紫の貴公子 PRINCE AND THE REVOLUTION  -   PURPLE RAIN

PRINCEとの出会い





僕がPRINCE(プリンス)を知ったのは高校1年生のときだ。
チャートに得体の知れないアーティストが上がってきた。

 

タイトルはWHEN DOVES CRY(ビートに抱かれて)。
いろんな番組でPVがオンエアされまくっている。
最初の印象は、申し訳ないが、気色悪い、の一言だった。
しかし、繰り返し見ていると、少しずつ楽曲の良さに気付き、ついで、ビデオに登場する彼への関心が高まっていった。
まさに見事なプロモーションである。

 

完全にはまった僕は、お小遣いをはたいてレコード屋に「ビートに抱かれて」が入っているLPレコード、PURPLE RAIN(パープル・レイン)を買いに行ったのでした。

プリンスのPURPLE RAINまでの歩み

プリンスは1978年にFOR YOU(フォー・ユー)というアルバムでデビューしています。
このアルバムでは、作曲、演奏、アレンジ、プロデュースを全て一人でやっている。
加えて、レコードでは27の楽器を自ら用いているのだ。
19歳でワーナー・ブラザーズとの破格の契約を得たのも決してまぐれではないのだ。
アルバムは163位に終わり、シングルSOFT AND WET(ソフト・アンド・ウェット)は92位にとどまるが、ソフト・アンド・ウェットはビルボード誌のHot R&B/Hip-Hop Songsチャートでは12位と健闘し、これからに大きな期待を抱かせる結果となります。

 

翌1979年にはセカンドアルバムPRINCE(愛のペガサス)をリリース。
アルバムからはI WANNA BE YOUR LOVER(ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー)がスマッシュヒット、全米11位を記録。
ちなみにHot R&B/Hip-Hop Songsチャートでは1位を獲得し、人気の上昇を印象付けています。
こうしたヒットもあり、アルバムは22位、アメリカで100万枚の売り上げを達成しました。

 

1980年にはDIRTY MIND(ダーティー・マインド)をリリース。
このアルバムからは3曲のシングルがカットされているが、ビルボードシングルチャートには登場していないようだ。
それに加えて、性的に露骨な歌詞が多く、head(ヘッド)やSISTER(シスター)という曲が放送禁止になるなど、論争を巻き起こす点で話題になったアルバムである。
そうした内容のせいか、アルバムは45位、売り上げは50万枚にとどまっています。

 

さらに翌1981年、タイトルCONTROVERSY(戦慄の貴公子)を発表。
自らへのゴシップを逆手にとって、アルバムタイトル(論争を意味する)につけてくるとはなかなかタフである。
このアルバムの先行シングルCONTROVERSY(コントラヴァーシー)はシングルチャート70位、とメインのチャートでは大きなヒットにはまだ結びつかない。
しかし、ビルボード誌Dance Club Songsチャートでは1位を獲得しているし、2ndシングルLET’S WORK(レッツ・ワーク)も同チャートを制しています。
このようにもう少しでブレイクする要素はちらほら見えては来ています。
アルバムは21位100万枚の売り上げである。

 

そして5年連続リリースしてきた5枚目のアルバム、1982年リリースの1999でついにブレイクを果たしました。
アルバムからヒット曲が多数生まれています。
先行シングルの1999はビルボード誌シングルチャート第12位、2ndがLITTLE RED CORVETTE(リトル・レッド・コルヴェット)で第6位、3rdシングルがDELIRIOUS(デリリアス)で第8位とヒットを連発。
アルバム1999はアルバムチャート第9位を記録し400万枚を売り上げました。

 

このように一気にブレイクしたところで、次の作品、アルバムPURPLE RAIN(パープル・レイン)のリリースとなります。
このアルバムは、同年に公開されたプリンスの自伝的映画PURPLE RAIN(パープル・レイン)のサウンドトラックとなっています。
そして、このアルバムからこれまでのPRINCE名義が、バックバンドであるTHE REVOLUTIONが合わせてクレジットされるようになりました。

 

では今日は、1984年リリースの、PRINCE AND THE REVOLUTION(プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション)の6thアルバム、PURPLE RAIN(パープル・レイン)をご紹介します。

PURPLE RAIN(パープル・レイン)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、LET’S GO CRAZY(レッツ・ゴー・クレイジー)。

 

この曲はオルガンの音をバックに、説教師のようなプリンスの演説から始まります。
演説が終わりにさしかかると軽快なドラムがビートを刻み始め、そこにソリッドなエレキが切り込んできます。
超かっこいいイントロだ。
PVはライヴシーンが中心で映画のシーンも挿入されている、まさにサウンドトラック的なPVとなっています。
ライヴの様子だが、ギターをからって歌い、観客を煽るプリンスは超絶にかっこいい
ギターソロもかっこよすぎます。

 

