メロディアスハードロックを聴くなら WHITE LION - PRIDE(プライド)

WHITE LION(ホワイト・ライオン)との出会い





80年代後期はハードロック、ヘア・メタルバンドは百花繚乱の様相を呈していたわけですが、このバンドもその中の一つで、異彩を放っていました。
バンド名はWHITE LION(ホワイト・ライオン)。
シングルWAIT(ウェイト)の爽快なかっこよさに僕は魅せられたのでした。

WHITE LION(ホワイト・ライオン)とは

ホワイト・ライオンは1983年にニューヨークで結成したハードロックバンドで、ヴォーカルのMike Tramp(マイク・トランプ)、ギタリストの Vito Bratta(ヴィト・ブラッタ)を中心に結成されています。

 

1984年にはエレクトラレコードと契約しデビューアルバムを作りますが、エレクトラはアルバムリリースを拒んで契約解除。
いったん、デビューアルバムは白紙になります。
そして早くもメンバーチェンジ。
しかし、その後日本ではJVC Recordsによってアルバムがリリースされます。
それから、フィラデルフィアに拠点を置くGrand Slamm Recordsがエレクトラからアルバムの権利を買いとり、ようやく本国アメリカでもアルバムはリリースされることになりました。
ところがその2,3ヵ月後、Grand Slamm Recordsは破産してしまいます。

 

といったごたごたに巻き込まれながらも、何とか出されたデビューアルバムは、FIGHT TO SURVIVE
アルバムチャートでは151位とヒットはしませんでしたが、荒削りのこの作品も次作への布石として評価する人も多いです。
独特のマイクのハスキーで湿ったヴォーカルもいいですが、ヴィトのエディ・ヴァン・ヘイレン風のギタープレイが、なかなか聞かせてくれます。

 

そして今度はアトランティックレコードと契約し、2ndアルバムを6週間で完成させます。

 

今日は、1987年リリースのWHITE LION(ホワイト・ライオン)の2ndアルバム、PRIDE(プライド)をご紹介したいと思います。

アルバム、PRIDE(プライド)の楽曲紹介

アルバムのオープニングを飾るのは、HUNGRY(ハングリー)。

 

メロディアスハードロックの典型のような楽曲ですね。

 

哀愁漂うマイクのハスキーヴォーカルと自由自在に弾きまくるヴィトのギターがかっこいいです。
ヘヴィなギターリフ、ちょいちょい顔を出すオブリ、ヴィトのギターは前作同様エディっぽく楽曲を彩っています
メロディアスでキャッチーな歌に、厚いコーラスがのって、非常に心地よくノレる曲になっています。

 

またギターソロもアームを多用したLAメタルっぽい派手なものです。
派手なギターと悲壮感の漂うヴォーカルがあいまって、独特の世界を作り出していますね。
オープニングにふさわしい名曲です。

 

2曲目はLONELY NIGHTS(ロンリー・ナイツ)。

 

イントロのアコギから、ヘヴィなギターリフに変わる瞬間が鳥肌モノです。
この曲も哀愁漂う名曲ですね。

 

ギターソロが非常に美しいです。
上昇フレーズの滑らかさはイングヴェイに匹敵するのではないかと思えます。
中盤のアコギパートとメインのヘヴィなパートの使い分けがうまい、良く出来た曲だと思います。

 

3曲目はDON’T GIVE UP(ドント・ギヴ・アップ)。

 

マイナー調のAメロBメロは哀愁が漂っていますが、サビで一気に解放され、ちょっと明るい勢いのある曲へと変貌します。
またヴィトのギターソロが非常に構成がうまく、ハイテクで評価が高いです。
非常に美しく、メロディアスなソロですね。
後半のヴォーカルとギターの掛け合いも、見事にハイテクの嵐でヴィトの引き出しの多さを感じさせてくれます。

 

サビはこの上なくキャッチーで、疾走感もあり、これも名曲と呼んでいいでしょう。

 

4曲目はSWEET LITTLE LOVING(スウィート・リトル・ラヴィン)。

 

まさにLAメタルそのもの、といった、このアルバムでは珍しく非常に陽気でポップな楽曲になっています。
ヴィトのギタープレイがやはりエディのように、自由自在に弾きまくられてます。

 

コーラスも厚く、これはライヴで盛り上がるのは間違いない、ハードポップソングですね。
アウトロのギターリフも非常にかっこいいし、終わりへ向かう展開もとてもいいです。

 

A面ラストはLADY OF THE VALLEY(レディ・オブ・ザ・ヴァレー)。

 

これは6分に及ぶドラマティックな楽曲です。
疾走感のあるクールなイントロのギターリフから始まり、美しいアコギにのせた哀愁のヴォーカル。
もはや展開が美しすぎるところに、ヘヴィな切り裂くようなギターリフが加わり、盛り上がっていきます。

 

サビは疾走感のあるメロディで、コーラスと共に美しいです。
そしてギターソロはやはり、ヴィトのセンスあふれる美しいプレイで満ちてます。

 

そしてもう一度美しいアコギのアルペジオにのせて曲は後半の盛り上がりに向かっていきます。
後半のギターソロはロングトーンを多用して、情感たっぷりに美しいメロディを奏でて行きます。

 

ラストは疾走感あるロックパートです。
ドラマティックな楽曲はノリを保ったままフェイドアウトしていきます。
非常によくできた楽曲だと思います。

 

B面1曲目はWAIT(ウェイト)。

 

