テクニカル・プログレッシヴ集団の最高傑作 DREAM THEATER - IMAGES AND WORDS

DREAM THEATER(ドリーム・シアター)との出会い





ギターを弾いてると、いろんな優れたギターリフに出会います。
この時は、ヘヴィリフを紹介したサイトでたまたまクールなリフと出会ったのでした。
曲名はPULL ME UNDER(プル・ミー・アンダー)、非常にシンプルなのに、鋭くヘヴィでとてもかっこよく思えました。
しかし僕はこの曲を演奏しているのがDREAM THEATER(ドリーム・シアター)と知ったとき、おお、なんてことをしてしまったんだ、と思ったのです。

 

1989年に彼らはデビューアルバムを出しています。
その時、僕もその情報には触れていました。
だが、ドリーム・シアター?、夢劇場?、となんかバンド名がいまひとつ魅力的でなかったのと、宣伝で見た1stアルバムのジャケット写真を見て気に入らなかったため、まったくスルーしてしまっていたのでした。

 

それからそのヘヴィリフに出会うまで十数年が経過しています。
それまで全くドリーム・シアターは僕の音楽生活に関わりを持つことはなかったのでした。
今思うとなんてもったいないことをしてたんだ、という気持ちでいっぱいですね。

 

しかしそのリフをきっかけに、全てのアルバムをさかのぼり、僕のフェイバリットアーティストの一つになってしまったのだから、どこにきっかけが隠れてるかわからないものです。

 

とにかく、ちょっとした偏見のために聴かなかったバンドが、実は最高級に素晴らしいバンドだった、という、「食わず嫌いはだめだよ」、という教訓を残してくれました。

DREAM THEATER(ドリーム・シアター)とは

1985年、マサチューセッツ州、ボストンのバークリー音楽院に通っていた3人、John Petrucci(ジョン・ペトルーシ)、 John Myung(ジョン・マイアング)、Mike Portnoy(マイク・ポートノイ)の3人にKevin Moore(ケヴィン・ムーア)が加わり、MAJESTY(マジェスティ)の名前でバンド活動を始めます。
1987年にはヴォーカルとして、Charlie Dominici(チャーリー・ドミニシ)が加入、デビューアルバム制作に5人バンドとして動き出しました。

 

そして1989年、デビューアルバム、WHEN DREAM AND DAY UNITE(ホエン・ドリーム・アンド・デイ・ユナイト)をリリース。
だが、バンド名、マジェスティは同名のバンドが別に存在していることがわかったため、ポートノイの父親の提案でドリーム・シアターに変更してついにデビューとなります。

 

このデビューの時点で、キャッチフレーズとして“RUSH Meets METALLICA”と言われていました。
プログレッシヴなRUSH(ラッシュ)がMETALLICA(メタリカ)のようなメタルをやったような音楽ということです。
後に山のようにこのジャンルのバンドが出てくるのですが、このプログレッシヴ・メタルというジャンルを切り開いたのはドリーム・シアターという認識で間違いないでしょう。

 

1stアルバムの時点で、既に彼らの高品質なテクニカルメタルサウンドは確立されており、デビューとはとても思えないプレイを披露しています。
ただ、演奏がすごすぎるゆえに、ドミニシのヴォーカルが弱いと言われてしまうのは、まあ、仕方ないのでしょうか。

 

それでも、技巧派のバンドでありながら、聴き易いナンバーも多数あり、僕は結構好感を持って聴いています。
ただ、その次のパーマネントヴォーカリストのラブリエと比較すると、ヴォーカルの力量は落ちてしまうのは仕方ありませんが、それを差し引くと結構いいアルバムだと思えますね。
すでに超絶技巧はアルバム中にちりばめられているのでした。

 

で、アルバムリリース後、そんなに経たないうちに、チャーリー・ドミニシはバンドを解雇されてしまいます。
wikiでは「人間性・音楽性の不一致により」とありますが、やはり技術のバランスの問題ではなかったのか、と考えられます。
決してドミニシが下手だったわけではありませんが、他のメンバーの超絶テクニックに見合った優れたヴォーカルを必要としたのだと思われます。

 

