全盛期FLEETWOOD MAC(フリートウッド・マック)の第一弾アルバム FLEETWOOD MAC - FLEETWOOD MAC(ファンタスティック・マック)

バンド史上最高の5人のラインアップが完成





フリートウッド・マックは非常に歴史の古いイギリスのバンドである。
1967年、ギタリストのPeter Green(ピーター・グリーン)と、ドラマーのMick Fleetwood(ミック・フリートウッド)を中心に結成された。
1stアルバムの PETER GREEN’S FLEETWOOD MAC(ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マック)作成の時点で、この二人と、ギタリストのJeremy Spencer(ジェレミー・スペンサー)とベースのJohn McVie(ジョン・マクヴィー)が加わった4人組のバンドである。

 

当時の彼らのプレイスタイルはブルースロックであり、その方向でアルバムを4枚制作するが、その間にメンバーチェンジが繰り返されている。
ピーター・グリーンは3枚目の後、ジェレミー・スペンサーは4枚目の後、それぞれバンドを離れる。

 

そしてバンドにはジョン・マクヴィーの妻で、キーボード担当のChristine McVie(クリスティン・マクヴィー)と、オーディションによりアメリカ人ギタリストのBob Welch(ボブ・ウェルチ)が加入。
バンドの音楽を、ブルースからフォーク・ロックへと変化を遂げた。

 

その後、フォークロックにジャズのアプローチが加わったアルバムも制作されていく。

 

そして1974年、9枚目のアルバム、HEROES ARE HARD TO FIND(クリスタルの謎)が制作に続いて行なわれたアメリカツアーの後、バンドの拠点をカリフォルニアに移すことになった。
しかしその直後、バンドのフロントマン、ボブ・ウェルチが脱退。
バンドは存続の危機を迎えた。

 

ボブ・ウェルチに代わるフロントマンを探していたミック・フリートウッドは、LAのSound City Studiosというレコーディングスタジオで、Keith Olsen(キース・オールセン)と出会い、彼がプロデュースしていた作品の曲を聞いた。
それはFrozen Loveという曲で、BUCKINGHAM NICKS(バッキンガム・ニックス)というアルバムに収められた曲だった。
ミックはそれを気に入り、たまたまそのスタジオに居合わせた、バッキンガム・ニックスのギタリスト、Lindsey Buckingham(リンジー・バッキンガム)を紹介された。
ミックはすぐにリンジーにバンドへの加入を勧めた
リンジーはすぐに応じたが、一つの条件があった。
それはバッキンガム・ニックスでのデュオパートナーであり、ガールフレンドでもある、Stevie Nicks(スティーヴィー・ニックス)も同時に加入する、という条件だ。
ミックはそれに応じ、ついにバンド史上最高の5人のラインアップが完成するのである。

 

1975年、バンドは10枚目のアルバムを作成、名前をセルフタイトルアルバム、FLEETWOOD MAC(ファンタスティック・マック)と名づけ、再び生まれ変わったことを印象付ける。

 

ミック・フリートウッドのドラム、ジョン・マクヴィーのベースがバンドの屋台骨になっていることは変わらない。
しかし、ギタリストのリンジー、キーボードのクリスティン、そしてスティーヴィーの3人の、ソングライター兼シンガーの存在がバンドをよりカラフルなものに変化した。
そして世界的に大ブレイクを果たすのである。

 

今日は、1975年にリリースされた、FLEETWOOD MAC(フリートウッド・マック)の10thアルバム、FLEETWOOD MAC(邦題:ファンタスティック・マック)をご紹介したいと思います。

FLEETWOOD MAC(ファンタスティック・マック)の楽曲紹介

アルバムのオープニングを飾るのは、リンジーによる楽曲MONDAY MORNING(マンデイ・モーニング)。

 

この曲はバッキンガム・ニックスの2ndアルバム用に作ってた曲だ。
非常に彼のポップセンスが生きた名曲である。
軽やかなミックのドラムとジョンのベースが加わって、完全にフリートウッド・マックのサウンドに溶け込んでいる。
非常にキャッチーで、アメリカで受け入れられそうなカラッとした爽やかさがある、アルバムのイントロにふさわしい良い曲だ。

 

2曲目はWALM WAYS(ウォーム・ウェイズ)。

 

これはクリスティンによる曲で、非常に優しいポップソングだ。
初期のブルースロックをやっていた頃のバンドを思い出させるイントロやソロでのギタープレイだ。
リンジーが見事にあの雰囲気をかもし出している。
このクリスティンの声は、すでにフリートウッド・マックのサウンドの一部になっているので問題はない。
相変わらず、素敵な優しいヴォーカルとメロディを聞かせてくれてます。

