしまった。 TOTO - ISOLATION(アイソレーション)

TOTOとの出会い





日本の便器メーカーと同じ名前のバンドがチャートを挙がってきました。
バンド名はTOTO(トト)。
僕はふざけているのかと思ったものです。
シングルのタイトルはSTRANGER IN TOWN(ストレンジャー・イン・タウン)。
ロックチューンで、すこしずつ盛り上がって行く様子がかっこよすぎました

 

バンド名とは対照的に(!?)シャープなロックサウンドを聞かせてくれています。

 

ISOLATION(アイソレーション)までのTOTOの歩み

TOTOは1978年にアルバムTOTO(宇宙の騎士)でデビュー、基本的にスタジオミュージシャンをやっていたような職人プレイヤーで構成されています。
ジャンル的にはAORと言われることが多いが、デビュー作はまさにそのような内容で、いきなりアルバムチャート第9位に入っています。

 

しかし、その後いろんなそこそこのヒット曲を出すものの、翌年の2ndアルバム、HYDRA(ハイドラ)は37位、1981年の3rdアルバムTURN BACK(ターン・バック)は41位と、いまひとつアルバムのチャートアクションは振るいませんでした。

 

ところが次の作品、1982年発表のTOTOⅣ(聖なる剣)で彼らはついに大ブレイクを果たします。
この作品からは、ROSANNA(ロザーナ)が全米第2位MAKE BELIEVE(メイク・ビリーヴ)が第30位AFRICA(アフリカ)が全米No.1I WON’T HOLD YOU BACK(ホールド・ユー・バック)は全米10位といった、ヒットを連発。
アルバムも、全米第4位まで上昇します。
また、アルバムの評価も高く、グラミー賞において、最優秀レコード賞にロザーナ、最優秀アルバム賞に、TOTOⅣ、など6部門を受賞するという快挙を成し遂げました。

 

このような大成功の後に出てきたシングルが、僕が初めて耳にしたSTRANGER IN TOWN(ストレンジャー・イン・タウン)、ということになります。

 

では今日は1984年リリースのTOTOの5thアルバム、ISOLATION(アイソレーション)をご紹介したいと思います。

ISOLATION(アイソレ-ション)の楽曲の紹介

大ヒット作の後は気合が入るだろうし、重圧もかかるに違いありません。
果たして、TOTOはどうだったのか。

 

なんとそんな大事なタイミングで、アルバム製作中にこれまでのメインヴォーカルのBobby Kimball(ボビー・キンボール)が辞め、オーディションの末、Fergie Frederiksen(ファーギー・フレデリクセン)が選ばれるのです。

 

このアルバムはニューヴォーカリストを迎えての新作となりました。

 

アルバムのオープニングを飾るのはCARMEN(カルメン)。

 

なんともかっこいいロックサウンドだ。
エレキがいいリフを奏で、気持ちよいシンセが曲を彩っている。
そして、新しいヴォーカル、ファーギーも高音域がよく出ています。
ポップで少しハードよりの勢いのある楽曲になっていますね
まさに80年代の音である。

 

2曲目は、LION(ライオン)。

 

これは、少しゆったりした余裕のあるロックだ。
いろんな楽器が聴けてゴージャスなアレンジである。
ギターソロでは、やはりスタジオミュージシャンならではのギターテクを披露しています。
この曲もキャッチー楽曲となっています。

 

3曲目はSTRANGER IN TOWN(ストレンジャー・イン・タウン)。

 

この曲のメインヴォーカルはオリジナルメンバーでキーボードのDavid Paich(デヴィッド・ペイチ)だ。
バックコーラスにはファーギーや前ヴォーカルのボビーの名前がクレジットされている。
この曲は展開が非常によく出来ていると僕は思っています。
疾走感があり、印象的なコーラスによるイントロ。
その上に少しづつ楽器が乗っていき、アレンジもどんどん盛り上がっていく
こんなかっこいい曲に出会うことは少ない。
これはチャートもかなり期待してよい、と思っていた。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートで第30位、 Mainstream Rockチャートで第7位を記録しています。

 

あれだけ大ヒットし、評価の高いアルバムの後、次に出すシングルは期待値も含めて普通はチャートアクションは良いものである。
しかし、この程度とは驚きでした。
もう少し上に上がると思えてたのです。
この理由はまとめ部分で考察してみたいと思います。
とはいえ、僕の中では非常に時流に乗った良作だったのには間違いありません。

 

4曲目はANGEL DON’T CRY(エンジェル・ドント・クライ)。

 

イントロのソリッドなギターリフがかっこいい、キャッチーなロックである。
これもファーギーのハイトーンが気持ちいい。
またシンセは豪華だし、ギターソロも短いがうまい。
悪いところはないのだ。
僕は好きなタイプの楽曲である。

 

A面最後5曲目はHOW DOES IT FEEL(愛を抱きしめて)。

 