そして1991年、カナダ人のヴォーカリスト、James LaBrie(ジェイムズ・ラブリエ)がオーディションの末、正式にバンドに加入することになります。
これがミラクルだったと思えますね。
彼の加入で、既にハイレベルで確立していたドリーム・シアターの音楽が完成を見た、と言っても過言ではないでしょう。

 

1992年、バンドは3年ぶりのアルバム、ジェイムズ・ラブリエを擁して初のアルバムIMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)をリリース。
ドリーム・シアターがついにプログレッシヴ・メタルの旗手として、世界に羽ばたく瞬間です。

 

今日はそんな1992年リリースのDREAM THEATER(ドリーム・シアター)の2ndアルバム、IMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)をご紹介したいと思います。

IMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)の楽曲紹介

オープニングを飾るのが、PULL ME UNDER(プル・ミー・アンダー)。

 

これこそ僕が最初に出会った、あのヘヴィなギターリフの含まれた楽曲です。
8分を超える長い曲だが、全く無駄がないですね。
イントロのアルペジオも、ジョン・ペトルーシによる微妙な揺らぎが曲の印象を決定付けています。
そして、少しづつ楽器の音色が増えて行き、ついにあのヘヴィ・リフが登場、一気にメタルサウンドへ
イントロだけでたっぷり2分を費やしてますが、間延びした感じは全くありません。
そしてジェイムズ・ラブリエのヴォーカルが入ってきます。
明らかに前作のドミニシとはキャラが違うし、ヴォーカルとしての魅力も違います。
ハイトーンに至るまで、彼らの音楽性を見事に表現しています。

 

途中、スピードアップするところなんか、非常にスリリングですね。
マイク・ポートノイのドラムスが手数をたっぷりかけて、メタリックな疾走感を演出しています。
ギターソロも、滑らかに速いメロディを奏でています。
またキーボードとギターのユニゾンは、ドリームシアターの特徴の一つですが、驚異的なテクニックを感じさせてくれます。
いきなり、この8分の楽曲で、ドリーム・シアターがどんなバンドかはっきりわかる作りになっております。
しかし、これはほんの序の口に過ぎないのが、このアルバムのすさまじいところと言えますね。

 

そして曲はぶつ切れのように終わります。
最初僕は録音をミスったのか、と思いましたが、これは仕様でした。
どうやって曲を終えるかアイディアがなくて、最後はビートルズのI Want You (She’s So Heavy)のラストのアイディアを拝借したということのようですね。

 

この曲はこのアルバムからの1stシングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートは第68位、同誌Mainstream Rockチャートで第10位を記録しています。
これは彼らの唯一のシングルヒットとなります。

 

2曲目はANOTHER DAY(アナザー・デイ)。

 

ここでいきなりバラードとなり驚かされます。

 

これがまた、美しすぎるバラードなのです。
ラブリエのヴォーカルが良すぎて、極上のバラードになっていますね。
展開がとても計算されていますが、それぞれの楽器も引き立てあって異常に感情的に盛り上がれる曲です
サックスが入るのは意表を突かれますが、やはり上質な感じがあって見事に曲に溶け込んでいます。
また盛り上がったときは、バラードとはいえ、ポートノイの容赦ないドラムのフィルインがまた気持ちいいです。
ペトルーシのギターソロも美しいメロディをなぞっています。

 

3曲目はTAKE THE TIME(テイク・ザ・タイム)。

 

いきなり変拍子から入ります。
イントロから、めっちゃひきつけられる、非常にかっこいいメタルっぽい曲ですね。
ギターリフとキーボードが調和が取れていますし、ドラムも見事にビートを刻んでいます。
加えて、この曲ではベースのマイアングの仕事ぶりも良く聴こえます。
かなり存在感のあるベースプレイを披露していますね。

 

そして、この激しい曲をラブリエはうまくシャウト気味に歌いこなしています。
サビではメタルからキャッチーなメロディの楽曲にシフトされて、このバンドの懐の深さを感じさせてくれています。
またギターソロは変拍子の入ったもので、ドラムやベースとのタイミングもばっちりです。
メロディアスなソロも、アーミングで微妙なニュアンスを出すことを忘れてません。
加えて、ソロ後のギターとキーボードとのユニゾンプレイがまたまた美しいしテクニカルになっています。

 