 

3曲目はBLUE LETTER(ブルー・レター)。

 

アルバム中唯一、バンド外の人の作った曲だ。
そして、これもバッキンガム・ニックスの2ndアルバム用に準備された曲だった。
非常に軽快なロックンロールである。
そして、サビのリンジーのヴォーカルに絡むコーラスが美しい。
リンジーのヴォーカルにクリスティンとスティーヴィーの声が重なるとき、それはフリートウッド・マックを特徴付ける美しいハーモニーとなる。
ノリのいいこれも名曲である。

 

4曲目はRHIANNON(リアノン)。

 

スティーヴィーによる曲で、この曲もバッキンガム・ニックスの2ndアルバム用に既に作られていた曲だ。
非常に不思議な雰囲気と魅力をもつ楽曲だ。
リンジーのギターがそのような雰囲気を掻きたてる、非常にうまいプレイを見せている。
しかし、何よりもこの曲の魅力はスティーヴィーのヴォーカルであるに違いない。
妖精のような容姿に、ハスキーな独特のヴォーカル
サビのコーラスもとてもいい。
新生フリートウッド・マックの魅力を世間に知らしめたヒット曲である。

 

この曲はアルバムの2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャート、第11位、同誌、Adult Contemporaryチャートでは第33位となっている。

 

5曲目はOVER MY HEAD(オーヴァー・マイ・ヘッド)。

 

これはクリスティンによる楽曲だ。
ゆったりしたノリの爽やかで気持ちの良い雰囲気の曲である。
こういう優しい曲は、さすがにクリスティンの声がぴったり合っている。
スティーヴィーの毒気のある声とは真逆な、とても素敵な声である。
リンジーのギターも軽快に曲を彩っている。

 

この曲はアルバムからの先行シングルとしてリリースされ、シングルチャート20位、Adult Contemporaryチャートでは第32位のヒットとなった。
バンドのキャリア初のTOP40入りしたシングルである。

 

A面ラスト、6曲目はCRYSTAL(クリスタル)。

 

これはスティーヴィーの作曲で、リードヴォーカルはリンジーがとっている。
シンプルなバラードだ。
リンジーのヴォーカルに絡むスティーヴィーのコーラス、さすがにバッキンガム・ニックスでデュオとして歌っていたのに加えて、ステディな関係にもあったということで非常に素晴らしいハーモニーを聴かせてくれます。
シンプルだからこそ、ヴォーカル以外の楽器も良く聴こえて、バンドとしてもよく出来ていることに気付ける。
リンジーのギターは当然だが、ジョンのベースもミックのドラムも強弱をしっかりと効かせて、中盤の盛り上がりを演出している。
また、優しいキーボードを奏でるクリスティンもいい味を出している。
二人のハーモニーに加えて老舗バンドの良さも同時に楽しめる名曲である。

 

この曲はバッキンガム・ニックスのアルバムにも入っている。
なのでその曲のフリートウッド・マックヴァージョンということになります。
前者は、シンプルで、多少ラフな感じがあるが、こちらは一層洗練された仕上がりになっています。
好みはあると思いますが、僕はこちらの方が好きですね。

 

B面1曲目は、SAY YOU LOVE ME(セイ・ユー・ラヴ・ミー)。

 

この曲はクリスティンによる楽曲だ。
イントロのピアノが印象的で、爽やかな雰囲気を曲全体に与えている。
ポップなミディアムテンポの聴いてて心地よい曲である。
優しいクリスティンの少し下のパートでハモるリンジーのコーラスとの相性は抜群だ。
良質なポップソング、かつ、バンドとしてのサウンドもきっちり聴かせてくれる名曲だ。

 

この曲は3rdシングルとしてカットされ、シングルチャートで第11位、Adult Contemporaryチャートでは第12位のヒットを記録した。

 

2曲目はLANDSLIDE(ランドスライド)。

 

これはスティーヴィーによる曲だ。
彼女がアルバム、バッキンガム・ニックスを出した後、それがセールス的に芳しくなく、契約を打ち切られた後、一人で書いた曲である。
美しいアルペジオに彩られているギターの伴奏の上で、スティーヴィーがしっとりと歌い上げている
非常に美しい楽曲である。
変化を恐れながらも、少しずつ年をとって変化していく自分を受け入れなきゃならない、と歌ってます。
味わい深い名曲です。

