ヘヴィメタル初の全米No.1バンド QUIET RIOT - METAL HEALTH(メタル・ヘルス~ランディ・ローズに捧ぐ)
QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)との出会い
中学3年の頃、クラスの女子が好きな音楽について話をしてるのが耳に入りました。
バンド名はQUARTERFLASH(クオーターフラッシュ)という名前のようです。
女子たちがどんな音楽を聴いているのか気になった僕は、このバンドの音楽を聴いてみようと思い、帰ってFMステーションをチェックしたのでした。
僕は雑誌にQUIET RIOT(クワイエット・ライオット)を見つけたときに、あ、これがあの女子たちが言ってたバンドだ、と完全に勘違いしてしまっていました。
楽曲のタイトルはCUM ON FEEL THE NOISE(カモン・フィール・ザ・ノイズ)。
聴いてみると、爽快に突き抜けるようなハードロックソングだ。
かっこよすぎる。
一発で気に入りました。
へえ~、女子たちもこんな曲聴いているんだ、ってちょいビックリしながら、勘違いした僕はアルバムをレンタルしに向かったのでした。
QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)の紹介
QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)の結成は古くて、あのRandy Rhoads(ランディ・ローズ)が1973年に結成した、MARCH 1というバンドが出発となっています。
その後バンド名はLITTLE WOMENに変わり、すぐにクワイエット・ライオットに落ち着きます。
この最初の結成の時点で、ヴォーカルはKevin DuBrow(ケヴィン・ダブロウ)です。
LAのバンドで、彼らはグラム・メタル(ヘア・メタル)とも呼ばれています。
グラム・メタルとは、ヘア・メタルとも呼ばれ(日本ではLAメタルとも呼ばれた)1980年代に世界的に人気となった、長髪でグラマラスな外見が重視されたHM/HRのジャンルの一つです。
しかしクワイエット・ライオットは順調に人気を確立したわけではありませんでした。
デビューアルバムは1977年に製作されたQUIET RIOT(静かなる暴動)。
が、本国アメリカでリリースできず、日本のみの発売となります。
この頃、ヴォーカルのケヴィンとベースのケリー・ガルニが憎しみ合い、間で中を取り持つランディという、バンドにありがちな緊張感が既に存在していたようです。
翌1978年には2ndアルバム、QUIET RIOTⅡ(暴動に明日はない)を製作。
製作直後にケヴィンとウマの合わないベーシスト、ケリーはバンドを脱退、変わりにRudy Sarzo(ルディ・サーゾ)が加入することになります。
しかしこの度もアメリカでリリースできず、日本のみでの発売となりました。
結局日本でのみ人気が上がったものの、バンドとしては限界を感じたのか、バンドの要のギタリスト、ランディ・ローズはバンドを脱退。
ブラック・サバスを脱退し、ソロ活動を始めようとしていたOzzy Osbourne(オジー・オズボーン)のオーディションに、ギターのチューニングをするだけで合格。
その後、オジーの2枚のソロアルバムで、新たなギターヒーローとして開花したのでした。
一方クワイエット・ライオットは、残ったメンバーで活動を続けようとしますが、ついに活動停止。
ルディ・サーゾもオジー・オズボーンバンドに入ったりして、ついにばらばらに分解してしまいました。
ところが、1982年3月19日、飛行機の墜落事故で、ランディ・ローズが25才という若さで死亡するという痛ましい事故が起きてしまいます。
これをきっかけとしてケヴィンはクワイエット・ライオットの活動再開を決意。
ギタリストにCarlos Cavazo(カルロス・カヴァーゾ)、ドラムにFrankie Banali(フランキー・ヴァネリ)、そしてオジー・オズボーンバンドに加入していたルディ・サーゾを連れ戻し、アルバムを製作します。
そしてついに今回はアメリカのCBSレコードと契約、ついに念願の本国でのアルバムリリースに成功するのでした。
ランディの思い出に捧げられたアルバム、METAL HEALTHはこうして生まれました。
では今日は1983年リリースのQUIET RIOT(クワイエット・ライオット)の3rdアルバム、METAL HEALTH(メタル・ヘルス~ランディ・ローズに捧ぐ)をご紹介したいと思います。
METAL HEALTH(メタル・ヘルス~ランディ・ローズに捧ぐ)の楽曲紹介
オープニングを飾るのは、METAL HEALTH(BANG YOUR HEAD)(メタル・ヘルス)。
激しいギターリフに、ケヴィンの搾り出すヴォーカル。
当時はヘヴィメタルとジャンル分けされてもいましたが、そこまで重くもないけども重厚で一緒に叫びたくなる楽曲です。
アルバムのサブタイトルにもあるようにヘッドバンギングが似合う、メタルっぽいハードロックになっています。
