アルバムより長いEP(ミニ・アルバム) DREAM THEATER - A CHANGE OF SEASONS

Kevin Moore(ケヴィン・ムーア)脱退後、新メンバーの加入





1994年リリースの3rdアルバムAWAKE(アウェイク)の制作が完了する少し前には、既にキーボードのKevin Moore(ケヴィン・ムーア)はDREAM THEATER(ドリーム・シアター)からの脱退を発表していました。
それで、アルバムリリース後のツアーのために、バンドは新しいキーボーディストを獲得する必要に迫られていました。

 

バンドはオーディションを開催。
かつてYngwie Malmsteen(イングヴェイ・マルムスティーン)やDIOのキーボーディストであったJens Johansson(イェンス・ヨハンソン)はその中で一番の大物でした。
しかしバンドメンバーは、Jordan Rudess(ジョーダン・ルーデス)を加入させたいと強く望んでいたようですね。
Mike Portnoy(マイク・ポートノイ)とJohn Petrucci(ジョン・ペトルーシ)はキーボード・マガジン誌で彼を見かけていました。
その雑誌では、読者の人気投票で “best new talent”として認められていたのでした。

 

それで、二人はルーデスを、カリフォルニアのバーバンクで開かれた、Foundations Forum試しにギグをプレイするよう招待します。
そのショーは成功し、ルーデスはドリーム・シアターのメンバーとなるよう求められましたが、彼はDIXIE DREGS(ディキシー・ドレッグス)と共にツアーに出ることを選びました。
なぜなら、そっちのほうが、より多くの個人的な自由度が与えられたからです。

 

結局バンドは、バークリー音楽院の卒業生Derek Sherinian(デレク・シェリニアン)を雇うことにします。
彼はALICE COOPERKISSなどと共にツアーをしたりレコーディングをしたりという経歴がありました。
それで、彼とともにアルバムAWAKE(アウェイク)を引っさげて行なわれたツアー、Waking Up the World Tourに出ることになります。
その際、ドリーム・シアターの非常に複雑な音楽のつまった約2時間のショーで演奏するキーボードを覚えて練習するために、わずか2週間しか与えられなかったようです。
しかし、デレクはそれをやってのけ、見事ドリーム・シアターの正式メンバーとしてのポジションを勝ち取ることになったのでした。

A CHANGE OF SEASONS(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)リリースのきっかけ

こうして、新メンバー加入の運びとなりましたが、バンドはすぐに新しい作品に取り掛かろうとはしませんでした。
しかし、世界中のファンクラブのメンバーが、バンドにA CHANGE OF SEASONS(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)を公式にリリースするよう圧力をかけ始めていました。
この曲は1989年に既に書かれていて、2ndアルバムのIMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)に収録される予定だった楽曲です。

 

しかし、ほぼ17分にわたる長い曲であったため、アルバムに収めることは見送られました。
それでも、バンドによってライヴでは演奏されていましたし、曲自体も、メンバーによって修正、改訂が加えられ続け、成長を続けていました

 

そしてついにファンの願いはかなえられ、ついにリリースの運びとなります。
この1995年の時点でこの曲は23分超えの大作になっており、これをバンドはEPとしてリリースすることに決めました。

 

EPというのはExtended playの略で、一般的にはシングルよりは長いが、アルバムほどではない、といった感じの形式です。
ところがバンドはこの23分の曲に加えて、ロンドンのロニー・スコッツ・ジャズ・クラブで行われたライヴから4トラックが収められ、何とトータルタイム57分35秒という、普通のアルバムを遥かに超えるミニアルバムとなったのでした。
それでも、彼らはこれはEPとしてみなされることを望み、決して彼らのアルバムではないということを強調しています。

 

今日はファンに動かされて1995年にリリースとなった、熟成に熟成を重ねた大作EPA CHANGE OF SEASONS(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)を紹介したいと思います。

A CHANGE OF SEASONS(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)の楽曲紹介





この曲は7つのパートからなる組曲となってます。

 

I. The Crimson Sunrise(ザ・クリムゾン・サンライズ)
II. Innocence(イノセンス)
III. Carpe Diem(カーペ・ディエム)
IV. The Darkest of Winters(ザ・ダーケスト・オブ・ウィンターズ)
V. Another World(アナザー・ワールド)
VI. The Inevitable Summer(ザ・インエヴィタブル・サマー)
VII. The Crimson Sunset(ザ・クリムゾン・サンセット)

 

トータルタイム23分06秒の超大作プログレッシヴロックである。

 

0′00″~ I. The Crimson Sunrise(ザ・クリムゾン・サンライズ)