2007年にアメリカのローリング・ストーン誌は「歴史上最も過小評価されている25人のギタリスト」という特集を組んでいる。
なんとその第一位がこのプリンスだ。
この楽曲でも彼のギターセンスや、ソロのテクニックは十分に優れている。
しかし、これまでそれ以外の、どちらかというと論争を引き起こすような悪い部分で目立ったため、ギターテクについてはあまり語られることがなかったようです。
でも、実際に耳を傾けてみると、このアルバムでも随所に優れたギタープレイを披露しているので、要注目となっています。

 

この曲はアルバムからの2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌のシングルチャート、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャート、Dance Club Songsチャートの3つのチャートで第1位を獲得する大ヒットとなりました。

 

2曲目は、TAKE ME WITH U(テイク・ミー・ウィズ・U)。

 

これはポップで爽やかな印象のある楽曲です。
この曲はプリンスファミリーの一人であり、映画パープル・レインではヒロインを演じたApolloniaアポロニア)とのデュエットソングとなっています。
アルバムの中ではかなりキャッチーな方の楽曲で、チェロやヴァイオリン、ヴィオラといった楽器が、要所でいいアクセントを与えていますね。

 

この曲はアルバムからの5thシングルとしてカットされ、シングルチャートで第25位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第40位を記録しています。

 

3曲目は、THE BEAUTIFUL ONES(ザ・ビューティフル・ワンズ)。

 

ここからがらっと雰囲気が変わります。
この曲は今までのようにプリンス一人で作られた作品の一つです。
劇中では、アポロニアを自分の恋人として選んでもらえるようステージ上で歌うシーンで使われていました。
今回、ここまで出てきてなかった、プリンスのファルセット中心の楽曲です。
後半は盛り上がってくると強烈なシャウトを繰り出します。
このシャウトが、結構癖になってくるのだから不思議なものです。

 

4曲目はCOMPUTER BLUE(コンピューター・ブルー)。

 

冒頭でTHE REVOLUTIONWendy(ウェンディ)とLisa(リサ)による、怪しい雰囲気から始まるロックソングです。
途中からエレキが印象的に楽曲のかなりの部分で使われている。
プリンスのギタリストとしての才能も感じ取れる楽曲だ。

 

5曲目は、DARLING NIKKI(ダーリン・ニッキー)。

 

この曲もプリンスが一人で作った曲の一つです。
これは問題を引き起こした楽曲ともなっています。
何と言っても歌詞に問題ありで、ティッパー・ゴア(当時のゴア副大統領夫人)は子供に聞かせない音楽を検閲するためにPMRC(ペアレンツ・ミュージック・リソース・センター)を設立。
そのきっかけになったのがこの曲の歌詞ということだ。
僕も、この曲さえなければ、もっとこのアルバムを他の人に勧められるのに、とちょっと残念ですね。
映画でも確か恋人を取られやけになったときのステージでこの曲を演奏しており、そして客からブーイングを受けているシーンで使われてたと思います。
映画のシーンにはあってるのかも知れないけど・・・。
ちょっと残念です。

 

B面1曲目は、WHEN DOVES CRY(ビートに抱かれて)。

 

これは超名だ。
この曲の楽器は全てプリンスによるものとなっています。
なので、あの印象的なイントロのギターソロも当然彼のプレイだ。
あんなギターは聴いたことが無い。
まず、のっけから楽曲に引き込まれる仕掛けとなっていますね。
そしてそれに続いて打ち込みとシンセによる演奏。

 

何かが足りない
そうだ、ベースラインだ。
80年代のダンスソングには全くもって珍しい。
もともとはベースラインはあったのだそうだが、話し合いの末、取っ払ったようです。
ベースが無くても、雰囲気を変えて行くために様々なシンセなどが効果的に用いられている。
ベースラインを除くことによって、不思議な魅力のある、また他に類の無い楽曲が誕生したのだ。

 

また、PVについても少しふれたい。
はっきりいって、あの風呂場でのシーンは気色悪いと思ったよ、最初は。
でも次第に癖になって行く、よく作りこまれた映像だ。
映画のシーンもうまく織り込み、前半はプリンスと映画の紹介のような構成だ。
劇中のあの紫のバイク、アルバムジャケットにも使われているやつだが、最初は趣味が悪い色だと思っていたが、次第になんてかっこいいんだ、って思えてきた。
とにかく、プリンスがかっこよく映されている見事な映像だ。
そして後半は、今回からアーティスト名にともにクレジットされているバンド、THE REVOLUTIONの紹介のようになっている。
このときもやはりプリンスが、彼独特の衣装に身をまとい、踊っている。
これもやはりかっこよく見えてくるのだ。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートで5週連続No.1、また、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャート、Dance Club Songsチャートの合わせて3つのチャートでNo.1を獲得しています。
さらにこの年の年間チャートでも堂々のNo.1を獲得したのでした。

 

2曲目はI WOULD DIE 4 U(ダイ・フォー・ユー)。

 

このアップテンポなダンスソングはこのアルバムの中では、とても聴きやすく、気持ちの良いサウンドになっています。
デジタルビートに乗せたプリンスの柔軟交えたヴォーカルが素晴らしいですね。
そしてここからラストへ向けての一連の素晴らしい流れを楽しめます。