PVではライヴシーンがありますが、ケヴィンが新加入の若いギタリストのカルロスに絡むシーンが微笑ましいです。
同時にほんとはそこにランディがいたはずと思うと切なくなります。
とにかくアルバムの一曲目にふさわしい、勢いある力強い楽曲となっています。
この曲はアルバムからの2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャート第31位、同誌Mainstream Rockチャートで第37位を記録しています。
2曲目は、CUM ON FEEL THE NOISE(カモン・フィール・ザ・ノイズ)。
僕が勘違いで初めて出会ったクワイエット・ライオットの曲です。
この曲はSLADE(スレイド)のカヴァーソングになっています。
原曲は1973年の曲だけに、やはり古さを隠せません。
しかし彼らはこの曲を80年代に見事によみがえらせてみせました。
はじけるドラムに始まり、爽快なヴォーカルにコーラス。
ギターリフはシンプルになり、つきぬける様なさわやかなロックソングへと変貌してます。
ギターソロはカルロスの早弾きペンタトニックの上昇フレーズ。
曲にあったなんとも気持ちよいソロを聴かせてくれています。
この曲は1983年のUSフェスティバルで披露していますが、そのときのギターソロの様子が記憶に焼きついています。
ソロのちょっと前にケヴィンがカルロスを肩車して、その不安定な状況であの早弾きソロをプレイするのです。
プレイは多少雑にはなっていましたが、それ以上に二人の絆が微笑ましくて、非常に印象深いシーンになっています。
この曲はアルバムの1stシングルとしてリリースされ、シングルチャートで第5位、Mainstream Rockチャートで第7位、という当時のヘヴィメタルバンドでは珍しい大ヒットとなりました。
3曲目は、DON’T WANNA LET YOU GO(ドント・ワナ・レット・ユー・ゴー)。
少ししっとりメロディアスな楽曲です。
印象的なエレクトリックなギターストロークが全編を流れています。
その上にケヴィンのヴォーカルが雰囲気に合わせて抑えて歌っています。
ギターソロは一転、歪みの効いた泣きのギターが披露されています。
なかなか良い曲だと思います。
4曲目はSLICK BLACK CADILLAC(スリック・ブラック・キャデラック)。
これはノリノリのロックソングです。
この曲は2枚目のアルバムQUIET RIOTⅡ(暴動に明日はない)のオープニングソングのセルフカヴァーとなっています。
ついにここに来てアメリカで日の目を見た楽曲です。
原曲はイントロが少し長く取られていて、スロースタートになっています
今回は、ばっさりそこはカットして、いきなりコーラスから入った全編ノリノリの楽曲にマイナーチェンジされています。
文句なしに楽しい爽快なハードロックチューンになっていますね。
彼らの特徴はやはりそのコーラスにあると言えるでしょう。
コーラスが楽曲に爽やかさをもたらしているのです。
LA出身というのもあると思われます。
とにかく陽気で明るく爽やかなヘヴィメタルなのです。
5曲目は、LOVE ‘S A BITCH(ラヴズ・ア・ビッチ)。
少しシリアスな雰囲気をたたえるパワーバラードです。
陽気な楽曲だけでなく、こんなバラードもこなしていますね。
ケヴィンのキャラとは合わなさそうな曲だけど、いい具合に歌いこなしています。
バラードですが、重厚感のあるなかなかいいパワーバラードになっていると思います。
B面1曲目は、BREATHLESS(ブレスレス)。
シリアスな雰囲気でも勢いよく突っ走る楽曲になっています。
疾走感があってすばらしい楽曲ですね。
サビの無力感をケヴィンは見事に表現してると思います。
2曲目はRUN FOR COVER(ラン・フォー・カヴァー)。
この曲でも疾走し続けます。
ドラムによるブレイクからのギターソロへの流れが秀逸ですね。
ケヴィンのシャウトも決まっていて、最後はドラムソロがクライマックスを印象づけるよく出来たハードロックソングです。
3曲目はBATTLE AXE(バトル・アックス)。
この曲はアルバムの最後のブレイクポイントとなっているギターソロインストゥルメンタルです。
新加入ギタリストのカルロス・カヴァーゾによる完全なインストギターソロになっています。
エディ・ヴァン・ヘイレンのERUPTIONほど派手ではないが、ツボを抑えたプレイとよく考えられた展開で優れたインストだと僕は高く評価してます。
当時、だいぶギターでコピーしようとした思い出があります。
それっぽくは弾けても、やはりプレイの味は同じようには表現できません。
カルロスは飛びぬけているわけではないものの、優れたギタリストの一人と数えられるに違いありません。
4曲目は、LET’S GET CRAZY(レッツ・ゲット・クレイジー)。
前のギターインストがフェイドアウトすると、切り裂くような鋭いギターリフが。
ラスト直前のハードロックチューンになっています。
シンプルなのにとてもかっこいいギターリフです。