 

3曲目はWORLD TURNING(ワールド・ターニング)。

 

この曲の元は彼らのデビューアルバムにさかのぼる。
その11曲目の創成期メンバーのピーター・グリーンによる “The World Keeps on Turning”を改良して作られた曲だ。
これにはリンジーとクリスティンが関わっている。
ブルージーでゆったりした曲が、スピードを上げ、スリリングに姿を変えた
リンジーはこの曲では2本のギターを使っているが、その一本はドブロギターである。
それによって、曲は大きく改変されたが、原曲のブルージーな雰囲気が保たれている。

 

4曲目はSUGAR DADDY(シュガー・ダディ)。

 

これはクリスティンによる曲だ。
この曲も彼女らしく爽やかなポップソングである。
ポップだけど、ドラムとベースがびしっと決まっているので、キレのよい楽曲になっている。

 

アルバムラストはI’M SO AFRAID(アイム・ソー・アフレイド)。

 

この曲はリンジーによるもので、バッキンガム・ニックスの2ndアルバム用に作られたものだった。
アルバム中、少し毛色が変わった、シリアスな楽曲になっている。
後半のギターの盛り上がりが彼の感情を爆発させるかのような狂気に満ちたプレイとなっており、引き込まれるうちにアルバムは終わりを迎えます。

まとめとおすすめポイント

1975年リリースの、FLEETWOOD MAC(フリートウッド・マック)の10thアルバム、FLEETWOOD MAC(邦題:ファンタスティック・マック)はビルボード誌アルバムチャートで全米No.1を獲得します。
それに貢献したのが、3曲のTOP20ヒットで、初登場から何と58週目に1位に輝く、という記録もマークした。

 

さらに売り上げはアメリカだけで、500万枚を達成。
アルバム10作目でついに大ブレイクを果たすことに成功したのである。

 

このアルバムの大成功の理由の一つは、やはり今回加入した2人、リンジーとスティーヴィー、そしてクリスティンの三種のヴォーカルと、3人によるソングライティングによるものが大きいと思われる。

ウィキペディアにはこうある:

安定したピアノプレイと穏やかで安心感を醸し出す暖かい歌声のクリスティン、絵になる二枚目ギタリストでありポップで張りのある声を持つシンガーでもあるリンジー、可憐な容姿と野性的なダミ声かつ哀愁味を帯びた個性派シンガーのスティーヴィーという三者三様のボーカルが醸し出すバラエティとハーモニーは、レコードでもライブでもバンドの大きな魅力となった。

まさにこれだ、と思います。
リンジーの優れたポップセンスと、独特のギターサウンド
指弾きなどできらびやかに彩るそのメロディやバッキングは、非常に独特で、楽曲にオリジナリティを持たせるのに多大な貢献をしています。

 

スティーヴィーもやはりソングライティングに秀でていますし、独特のヴォーカルもやはり唯一無二の響きを放っています。
また、その妖艶な容姿も人気を獲得する点で大きく貢献したものと思われます。

 

そして、クリスティンは、新加入の二人に決して張り合うことなく、マイペースで安定して彼女のよさを発揮しているように見えます。
曲作りには相変わらずのポップセンスが見られますし、あの優しい歌い方は彼女の楽曲できらりと光っています。

 

そして、この全く異質な3人が交じり合うことによって生み出されるコーラスワークが、これまでのフリートウッド・マックにはなかった世界を作り上げたのだと思います。

 

安定したバンドサウンドの上に乗る優れたポップソングをお求めの方にはぜひともおすすめしたいアルバムとなっています。

チャート、セールス資料

1975年リリース

アーティスト:FLEETWOOD MAC(フリートウッド・マック)

10thアルバム、FLEETWOOD MAC(邦題:ファンタスティック・マック)

ビルボード誌アルバムチャートNo.1 アメリカで500万枚のセールス

1stシングル OVER MY HEAD(オーヴァー・マイ・ヘッド) ビルボード誌シングルチャート第20位、Adult Contemporaryチャート第32位

2ndシングル RHIANNON(リアノン) シングルチャート第11位、Adult Contemporaryチャート第33位

3rdシングル SAY YOU LOVE ME(セイ・ユー・ラヴ・ミー) シングルチャート第11位、Adult Contemporaryチャート第12位

やはり彼らの魅力はライヴにあります。
ベストヒットライヴ、とても素晴らしいです。
ぜひご覧になってみてください。
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