 

ペトルーシの美しいアルペジオから楽曲は静かに始まります。
ステレオの広がりを利用して、空間処理されたギターの音は少し物悲しく流れ続けます。
ベースのロングトーンも曲を重々しく彩っています。
そこにシンセの音がかぶさってきて、音世界が広がり始めていきます。

 

すると、ヘヴィな地を這うようなギターリフとドラム&ベース音が切り込んできて急展開を遂げますね。
プログレッシヴメタルの名に恥じない、ヘヴィ&スピーディに曲は形を変えていきます。
エレキの音が彩るその裏では重いベースラインがはっきりと曲を引き締めています。
そこにシンセの音が加わり重厚なサウンドに。

 

3′50″~ II. Innocence(イノセンス)

 

テンポが変わりますが、引き続き重いギターリフとベース、ツーバスのドラムでヘヴィに曲は続きます。
すると、エレキが柔らかなメロディを奏で始め、ついにここでラブリエのヴォーカルが入ります。
余裕のあるヴォーカルで、バックの演奏は引き続き変拍子を混ぜながらも手堅くプレイされていきます。
サビではコーラスもうまく絡み、非常に聴き易い部分となっています。

 

6′54″~ III. Carpe Diem(カーペ・ディエム)

 

そして、空間処理されたアルペジオのみの静かなパートへ。
Carpe diem Seize the dayというささやきと共にラブリエはアルペジオをバックに静かに歌い続けます
バックのペトルーシのアルペジオが美しい音色を奏でます。
ラブリエも伸びやかに高音域まで歌い上げています。

 

そして、ドラムが入り、軽やかでクリーンなカッティングギターパートです
ラブリエの歌メロの後のベースラインが非常にメロディアスになっています。
ドラムが入り激しいリズムに変わり、ラブリエはそれに応じて激しくシャウト気味に声をぶつけます
そして、I said, “I Love You…Good-bye”

 

9′48″~ IV. The Darkest of Winters(ザ・ダーケスト・オブ・ウィンターズ)

 

勢いを増した楽曲は、さらにヘヴィなギターリフと共に一層激しさを増していきます
その間3連のリズムに変わったり、戻ったりと変拍子を繰り返していってます。
ここはインストで、楽器のバトルパートのようです。
ギターもベースもシンセもそれぞれ、技の応酬になっています。
途中のシンセのソロは新加入のデレクの出番です。
十分にバンドの一員として、ケヴィン・ムーアとはまた違った雰囲気でソロを奏でていますね。
ギターソロではペトルーシはヘヴィに弾きまくっています。
そしてそれぞれのソロの裏では、マイアングのベースが縦横無尽に低音をならしまくっています。

 

それぞれが超絶プレイを奏でるパートです。
特に後半のギターとベースによる高速ユニゾンプレイは鳥肌ものですね。

 

13′01″~ V. Another World(アナザー・ワールド)

 

このパートは中間部のゆったりメロディアスなパートです。
いったん演奏は静かになり、ラブリエが歌い上げていきます
ギターのアルペジオと静かなベースのロングトーンが響き、シンセがささやかに曲を彩っています。
中盤のヴォーカルが激しくシャウト気味に歌う部分はラブリエの独壇場ですね。
AWAKE(アウェイク)で見せた攻撃的なヴォーカルをここでも響かせています。
その後のギターソロも非常にメロディアスになっています。

 

17′01″~ VI. The Inevitable Summer(ザ・インエヴィタブル・サマー)

 

ここのパートはギターとベースの先導で始まるインストパートです。
ベースが重いラインを刻むその上でギターがスローなメロディを奏で続けます。

 

それがドラムも入ってきて、ギターも激しさを増していき、楽曲が次第にスピードを上げていきます。
そして轟音と共に、ラストへ向けてヘヴィ&スピードパートで突入です。
またも、インストゥルメンタルバトルです。
ヘヴィなギターリフとキーボードバトルで、メタリックなバンドサウンドを作り出しています。
デレクもなかなかやりますね。
そして、ワウの効いたギターメロディが入ってきて、イントロのあのメロディが再び重々しく登場となっています。

 

20′12″~ VII. The Crimson Sunset(ザ・クリムゾン・サンセット)

 

軽快なギターメロディと共に、最終パートが始まります。
ヘヴィなバンドサウンドの上でラブリエのヴォーカルもラストへ向けて歌い上げます
最後の盛り上げはラブリエと他のメンバーのコーラスです。
ラブリエも最後のハイトーンをきっちり出して、見事に歌い上げました。

 