静かなバラードになっています。
この曲のメインヴォーカルはSteve Lukather(スティーヴ・ルカサー)のようです。
ゆったりしたメロディにスティーヴの優しい歌声が映える。
後半になると、ストリングスが入ってきて曲は盛り上がりを増します。
ギターソロも感情がこもっていてすばらしい。
非常に優れたバラードだと思います。

 

B面1曲目はENDLESS(エンドレス)。

 

これはこのアルバムの中でも1,2を争うキャッチーソングとなっていますね。
これはシンセのイントロから80年代洋楽の見本のような楽曲だと思います。
サビのファーギーのハイトーンヴォイスは一聴すべきです。
それに少しハードなギターリフ。
僕的には、非常に気に入ってた楽曲です。

 

2曲目はISOLATION(アイソレーション)。

 

次も同じくシンセのイントロに始まり、キャッチーなアルバムタイトル曲です。
やはり典型的80年代ソングらしくて、僕はとても好きだ。
間違いなくいい曲ですよ。

 

3曲目はMR.FRIENDLY(Mr.フレンドリー)。

 

これも爽快なエイティーズソングです。
少しハードロックテイストが加わり、曲全体に緊張感が演出されている。
中盤の、エレキとシンセの掛け合いの部分など、単なるハードロックには収まらない楽曲だと感じてしまいます。

 

4曲目は、CHANGE OF HEART(チェンジ・オブ・ハート)。

 

ここでも同じく爽やかなハードポップを聴かせてくれます。
この曲でもファーギーのヴォーカルが冴えている。
中盤で少しプログレっぽい要素を混ぜて、彼らの楽器演奏能力の高さがアピールされていますね。

 

アルバムラストはHOLYANNA(ホリーアンナ)。

 

この曲はちょっと雰囲気が変わって、ピアノのイントロから心地よいノリのロックサウンドへ
これまで、テンションの高いゴージャスなエイティーズハードロックが続いたが、この曲はシンプルで爽快なバンドサウンドだ。
アルバムの中では浮いた感じに聞こえてしまうが、非常にいい曲ですね。

 

この曲2ndシングルとしてカットされますが、こんなに名曲なのにシングルチャートで第71位に終わりました。

まとめとおすすめポイント

1984年リリースのTOTOの5thアルバム、ISOLATION(アイソレーション)はビルボード誌アルバムチャートで第42位、アメリカでは50万枚の売り上げにとどまりました。
こうして、ISOLATION(アイソレーション)の楽曲を振り返ってみましたが、ほんとに粒ぞろいのいいアルバムになっています。

 

なのにシングルは上述のとおり、惨憺たる結果、そしてアルバムも42位までしか上がりきれませんでした。

 

なぜか分析してみるに、リスナーの期待と、メンバーの行きたい方向性が乖離していたということではないでしょうか。

 

多くの人は、以前のあのTOTOのドラムが好きだったといいます。
Jeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ)のドラムは、独特のそのグルーヴと音色が特徴でした。
それが、今作では、いわゆるエイティーズのバンド特有のソリッドなドラムに変わってしまっていたように感じられます。
それは僕の好みの音ではあるのですが、TOTOの以前のドラムの雰囲気を好きだった人にとっては、なんか普通になってつまんない、って感じられたのではないでしょうか。
また、方向性も、結構なハードな路線に振ってきたので、それを求めていない人にとっては、やはり受け入れがたい作品になったのかもしれません。(僕はこっちが大好きですけどね)。

 

このように大ヒット作の後は重大な決断を迫られます。
同じような作品を作るか、それとも変化を求めるかという命題においてです。

 

TOTOの場合、エイティーズの流行の音楽にすることによって、このアルバムに関して言えば、元からの多くのファンを失ってしまったと言えるでしょう。
アメリカでのアルバムセールスが、TOTOⅣ300万枚から、今作の50万枚に落ちたことがそのことを示しているのかもしれません。

 

しかし、僕のようにエイティーズサウンドの好きな人にとっては、このアルバムは非常に爽快なハードなロックを聴かせてくれるので高い評価をつけたくなります。
その上それぞれの楽器のテクニシャンたちのプレイなど、聴き所は満載なのです。

 

結局、リスナーが何を求めるかによって同じアルバムでも評価は変わり得るということでしょうか。

 

80年代のロックサウンドを好きな人には、このアルバムを強く推したいと思います。

チャート、セールス資料

1984年リリース

アーティスト:TOTO

5thアルバム、ISOLATION(アイソレーション)

ビルボード誌アルバムチャート第42位 アメリカで50万枚のセールス

1stシングル STRANGER IN TOWN(ストレンジャー・イン・タウン) ビルボード誌シングルチャート第30位、 Mainstream Rockチャート第7位

2ndシングル HOLYANNA(ホリーアンナ) シングルチャート第71位

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