生きのいい女戦士 SCANDAL Featuring PATTY SMYTH - WARRIOR

PATTY SMYTH(パティ・スマイス)との出会い





1984年、一曲のめちゃくちゃかっこいい女ヴォーカルの楽曲がチャートを上がってきた。
その曲は鮮烈で、あまりにも良かったので、LPアルバムを購入したほどだった。

 

その楽曲はTHE WARRIOR(ザ・ウォリアー)。
女性ヴォーカルはPATTY SMYTH(パティ・スマイス)といって非常に美しくキュートな女性だ。
その声は少しハスキーだが、力強い歌い方が、好みのど真ん中ストライクだったのだ。

 

で、パティが属しているのがSCANDAL(スキャンダル)、もちろん日本のあのガールズバンドではない
もう一つ言えば、パティ・スマイスはPATTY SMITH(パティ・スミス)という大御所女性ヴォーカリストでもない

スキャンダルとパティ・スマイスの歴史

スキャンダルは1981年、ニューヨークで結成されたバンドだ。
中心となっているのがヴォーカルのパティ・スマイスと、ギターのザック・スミスの二人だ。
主にこの二人が楽曲を作っている。

 

1982年には、5曲入りEP「SCANDAL(スキャンダル)」でデビュー。
この中からGOODBYE TO YOU(グッバイ・トゥ・ユー)がビルボード誌第65位LOVE’S GOT A LINE ON YOU(ライン・オン・ユー)が第59位と小さなヒットを飛ばす。
ライン・オン・ユーのPVではJON BON JOVIエレキギターで参加しているのが確認できる。
黒いギターで、タッピングハーモニクスなどを、密やかに披露している。

 

こうした小ヒットもあり、このEPはビルボード誌アルバムチャートでは第39位を記録している。
アルバムの内容は、軽快なポップロックである。
80年代初頭なので、結構シンプルなロックだが、彼女の独特のヴォーカルもあり、なかなか聴き易い楽曲ぞろいだ。
そして1984年、ついに待望のフルアルバムWARRIOR(ザ・ウォリアー)が完成、リリースの運びとなるのだ。

 

アーティスト名は前作のSCANDALからSCANDAL Featuring PATTY SMYTHと表記が変えられ、パティの魅力がフィーチャーされた戦略に打って出たのであった。

 

では今日は、1984年リリースの、SCANDAL Featuring PATTY SMYTH(スキャンダル・フィーチャリング・パティ・スマイス)の1stアルバム、WARRIOR(ザ・ウォリアー)をご紹介します。

WARRIOR(ザ・ウォリアー)の楽曲紹介

アルバムオープニングを飾るのは、先行シングルであり、僕が初めて出会ったスキャンダルの楽曲、THE WARRIOR(ザ・ウォリアー)だ。

 

シャリシャリのギターリフの後、パティの雄叫びで楽曲は華々しくスタート。
非常にキャッチーでポップなロックだ。
戦士というタイトルから、もっと勇ましい曲かと思いきや、非常に聴き易い80年代そのもののロックサウンドだ。

 

そしてやはり、パティのヴォーカルが非常にいい。
少しハスキーで力強い独特なヴォーカルだ。
それに加えてあのルックスだから、それはもうたまりません。

 

とてもキャッチーな理由は、作曲者にあった。
あのHEARTNEVERを作ったホリー・ナイトだ。
いかにもよく出来たナンバーだ。
非常に売れ線の(いい意味でです。)すばらしい楽曲だと思います。

 

この曲は先行シングルで、ビルボード誌シングルチャート第7位と大ヒット。
なお、同誌、Mainstream RockチャートではなんとNo.1を獲得している。

 

2曲目はBEAT OF A HEART(ビート・オブ・ア・ハート)。

 

基本エレキのリフが楽曲を彩っている、抑え目のロックソングだ。
この曲でもやはりパティのヴォーカルがいい。
都会の夜の雰囲気っぽい感じを見事に歌い上げている。
加えてエレキのアレンジも優れている。

 

この曲はアルバムからの3rdシングルで、第41位を記録、Mainstream Rockチャートでは第10位闘している。

 

3曲目はHANDS TIED(ハンズ・タイド)。

 

イントロのアレンジが非常に気持ちよい
ギターによるきれいなイントロはまさに80年代、エイティーズサウンドだ。
そして、“ダーリン、ダーリン、ダーリン♪”と歌うパティのヴォーカルも魅力たっぷりだ。

 

やはりこのミドルテンポの感じが非常に好ましい。
心地よい優れた楽曲だ。

 

この曲はアルバムからの2ndシングルとしてカットされ、41位を記録、Mainstream Rockチャートでは第21位スマッシュヒットを記録している。

 

4曲目はLESS THAN HALF(レス・ザン・ハーフ)。

 

ロッカバラードとミドルテンポロックの中間のような楽曲だが、やはり安心して楽しめる80年代印の曲だ。
サビで熱く歌い上げるパティもまた良い。

 

A面ラストはONLY THE YOUNG(オンリー・ザ・ヤング)。

 

この曲はジャーニーのジョナサン・ケイン、スティーヴ・ペリーとニール・ショーンの3人による楽曲だ。
ちょうどFRONTIERS(フロンティアーズ)に入りそうだったが入らなかった楽曲で、SCANDALに提供されたものだ。
ジャーニーの方を先に知ってるゆえに、そっちがよく聴こえてしまうのは仕方ないが、こちらもなかなかいい。
やはり、パティのヴォーカルが伸びやかに歌うのは聴いてて心地よい。
ギターは、やはりニールのものに比べると、ちょっと落ちるもののまあ頑張ってるのではないでしょうか。