壮大な23分も終わってしまえばあっという間です。
ラストはイントロのアルペジオが繰り返されて静かに楽曲は幕を下ろします

その他4トラックのライヴ音源の簡単な紹介

このEPはもちろんA CHANGE OF SEASONS(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)がメインの楽曲となりますが、おまけとして4トラックのライヴ音源が収録されています。
(おまけというにはかなりでかいですが・・・。)

 

トラック2は、Funeral for a Friend/Love Lies Bleeding(葬送/血まみれの恋はおしまい)で、Elton John(エルトン・ジョン)のカバーとなってます。

トラック3は、Perfect Strangers(パーフェクト・ストレンジャーズ)で、Deep Purple(ディープ・パープル)のカバーです。

トラック4は、The Rover – Achilles Last Stand – The Song Remains The Same(「流浪の民/アキレス最後の戦い/永遠の詩)で、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)のカバー3曲のメドレーです。

トラック5は、The Big Medley(ザ・ビッグ・メドレー)で、

In the Flesh? (Pink Floyd cover)、
Carry On Wayward Son (Kansas cover)、
Bohemian Rhapsody (Queen cover)、
Lovin’, Touchin’ , Squeezin’ (Journey cover)、
Cruise Control (Dixie Dregs cover)、
Turn It On Again (Genesis cover)

の6曲のメドレーとなっています。

 

一曲ずつのレビューはしませんが、どれもドリーム・シアターらしく手堅い演奏となっています。
やはり、それぞれが超絶アーティストだけあって、上手すぎます。
ライヴでここまでかっちりと再現できるのですから、やはり彼らのテクニックが本物だと言うことを証ししている音源だと言えるでしょう。

 

またラブリエも、普段はドリーム・シアターの楽曲ではかなりな高音域を無理やり出している部分もありますが、このライヴを聴くとたいていのものは余裕で歌っていることに気付けます。
こうして聞くと彼の歌の上手さは半端ないです。
ラブリエならJOURNEY(ジャーニー)がスティーヴ・ペリーを失なった代わりを完全に務めることができるのでは、とこの曲をはじめて聴いたとき思った覚えがあります。

 

これはオリジナルを知っている人も楽しめると思いますし、知らない人でもドリーム・シアターのレパートリーと思えるクオリティを楽しむことが出来ると思いますね。

まとめとおすすめポイント

ケヴィン・ムーア時代から温められてきたA CHANGE OF SEASONS(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)は1995年に日の目を見ることになりました。
この曲はビルボード誌アルバムチャートで第58位を記録しています。

 

23分という非常に長い上に、プログレッシヴな要素満載で、1,2度聞いたくらいではその良さを感じることは難しいでしょう。
そういう意味では、楽曲をじっくり聞き込むファンのための楽曲といえるかもしれません。

 

しかし、繰り返し聴くと、間違いなく彼らの見事に構築された世界に圧倒されるに違いありません。
インストと歌メロのパートを入り混ぜて、ドラマティックに楽曲が作り上げられています。
そしてこの壮大な楽曲を、実際にプレイできる彼らのテクニックにも注目できます。

 

知らない人が聞けば複雑怪奇に聴こえるかもしれませんが、彼らはライヴでほぼこの23分を完全再現してしまう超絶テクとリズム感を持っているのです。
誰にでもすすめられられる作品ではないかもしれませんが、プログレに関心を持っている人なら、きっと気に入ることができると思われます。

 

また、この曲はもともと最初でも述べたように、2ndアルバムのIMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)に収録予定でした。
尺の関係で入らなかったようですが、入らなくってよかったと思います。

 

曲の感じからして、どちらかというと前作のAWAKE(アウェイク)の系統が近いのではないかと思えるからです。
2ndに入れるにはちょっとヘヴィでダーク過ぎたかもと思えます。
結果として、3rdにも入らず、ここでEPとしてリリースされたわけですが、これは最善の選択だったのではないでしょうか。

 

この曲はこの曲だけで見事な起承転結を示しています。
なので、この23分だけで十分におなかいっぱいになれるからです。
あとは、おまけのライヴ音源で、ゆったり楽しむことができます。

 

とにかく、ドリーム・シアターの超絶テクニックや、プログレッシヴな魅力がたっぷり詰まったこのEPはなかなか充実したものとして楽しめる作品になったと思います。

チャート、セールス資料

1995年リリース

アーティスト:DREAM THEATER(ドリーム・シアター)

EP、A CHANGE OF SEASONS(ア・チェンジ・オブ・シーズンズ)

ビルボード誌アルバムチャート第58位 アメリカで15万枚のセールス

 

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