ポリスからソロでの出発 STING(スティング) - THE DREAM OF THE BLUE TURTLES(ブルー・タートルの夢)

THE POLICE(ザ・ポリス)の活動休止





1983年のTHE POLICE(ザ・ポリス)のアルバムSYNCHRONICITY(シンクロニシティー)は大ヒット作品となりました。
その中からEVERY BREATH YOU TAKE(見つめていたい)が ビルボード誌シングルチャートで8週連続No.1
加えて年間チャートでもNo.1を獲得してます。
そしてアルバムもビルボード誌アルバムチャートで、17週連続のNo.1を記録。
ザ・ポリスは、名実共に世界のトップアーティストの一つになったのでした。

 

しかし、ザ・ポリスの3人のうち、Sting(スティング)とStewart Copeland(スチュワート・コープランド)の不仲のため、バンドは1984年に活動を停止することになります。
まったくもってもったいないと思いましたが、その後はそれぞれがソロの活動へ専念することになりました。

ソロアルバムの制作

ザ・ポリスのベース兼ヴォーカルのSTING(スティング)はソロアルバムを制作、1985年にリリース。
先行シングルはIF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE(セット・ゼム・フリー)。
MTVでPVがかかってそこで見えたのはスティングがベースではなくギターを弾きながら歌っている姿でした。

 

僕はそれを見て、本当にポリスは終わったんだな、と実感しましたね。

 

バンドからソロ活動を始めると、その音楽性は2種類に分かれると思います。
バンドとほぼ変わらない音を作る人と、全く違う音を作る人です。
バンドにいるときに自分のやりたい音を出していた人なら、恐らく前者のようになるでしょう。
しかし、そうでない人は、後者のほうになってしまいます。

 

僕が見るにスティングは後者だったんだろうと思います。
先行シングルで聞こえて来たのは、ポリスとはだいぶ音使いが異なっていたからです。
でもポップでいい曲であることには違いありません。
そこで僕はLPを購入することにしたのでした。

 

では今日は、1985年リリースの、STING(スティング)の1stソロアルバム、THE DREAM OF THE BLUE TURTLES(ブルー・タートルの夢)をご紹介したいと思います。

THE DREAM OF THE BLUE TURTLES(ブルー・タートルの夢)の楽曲紹介

アルバムのオープニングは、IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE(セット・ゼム・フリー)。

 

ジャズミュージシャンが集まって作られたアルバムのオープニングとして、ジャズっぽい雰囲気を少し漂わせています。
でも、基本はポップなロックに聴こえます。
スティングはジャズとロックの融合をやりたかったそうですが、それが幾分垣間見られる楽曲になっています。

 

スティングはこの曲を、1983年の大ヒット曲、“見つめていたい”への“解毒剤”として書いたそうです。
“見つめていたい”、では一見ラヴソングのように見えつつも、実は愛する人の一挙手一投足を見つめているストーカー的な愛を歌っていました。
今回の歌は、もし誰かを愛したら、束縛しないで解放してごらん、というメッセージが含まれてます。

 

でも、難しく考えずとも、ポップないい曲だったことには変わりありませんでした。

 

この曲は先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートで第3位、同誌Mainstream Rockチャートでは3週連続No.1を獲得してます。

 

2曲目は、LOVE IS THE SEVENTH WAVE(ラヴ・イズ・ザ・セヴンス・ウェイヴ)。

 

ポリス時代もレゲエの楽曲は含まれていましたが、この曲も結構本格的なレゲエサウンドになってます。
とても優しい歌です。
しかし、こんな曲が2曲目に来ると、だいぶ僕の理想のポリスから遠ざかるようで、ちょっと戸惑ってしまいますね。

 

この曲はアルバムからの2ndシングルとしてカットされ、シングルチャート第17位を記録しています。

 

3曲目は、RUSSIANS(ラシアンズ)。

 

荘厳な雰囲気のこの曲は、冷戦時代の2大国の問題について歌った歌です。
相互理解ができないまま互いを冷酷な敵とみなしているわけですが、その途中の歌詞で非常に考えさせられた部分があります。

“I hope the Russians love their children too”

「ロシア人も自分たちの子供たちを愛してることを望んでいる」っていう意味です。
結局米ソ、どちらも子を思う気持ちに変わりはない普通の人間なのです。
そういう理解があれば、「互いを葬り去る」と言う前に、互いに理解し合うことができるんじゃないか、というメッセージに思えて、スティング、すごい、と思った覚えがあります。

 

アメリカでは反戦歌は売れないというジンクスを破り、4thシングルとしてカットされたこの曲は、シングルチャートで第16位を記録しました。

 

4曲目は、CHILDREN’S CRUSADE(チルドレンズ・クルセイド)。

 

この曲は、第一次大戦で犠牲になった若者たちと今麻薬問題で問題を抱えている若者とについて歌った社会問題に関する歌です。
シリアスで重々しい雰囲気の楽曲になってます。
途中のサックスが悲しく聴こえますね。
曲としてはいい曲なのですが、歌詞を知ると、なかなか重くて軽々しく聴けない気がしてきます。