 

B面1曲目は、ALL I WANT(オール・アイ・ウォント)。

 

アルバムの中では爽快な感じのある曲だ。
基本的にパティが歌えば、何でも良く聴こえていたのは、やはりこの声に魅せられていたからに他ならない。
しかし、それに加えてバンドもきちんと演奏してるし、アレンジがエイティーズど真ん中というのも気に入ってた大きな理由の一つと言える。

 

2曲目はTALK TO ME(トーク・トゥ・ミー)。

 

いかにもロックギターなリフで静かに始まるが、サビではパティは力強く歌い上げている。
途中途中にもロックンロールフレーズが挟み込まれて、なかなかいい曲である。

 

3曲目はSAY WHAT YOU WILL(セイ・ホワット・ユー・ウィル)。

 

ゆったりしたリズムのきれいなバラードだ。
この中ででてくるエレアコだろうか、きらきらしたリズムが最高だ。

 

4曲目はTONIGHT(トゥナイト)。

 

軽快なノリのポップロックだ。
元気なパティのヴォーカルを聴けるだけで、心安らげる。

 

アルバムラストはMAYBE WE WENT TOO FAR(メイビー・ウィ・ウェント・トゥー・ファー)。

 

最後まで80年代サウンドで安定のつくりである。
パティは最後までパティらしく歌い上げてくれた。

まとめとおすすめポイント

1984年リリースの、SCANDAL Featuring PATTY SMYTH(スキャンダル・フィーチャリング・パティ・スマイス)の1stアルバム、WARRIOR(ザ・ウォリアー)はビルボード誌アルバムチャートで第17位を記録しています。

 

アルバムの内容は80年代らしいポップロックバンドサウンドで、演奏はかっちりきまっています。
またアレンジもほどよいキラキラで、ザ・エイティーズ、というサウンドが作り上げられていますね。
楽曲はメロディアスで、キャッチーだ。
全曲シングルで出せそうないい曲ばかりになっています。

 

そして何よりも、容姿端麗、歌もうまい、パティ・スマイスの魅力あふれるヴォーカルが楽しめるのである。

 

これで、ヒットしないわけはない、と思ってたんだけど、何かが足りないんですね。
何かわかりません。
全曲、すごくいい、捨て曲なしなのに

 

80年代を盛り上げるだけの十分ポテンシャルがありながらも、バンドはこのアルバムのツアー後に解散となります。
レコード会社との対立、メンバー間の確執などが理由に挙げられています。

 

なんとももったいないことです。
パティの魅力がバンドでこれ以上の形にならなかったとは残念です。

 

wikiによると、この後、ヴァン・ヘイレンのフロントマン、デヴィッド・リー・ロスが抜けたとき、エディ・ヴァン・ヘイレンからバンドのヴォーカリストにならないか、という話があったらしいです。
しかし、彼女はちょうど妊娠中で、今はそのときではないと思ってお断りしてます。
後に、“わたしはニューヨーカーだったから、LA(ヴァン・ヘイレンの拠点)に住みたくはなかった。それにあの人たちはみんないつも酔っ払ってけんかしてたわ”とも語っています。

 

いやいやいや、サミーが入らず、パティ・スマイスが入ったヴァン・ヘイレン、想像してみると、非常に興味がわいてしまった
もちろん、結果的にはサミーで良かったと僕は思ってるし、パティだったらサミーほど成功してなかったのではなかろうか。

 

しかし、今思うに、このアルバム、 WARRIOR(ザ・ウォリアー)がいまひとつヒットしなかった理由が見えた気がした。
バックのバンドの演奏はきちんと仕事をしてたが、あまりにも普通すぎたのだ。
エディのようなスーパーミュージシャンを従えていたら、もっと大きな成功を勝ち得ていたのではないだろうか

 

まあ、僕の妄想によるタラレバなので、さらりと読み流して欲しいが、パティにはそういう機会を与えてみたかった、というのは僕の本音である。

 

結局、その後ソロアルバムを数枚出し、後にスキャンダルも再結成したりしているが、それほど大きなヒットを生み出すことはなかった。
ちなみに今は、あのテニスのJohn McEnroe(ジョン・マッケンロー)と結婚して暮らしてるそうだ。

 

1984年にキラリと輝いた、捨て曲なしのキャッチーなバンドサウンド、そしてパティ・スマイスのワイルドで元気なヴォーカル、ご堪能ください。

チャート、セールス資料

1984年リリース

アーティスト:SCANDAL Featuring PATTY SMYTH(スキャンダル・フィーチャリング・パティ・スマイス)

1stアルバム、WARRIOR(ザ・ウォリアー)

ビルボード誌アルバムチャート第17位

1stシングル THE WARRIOR(ザ・ウォリアー) ビルボード誌シングルチャート第7位、同誌Mainstream RockチャートNo.1

2ndシングル HANDS TIED(ハンズ・タイド) シングルチャート第41位、Mainstream Rockチャート第21位

3rdシングル BEAT OF A HEART(ビート・オブ・ア・ハート) シングルチャート第41位、Mainstream Rockチャート第10位

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