ギターソロではBATTLE AXEのフレーズを少しなぞって、前の曲がこの曲のイントロだったことをさりげなく示していますね。
非常にかっこいいハードロックとなってます。
アルバムラストはTHUNDERBIRD(サンダーバード)。
これは事故により他界したランディ・ローズに捧げられたバラードです。
wikiによると、この曲の大部分はまだランディが生きていたときに出来上がっていたと述べられています。
ということは、当初はバンドを離れたランディに向けて、作られていた歌のようですね。
サンダーバードとは北米で伝えられる伝説の鳥です。
ランディをそんな鳥になぞらえて、飛んでいけ、新しい住処へ翼を広げて、とバンドを離れ旅立った彼への応援歌のようにも聞こえます。
また、いつの日にか帰ってくることを思わずはいられない、とも歌っていて、残された者の寂しさや、また再び一緒にやりたいという切ない思いも歌われているようです。
ランディが他界した後に最後のフレーズを加えて曲が完成したと言われていますが、どこの部分が付け加えられたものかは確定できませんでした。
We’ll meet againという歌詞が、再びバンドに帰ってくることを言ってるのか、それとももっと先の人生の後のことを述べているのかもわからりません。
しかし、彼がバンドを去ったときと、事故でこの世を去ったときと、どちらにもとれる内容の歌になっています。
いずれにしても、ランディを失った喪失感、また会いたい気持ちなどが表現された切ないバラードになっています。
とても巷でヘヴィメタルバンドと言われているバンドの曲とは思えない素晴らしい楽曲です。
アルバムはランディへの追悼の意を表して幕を閉じます。
まとめとおすすめポイント
1983年リリースのQUIET RIOT(クワイエット・ライオット)の3rdアルバム、METAL HEALTH(メタル・ヘルス~ランディ・ローズに捧ぐ)はビルボード誌アルバムチャートでNo.1を達成。
これはヘヴィメタルバンドとしては最初期の全米No.1アルバムとなったことを意味します。
そしてアメリカだけで600万枚の売り上げも達成しています。
加えて、このアルバムからの2ndシングル、カモン・フィール・ザ・ノイズは全米シングルチャート第5位を記録し、ヘヴィメタルバンドとしては初のTOP5入りだったそうです。
このように、見事な復活を遂げたクワイエット・ライオットはいろんな記録を打ち立てることになりました。
しかし、クワイエット・ライオットはヘヴィメタルなのでしょうか。
確かに、アルバムジャケットに関して言えば、ヘヴィメタっぽい雰囲気はあります。
しかし、ヘヴィメタルにありがちな、おどろおどろした世界観は皆無ですね。
音楽に関して言えば、正統派ハードロックに少しLA風味が加わった感じの、爽快なロックンロールがメインとなっています。
オープニングの曲メタル・ヘルスはメタル特有のヘッドバンギングというサブカルチャーをフィーチャーしてはいるものの、音楽はハードロックそのものだと僕は思います。
現代のヘヴィメタルバンドからすると、明らかに軽くて爽快だと思うのは僕だけでしょうか。
重過ぎない、心地よく聴けるハードロックをお望みの方にはぜひともおすすめしたいアルバムになっています。
チャート、セールス資料
1983年リリース
アーティスト:QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)
3rdアルバム、METAL HEALTH(メタル・ヘルス~ランディ・ローズに捧ぐ)
ビルボード誌アルバムチャートNo.1 アメリカで600万枚のセールス
1stシングル CUM ON FEEL THE NOISE(カモン・フィール・ザ・ノイズ) ビルボード誌シングルチャート第5位、Mainstream Rockチャート第7位
2ndシングル METAL HEALTH(BANG YOUR HEAD)(メタル・ヘルス) シングルチャート第31位、同誌Mainstream Rockチャート第37位
METAL HEALTHはサビの分かりやすさという面でとても受けいれ易い要素をバッチリ持ってたのがヒットの根底だと思います
ですので”ヘヴィ”という点を強調する形には私も疑問ですし, 事実次作”CONDITION CRITICAL”では更にノリを重視する曲を前面に出してアピールしていました
そういう面でももっと評価されて欲しいなと常々思います・・・
Akatsuki SSさん、コメントありがとうございます。
“サビの分かりやすさという面でとても受けいれ易い要素”、まさにそのとおりだと思います。
キャッチーとも言い換えられると思いますが、その聴いて楽しいノリが彼らの持ち味だと思いますね。
ジャンルがヘヴィメタルに属するというだけで引いてしまう人がいれば、とても残念です。
ケヴィンの早すぎる死は残念ですが、作品はずっと残りますので、これからも多くの人に聴いて欲しい、いいアルバムですよね。
もっとジャンルの壁を越えて知ってもらいたいバンドです
実は, 現在データベース作って後世に伝えていくための下地を作っております.