この曲では、キーボードソロもたっぷりと用意され、ケヴィンのテクニカルプレイが楽しめます。
聴き所が満載過ぎて、濃いい楽曲になっていますね。
そして、曲の終盤ではまたギターソロがゆったりとしたメロディを奏で、また別の曲のような顔を見せてます。
これも8分超えですが、いろんな表現が凝縮された素晴らしい曲だと思います。

 

4曲目はSURROUNDED(サラウンデッド)。

 

また高次元な楽曲の登場です。
美しいバラードのように静かに始まります。
ラブリエの声もとても美しく歌い上げています。
最初のパートが終わると、結構ロックなアレンジの曲に変わっていきます。

 

結構な割合で変拍子が入っていて、プログレッシヴな雰囲気満載なのにも関わらず、メロディアスでキャッチーだという、優れた楽曲です。
ディレイをうまく使ったギターソロも非常に心地よく聴けますね。
中盤は非常に爽やかな印象を振りまいています。
とてもドラマティックな5分30秒になっています。
2曲目アナザー・デイと甲乙付けがたい名曲になってます。
最後はイントロ同様静かに幕を下ろします。

 

5曲目METROPOLIS, PART I: The Miracle and the Sleeper(メトロポリス)。

 

これがまたゾクゾクする名曲です。
これは9分30秒を超える大作になっています。
これはどう表現したらいいでしょう。
もう、震えが来るほど良く出来た素晴らしい楽曲なのです。

 

ただ、初めて1回聴くだけではこの曲の良さはわからないかもしれません。
聴けば聴くほど、緻密に作り上げられた構成、そして、ふさわしいところでハイテクニックを駆使した楽曲のプレイたちに気付くことができます。
マイアングのベースソロ、からのキーボードとギターのユニゾンプレイの流れはもう悶絶ものですね。
中盤のテクニカルなインストコーナーにも大注目です。
インストパートがたっぷりとってあって、一番の聴き所なのかもしれませんが、やはりラブリエのヴォーカル抜きにはこの曲は語れません。
歌メロの美しさもあいまって、ラブリエが情感たっぷりに歌い上げてくれてます。

 

4人の楽器、ギター、ベース、ドラム、キーボードの見せるテクニカルフレーズの応酬ではありますが、やはりそこに5番目の楽器であるラブリエの声が入ってこの9分30秒は完成するのです。

 

それにしても、各パートがテクニックがすごすぎるのに、良く考え抜かれた構成ゆえ全体がまとまっているという、ミラクルな楽曲と言えますね。
とにかく聞き込むことによって、この曲のよさがあふれ出してくるので、さらっと聴くだけでこの曲を判断しないで欲しいと思います。
僕の中では、アルバム中最高の楽曲と思っています。
後に発表されるメトロポリスパート2がまた素晴らしいので、そちらにも注目して欲しいですね。

 

6曲目はUNDER A GLASS MOON(アンダー・ア・グラス・ムーン)。

 

この曲も7分超えの長い曲ですが、いい曲ですね。
まずは、イントロのギターが聴かせてくれます。
オクターヴ奏法が曲の見事なイントロダクションになっており、非常に惹きつけられます。
さらにこの後のメタリックな部分ではまた変拍子炸裂です。
これを正確に叩き分けるポートノイと、弾き分けるペトルーシ、すごすぎです。

 

Aメロが始まると、ラブリエが伸びやかに歌い出します。
Bメロまでの間は爽快なハードロックのイメージです。
そして、この曲のハイライトは、間奏パートでしょう。
変拍子から始まって、ベースのちょっとしたソロ後に始まるギターソロ、これはペトルーシのキャリアの中でも5本の指に入るソロではないでしょうか。
またその後に続くキーボードソロもきまっていて、怒涛のインストパートが終わります。
これもよく構成された見事な楽曲になっています。

 

7曲目WAIT FOR SLEEP(ウェイト・フォー・スリープ)。

 

これはキーボードのケヴィン・ムーアによる楽曲です。
キーボードのイントロが非常に美しいです。
わずか2分半の楽曲ですが、優れたバラードになっています。
そしてこれは次の曲のイントロといってもいいでしょう。

 

アルバムラストを飾るのはLEARNING TO LIVE(ラーニング・トゥ・リヴ)。

 