 

この曲は4thシングルとしてカットされ、シングルチャートの第8位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第11位、Dance Club Songsチャートで第50位を記録しています。

 

3曲目は、BABY I’M A STAR(ベイビー・アイム・ア・スター)。

 

前の曲が終わらないうちに次の曲にチェンジ。
ポップなノリは一転してロックなノリに早代わりだ。
この曲はレッツ・ゴー・クレイジーとともに、多くの人が普通に楽しめる軽快なロックソングになっています。
ライヴでは盛り上がるに違いないキラーチューンと言えよう。
この曲でもシンセが後半の盛り上がりを演出している。
やはりこの音使い、プリンスは天才だと感じます。

 

アルバムラストは、PURPLE RAIN(パープル・レイン)。

 

そしてライヴ風に前の曲が終わって観客の声が静まり返った後に、エレキのストロークがジャラーンと鳴らされてこの曲が静かに始まります。
この曲は映画でもクライマックスのところで美しく用いられています
プリンスと仲間とのライヴシーンだが、それを客席で見つめる父親など、感動的なシーンでした。
そのようなシーンにピッタリな見事なバラードを作りましたね。

 

この曲のハイライトは3分46秒くらいから始まるプリンスの熱いギターソロに違いありません。
この曲調にふさわしく、彼は自慢のギターを泣かせ続けます。
もう誰にも過小評価させない、と主張するかのように弾きまくっています。

 

曲後半でのメロディが、JOURNEY(ジャーニー)のFAITHFULLY(時への誓い)のメロディに似てるのを気にして、作曲者のJonathan Cain(ジョナサン・ケイン)に電話で了承を取った、というエピソードには驚きですね。
また、この曲の歌詞を初めはStevie Nicks(スティーヴィー・ニックス)に依頼したけど、圧倒された彼女は、わたしにはムリとお断りした、という話もあります。
このような、大物同士、天才同士のつながりって、素晴らしいですね。

 

そしてシンセがゆるやかにメロディーを奏でながら、長いアウトロは壮大に終わりを迎えます。

 

この曲はアルバムからの3rdシングルとしてカットされ、シングルチャートで第2位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第3位を記録しました。

まとめとおすすめポイント

1984年リリースの、PRINCE AND THE REVOLUTION(プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション)の6thアルバム、PURPLE RAIN(パープル・レイン)はビルボード誌アルバムチャートで、24週連続でNo.1を記録しています。
売り上げは、初週だけで100万枚を売り、最終的にアメリカでは1300万枚という大ヒットを記録しています。
さらに言えば、世界では2500万枚のセールスとも言われています。

 

これは前の作品1999からの大飛躍と言えるでしょう。
この大ヒットの要因としては、今回は彼自身の映画のサウンドトラック、という一面があったのがあげられると思います。
映画の紹介、という意味を考えれば、大衆に受け入れられるいい楽曲を作る、という明確な目的ありきでアルバム作りを行なえたに違いありません。
これまでは、自分のやりたいことをやって、例えそれが論争を引き起こそうが、その道をまっすぐに突き進んで少しづつ人気を獲得してきましたが、今回はより多くの人にアピールする楽曲を準備することができたのでしょう。
それがこのモンスターヒットの要因だと僕は分析しています。
その後も数多くアルバムを製作しているが、その中でも一番ポピュラーで聴きやすいのがこのアルバムだと思います。

 

どれも個性的で、魅力的なアルバムばかりですが、一番取っ掛かりやすく、万人受けするのはパープル・レインで間違いないでしょう。

 

ベストアルバムもいいけど、やはり、この1984年という時に大ヒットしたこのアルバムを一番におすすめしたいと思います。
可能なら、映画パープル・レインも鑑賞されると、いっそうプリンスというアーティストへの親しみが増すと思いますので、合わせておすすめします。

チャート、セールス資料

1984年リリース

アーティスト:PRINCE AND THE REVOLUTION(プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション)

6thアルバム、PURPLE RAIN(パープル・レイン)

ビルボード誌アルバムチャート24週連続No.1 アメリカで1300万枚、世界で2500万枚のセールス

1stシングル WHEN DOVES CRY(ビートに抱かれて) ビルボード誌シングルチャート5週連続No.1、Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートNo.1、Dance Club SongsチャートNo.1

ビルボード誌1984年、年間チャートNo.1

2ndシングル LET’S GO CRAZY(レッツ・ゴー・クレイジー) シングルチャートNo.1、Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートNo.1、Dance Club SongsチャートNo.1

3rdシングル PURPLE RAIN(パープル・レイン) シングルチャートで第2位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第3位

4thシングル I WOULD DIE 4 U(ダイ・フォー・ユー) シングルチャート第8位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャート第11位、Dance Club Songsチャート第50位

5thシングル TAKE ME WITH U(テイク・ミー・ウィズ・U) シングルチャートで第25位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第40位

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