また来日実現のためにプロジェクトも立ち上げいろいろこなしておりますのでよろしくお願いします
僕はQRⅢを最後にクワイエット・ライオットを聴いてませんでした。
この機会にその後も少しづつ聞いていこうかと思います。
Well Now You’re Here,There’s No Way Backは面白そうですね。
日本語対訳のDVDがあればよいですが・・・。
活動、がんばってください。
私もクワイエット・ライオットをよく聞いています
もちろんメタルヘルスもよく聴きました
就職したての頃だったですかね。クワイエット・ライオットの評判は悪くなってしまったけれど。後のGown to the bone, Alive and wellもよく聴きました。最近、youtube でterified,guilty pleasures, rehabその他とみつけてまたよく聴いています。何歳になってもHR/HMに帰ってきます。若いボーカルが2017年に入ったみたいですが、なかなかうまいです。高音がよく出ますね。でもやっぱり亡きダブロウのボーカルでないと。ドラムのバネリは日本通やしいですがHear’n AiDに参加したり安定した演奏です。そしてサーぞもいい。最後にやっぱカルロスですね。なんか聴いていて気持ちがいいです。3人は揃っていてほしいけど、事情があるのでしょう。4人が集まって黄金時代何でしょうね。guilty pleasures に今日もハマってます。
ひょっとこ64さん、はじめまして。
けっこう世代が近いようでうれしいです。
クワイエット・ライオットはメタルバンドと言われながらも、けっこうポップセンスも加わっててとても聞き易いバンドでしたね。
そしてなんと言ってもフロントマンのケヴィン・ダブロウのヴォーカルが魅力的です。
加えて僕もカルロスのギタープレイはお気に入りです。
黄金時代に戻ることはできませんが、素敵な作品を残してくれたことに感謝したいですね。
コメントありがとうございました。
キャッチーなところがQRはいいですよね
ギターソロが気持ちがいいです
あれって感情と関係しているんですかね
ダブロウはやるだけのことはやった人生なんじゃないですかね。
彼こそロックな人生じゃないのかなと。
今夜もギルティープレジャーズです
どうもありがとうございました。
これが当時ヘヴィメタルって言われてたのですから、もはやジャンル分けに意味はないですね。
確かにダブロウは頂点を極めてちょっと天狗になっちゃいましたが、おしゃるとおり、ロックな人生を全うしたと思いますね。
カルロスのギターが、そんなに評価されないのが残念ですよね。
僕はとってもかっこいいと思ってましたけど。
再コメントありがとうございました。
カルロスはRATTに行ってまた脱退したようですね。できればQRに帰ってほしいです。現行のギタリストはイマイチなんです。ひきまくるギターソロがなんかしっくりきます。ヘビーメタルというよりハードロックだと思います。ロックのクラシックなツボを抑えている感じがします。私にはこれ以上のバンドはないのです。Rehabはギタリストが違います。やはりguilty pleasuresがカルロスの最後かもしれません。カルロスのソロアルバムがあればいいですけれどね。
ひょっとこさん、こんにちは。
僕は最近のクワイエット・ライオットは追っかけてなかったので、カルロスがその後どうしてるのかも知りませんでした。
ラットに入ったりしてたのですね。
ちょっとググると、他にもいろんなバンドを転々としてるようで。
なんかもったいないですね。
やっぱりクワイエット・ライオットこそが彼のいるべき場所って思えますね。
いいギタリストなのに、世間からあまり高評価をもらえてないところが残念です。
クワイエット・ライオットに戻ってもう一花咲かせて欲しいものです。
コメントありがとうございました。