11分30秒と長いが、これもまたドリーム・シアターの音楽性がぎっしりと凝縮されていて、飽きさせない見事な楽曲になっています。
ただ、僕も最初はそのすごさに気付けませんでした。
これも聴けば聴くほど味わいを増していくタイプの楽曲なのです。
イントロでも得意の変拍子を交えながら、展開を始めていきます。
ヴォーカルパートも少しずつ様子を変えながら、曲が進んでいきます。
ヴォーカルを引き立てる、という考えはあまりないようですね。
歌の裏の演奏も、常に動いていて注目しなければならないのです。
そういう意味で楽器バトルにはヴォーカルも参加していると言えるでしょう。

 

途中で、アコースティックなギターにより雰囲気が変わります。
このパートも各楽器のバトルに要注目ですね。
それに負けじとハイトーンに歌い上げるラブリエの熱唱にも要注目になっています。

 

曲の後半では前の曲のウェイト・フォー・スリープのイントロのピアノのメロディがなぞられます
ユニゾンでのそのメロディがやはりまた美しいのです。
最後もラブリエは熱く歌い上げています。
そしてベースがそれに続き、そこにドラムやギターが重なっていきます。
そしてこの曲のテーマとなるメロディをギターが奏でながらフェイドアウトしていき、アルバムは終わりを迎えます。

まとめとおすすめポイント

この1992年リリース、1992年リリースのDREAM THEATER(ドリーム・シアター)の2ndアルバム、IMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)は、ビルボード誌アルバムチャートで第61位を記録しました。

 

このアルバムは、10000文字で語るより、聴いてもらって初めてその価値がわかるアルバムだと思います。
プログレッシヴ・メタルと言われるだけあって、多少難解なところもあるでしょう。
なので、1,2回聴いても理解できないかもしれません。

 

しかし、十分に聞き込むことによって、彼らの緻密な作品が脳裏に浮かび上がってきます
現代の忙しい生活の中で、そんなに何回も聴く暇はないかもしれません。
ただ、僕はそれが出来たので、すばらしいアルバムを楽しめたし、その後に続く多くの名作とも出会うことができました。
きっと当時リアルタイムで聴きまくって、この作品を最高傑作と感じれた人は多いに違いありません。

 

超絶技巧を駆使しているのにもかかわらず、メロディアスなキャッチーさも兼ねそろえているところも本作品の魅力の一つです。
ヘヴィな楽曲でもサビは非常にキャッチーだし、バラードは限りなく美しい。
かといって単純なメタル、単純なバラード、ではなく、様々なところにテクニカルな部分が埋め込まれています。
普通に聴いても感動できるし、超絶技巧に気付いても感動できるのです。

 

このアルバムは非常に作りこまれた完璧な作品ですが、ドリーム・シアターのすごいところは、それをほぼ完璧にライヴにおいて再現してしまうところです。
本当に個々のメンバーが素晴らしいテクニックを有しているのです。
それにはやはり十分な努力と練習がその技術を支えていることに間違いありません。

 

世の中では既にグランジの嵐が吹き荒れ、旧態依然のバンドがことごとく駆逐されていく中で、彼らは超絶技巧のプログレッシヴ・メタルという新たなジャンルを切り開き、そこに活路を見出しました。

 

この名作の誉れ高いIMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)、多くの人に味わって欲しいと思います。
それと共に、ドリーム・シアターにももう一度このレベルのアルバムを作ってもらえると、もっとうれしいと思うのはわがままでしょうか!?

チャート、セールス資料

1992年リリース

アーティスト:DREAM THEATER(ドリーム・シアター)

2ndアルバム、IMAGES AND WORDS(イメージズ・アンド・ワーズ)

ビルボード誌アルバムチャート第61位 アメリカで60万枚のセールス

1stシングル PULL ME UNDER(プル・ミー・アンダー) ビルボード誌シングルチャート第68位、同誌Mainstream Rockチャート第10位

2ndシングル METROPOLIS, PART I: The Miracle and the Sleeper(メトロポリス) チャート圏外

3rdシングル TAKE THE TIME(テイク・ザ・タイム) Mainstream Rockチャート第29位

4thシングル ANOTHER DAY(アナザー・デイ) Mainstream Rockチャート第22位

 やっぱりライヴでそのテクニカルなプレイを目撃して欲しい。
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