緩急の付け方が非常にうまい、爽やかな楽曲に仕上がっています。
シングル向けと言えるほど、ポップでキャッチーな作品です。
ギターソロも、ヴィトのアピール全開です。
エディ同様、タッピングを上手に絡めて、美しい旋律を奏であげてます。
時折入るクリーントーンや、ディレイ絡みのリフ、すべてが出来すぎています。
ラストもアコギのきれいなサウンドでまとめられてます。
ポップすぎるとの声もありますが、僕からすると完璧すぎです。

 

80年代を代表する名曲に入れちゃってよいでしょう。
この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートで第8位、Mainstream Rockチャートでは第18位という彼らの初ヒット曲となりました。

 

2曲目はALL YOU NEED IS ROCK ‘N’ ROLL(オール・ユー・ニード・イズ・ロックンロール)。

 

ブルージーなアコギのリフから、ロックンロールへ変化します。
非常にきれのよいヘヴィなギターリフが曲を引っ張っていますね。

 

サビ後のギターソロが、なかなか渋かっこいいです。
ヴォーカルの違うヴァン・ヘイレン的なかっこよさがあふれてます。
ラストはブルースロックに変わってフェイドアウト、遊んでますね。
ヴィトの引き出しがさらに垣間見える瞬間でした。

 

3曲目は、TELL ME(テル・ミー)。

 

もう、ザ・キャッチーと言っちゃって良いでしょう。
非常にイントロからアウトロまで、見事にキャッチーに出来上がってます。
マイクのハスキーなヴォーカルも、この曲は明るく歌いきってます。
サビは、まさに80年代の爽快なハードロックとなってますね。

 

またヴィトが全編にわたって楽曲を様々なプレイで彩ってます。
そのオブリの入れ方などもエディの影響を受けてると思えます。
PVを見てると、ギターの抱え方や、ついには顔までエディの影響を受けてるように思えるのが不思議です。

 

ギターソロが結構たっぷり時間を取ってあるが、適当ではなくよく考え抜かれたソロになっています。

 

この曲は2ndシングルとしてリリースされ、第58位にランク、Mainstream Rockチャートでは第25位を記録してます。

 

4曲目は、ALL JOIN OUR HANDS(オール・ジョイン・アワ・ハンズ)。

 

イントロのギターリフが非常にかっこいいです。
マイナー調の曲ですが、サビではみんなでこぶしを振り上げる感じの、大合唱ソングに変貌
サビはなかなかキャッチーでいい曲になってます。
メジャーとマイナーの入り混じった、独特の楽曲です。

 

アルバムラストはWHEN THE CHILDREN CRY(ホエン・ザ・チルドレン・クライ)。

 

彼らの代表的なバラードです。
ヴィトのアコギが全編に渡って美しく響いています。
そしてマイクがハスキーヴォイスで切々と歌い上げています。
ギターソロのみエレキが登場します。
ヴィトはソロを美しく奏でます。
もはや速弾きや超絶技巧はありません。
ただ、切ない美しいメロディを響き渡らせるのです。

 

アルバムを締めくくるにふさわしい、美しいバラードとなりました。

 

この曲は3rdシングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャート、第3位、Mainstream Rockチャートでは第7位を記録する大ヒットとなりました。

まとめとおすすめポイント

1987年リリースのWHITE LION(ホワイト・ライオン)の2ndアルバム、PRIDE(プライド)はビルボード誌アルバムチャート第11位を記録、アメリカだけで200万枚を売り上げる大ヒットとなりました。

 

前作も決して悪かったわけではありませんが、多少荒削りな感じがします。
しかし、今回は非常に洗練されキャッチーな楽曲が目白押しになってます。
全曲をマイクとヴィトが共作していますが、彼らの作曲能力は非常に高いと思いますね。
その中でもウェイト、と、ホエン・ザ・チルドレン・クライの大ヒットがアルバムの人気を押し上げることになりました。

 

マイク・トランプのヴォーカルについては賛否両論ありますが、僕は彼の独特のハスキーヴォイスは気に入ってます。
特に、ホエン・ザ・チルドレン・クライでの彼のヴォーカルは、他の誰よりもはまっていたと感じています。

 

またヴィト・ブラッタのギターは、エディ・ヴァン・ヘイレンのプレイに引けをとらないほどのセンスあるプレイを量産しています。
彼の鋭いギターリフ曲を彩るオブリやブリッジ、また非常に緻密に構築されたギターソロは、このアルバムを優れた作品とするのに大きく貢献しています。
残念ながら、彼のギタリストとしての才能は過小評価されてる気がします。
しかし、周りがどう見ようと、このアルバムで見せた彼のプレイは、非常に価値あるものであることには変わりはありません。
百花繚乱のHM/HRのアルバムの中では、かなりなクオリティを秘めたアルバムと言っても過言ではないでしょう。

 

爽快な、でもちょっとシリアスなハードロックをお求めの方にはおすすめです。

 

また、最高のバラードをお求めの方には、ホエン・ザ・チルドレン・クライをぜひどうぞ。

チャート、セールス資料

1987年リリース

アーティスト:WHITE LION(ホワイト・ライオン)

2ndアルバム、PRIDE(プライド)

ビルボード誌アルバムチャート第11位 アメリカで200万枚のセールス

1stシングル WAIT(ウェイト) ビルボード誌シングルチャート第8位、Mainstream Rockチャート第18位

2ndシングル TELL ME(テル・ミー) シングルチャート第58位、Mainstream Rockチャート第25位

3rdシングル WHEN THE CHILDREN CRY(ホエン・ザ・チルドレン・クライ) シングルチャート第3位、Mainstream Rockチャート第7位