 

5曲目は、SHADOWS IN THE RAIN(シャドウズ・イン・ザ・レイン)。

 

ポリス時代の楽曲のカバーです。
原曲よりもかなりテンポアップして、ジャジーなノリに変わっています。
かなりスロウで単調な原曲より、個人的には断然こちらがいいと思えます。
非常にノリがよく、スティングのヴォーカルが鬼気迫るものがあるとはいえ素敵なポップソングになってます。

 

6曲目は、WE WORK THE BLACK SEAM(黒い傷あと)。

 

炭鉱で働く労働者の問題を扱った、これまた社会問題を扱った歌です。
たんたんと進むメロディとアレンジは決して暗くはありませんが、スティングの歌い方が、深刻さを物語っています。

 

7曲目は、CONSIDER ME GONE(コンシダー・ミー・ゴーン)。

 

これもベース音を中心にたんたんと進むジャズっぽい楽曲です。
落ち着いた曲で、大人が楽しむ系の曲ではないでしょうか。

 

8曲目は、THE DREAM OF THE BLUE TURTLES(ブルー・タートルの夢)。

 

タイトルトラックは、これぞジャズソング、って感じのインストゥルメンタルです。
短いですが、ジャズも楽しそうだなって思わせてくれる楽曲になってます。

 

9曲目は、MOON OVER BOURBON STREET(バーボン・ストリートの月)。

 

これも非常にジャズっぽい曲です。
スティングのヴォーカルとサックスがからみ、素敵な雰囲気を醸し出しています。
ベースラインがはっきりと聞こえるところが好ましいですね。
非常に雰囲気たっぷりのいい曲です。

 

アルバムラスト10曲目は、FORTRESS AROUND YOUR HEART(フォートレス・アラウンド・ユア・ハート)。

 

これはこのアルバムの中で一番大好きだった曲です。
こうして改めて聴くと、恐らく、この曲が一番ポリスっぽいから僕は好きなんだろうと思う。
ポリスのアルバムに入ってても全く問題なく溶け込むだろうと思います。

 

この曲はアルバムからの3rdシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第8位、同誌Mainstream Rockチャートでは2週連続のNo.1となっています。

まとめとおすすめポイント

1985年リリースの、STING(スティング)の1stソロアルバム、THE DREAM OF THE BLUE TURTLES(ブルー・タートルの夢)は、ビルボード誌のアルバムチャートで第2位、アメリカだけで300万枚を売り上げる大ヒットとなりました。

 

また、獲得は出来なかったものの、グラミーの最優秀アルバム賞、最優秀男性ポップボーカルパフォーマンス賞、最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞などにノミネートされるなど、非常に高く評価されたアルバムとなっています。

 

僕は当時、LPを購入し、カセットに入れて何度も聴いていたことを覚えています。
が、今回、楽曲についてこれほど語れないとは、ちょっと自分でびっくりです。
もちろん、歌詞を深く読めるほどの読解力がないのも一つの理由ですが、やはり、ジャズに関しては造詣が深くないというのも一因だと思います。
ジャズは聴いて心地よいので、このアルバムも聴いてはいましたが、ジャズについて語れるほどの知識は持ち合わせていないのでした。

 

そもそも、スティングのソロと聞いて、ポリス系の曲を聴けるかも、というかすかな期待のうちに購入したアルバムなので、そういう意味では期待はずれではありました。
ラストの曲を除いて、アルバム全体を彩るジャジーな楽曲は、僕の守備範囲外だったのです。
それでも当時繰り返し聴いてたというのは、詳しくはわからなかったものの、この新たなジャンルで歌うスティングを気に入っていたことには間違いないでしょう。

 

というわけで、ポリスを期待する人には残念ながらこのアルバムはおすすめできません
が、ジャズとロックの融合した、洗練されたポップスを愛する人には、非常に優れたアルバムと言えるでしょう。

 

スティングがポリスを卒業した歩みの第一歩となるアルバム。
機会があればお聞きください。

チャート、セールス資料

1985年リリース

アーティスト:STING(スティング)

1stアルバム、THE DREAM OF THE BLUE TURTLES(ブルー・タートルの夢)

ビルボード誌アルバムチャート第2位 アメリカで300万枚のセールス

1stシングル IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE(セット・ゼム・フリー) ビルボード誌シングルチャート第3位、同誌Mainstream Rockチャート3週連続No.1

2ndシングル LOVE IS THE SEVENTH WAVE(ラヴ・イズ・ザ・セヴンス・ウェイヴ) シングルチャート第17位

3rdシングル FORTRESS AROUND YOUR HEART(フォートレス・アラウンド・ユア・ハート) シングルチャート第8位、同誌Mainstream Rockチャート2週連続のNo.1

4thシングル RUSSIANS(ラシアンズ) シングルチャート第16位 Mainstream Rockチャート第34位

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