超キャッチーなグラムメタルバンドのデビューアルバム POISON - LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN(ポイズン・ダメージ)

POISON(ポイズン)とは





80年代中期に現われたPOISON(ポイズン)はグラム・メタル(ヘア・メタル)のど真ん中を行くド派手なルックスと、キャッチーなメタルサウンドで一世を風靡しました。
超わかりやすくて、ノリノリのロックンロールは世界で大ヒット。
下手をすると、ルックス先行で演奏はイマイチだと言われがちでしたが、キャッチーでポップなメロディセンスは、しっかりと人気を獲得していきます。

結成までの歩みとデビューまで

ペンシルベニア州にて、ヴォーカルのBret Michaels(ブレット・マイケルズ)はLASERというバンドで、彼のバンドキャリアを開始してます。
1979年には幼馴染のドラマー、Rikki Rockett(リッキー・ロケット)と共にSPECTRESというバンドを作ります。

 

1980年に二人、ブレットとリッキーは、ギタリストのMatt Smith(マット・スミス)と、ベーシストの Bobby Dall(ボビー・ダル)と共にPARISというバンドを組み、クラブでプレイを重ねます。
初期は、クラブやローカルバーで、ほとんどロックのカバー曲をプレイしていました。
バンドは、地元でそこそこの人気を獲得しますが、さらなるキャリアを求めてLAに活動の拠点を移すことに決定。
LAにて、バンド名をPARISからPOISON(ポイズン)(毒の意)に変更。
東海岸から西海岸へ長距離の移動をした彼らは、家族も金もない中、絶対にブレイクするとの強い決意の元に奮闘します。

 

LA到着後は、プロモーションのために有名な地元のクラブを精力的にプレイして回ります。
マネージャーは有名なナイトクラブでの契約を取ったりして活動を広げていきます。
ところがちょうどこの頃、父親になろうとしていたギタリストのマット・スミスが、バンドの将来を憂えてペンシルベニアへ帰ってしまいます。

 

それで、ギタリストのオーディションを行なうわけですが、最後に絞られた3人のなかには後のGuns N’ Rosesのギタリストとして羽ばたくSlash(スラッシュ)もいたというのは驚きです。
もし、スラッシュが残ってたら、ポイズンのこの音楽性は大きく変わっていたと思われますね。
それ以上に、スラッシュが女装に近いヘアメタルファッションで、レコードジャケットに写ってたかもしれないと思うと、ちょっと笑えます

 

結局、新しいギタリストとして、 C.C. DeVille(C・C・デヴィル)が加入します。
最初はブレットとボビーは彼とうまく行かなかったようですが、次第にデヴィルがベストチョイスだったことを認めていきます。

 

1986年、ついにバンドは Enigma Recordsとおよそ30000ドルで契約。
デビューアルバムを制作します。

 

今日は、1986年リリースの、POISON(ポイズン)の1stアルバム、LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN(ポイズン・ダメージ)をご紹介します。

LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN(ポイズン・ダメージ)の楽曲紹介

アルバム中の楽曲の邦題が見つかりませんでした※

 

アルバムのオープニングを飾るのは、CRY TOUGH

 

彼らのデビューシングルともなっています。
PPPHのリズムのドラムにアルペジオが加わって、ベースが入ってきてピックスクラッチ。
もう、当時のハードロックの雰囲気満載のイントロからスタートです。

 

ブレットのヴォーカルがちょうどモトリー・クルーのヴィンス・ニールからちょっと毒気を抜いたような(POISONなのに・・・)、素敵な歌声です。
そして、歌メロはキャッチーで、すぐに口ずさめそうです。
その親しみ易さが、ポイズンの最大の魅力ではないでしょうか。
デヴィルのギターもバッキングはまさにエイティーズのメタルサウンドですね。
全然ヘヴィではありません。
まさに当時流行のポップメタルです。
ギターソロも、そんなにハイテクではありませんが、それっぽいフレーズを披露しています。

 

この曲にはPVが作られてますが、まさにグラムメタル、ヘアメタルそのもののルックスです。
化粧して長髪の美形の男たちが、能天気にロックしています。
そのいでたちゆえに、賛否両論分かれましたが、結果として売れたということは、やはり時代がそんなハッピーで楽しい音楽を必要としていた証拠と言えるでしょう。

 

しかし、デビューシングルのこの曲は、ヒットチャートに入りませんでした。
ただ、まずは、その存在を知らしめるには十分なインパクトを持った楽曲だったと思います。

 

2曲目は、I WANT ACTION

 

これもノリノリのロックンロールです。
コーラスアカペラから始まりますが、キャッチーなサビを持つ楽しい楽曲です。
もう、ただただ楽しい気分になれるパーティソングです。

 

この曲はアルバムからの3rdシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第50位を記録しています。

 

3曲目はI WON’T FORGET YOU

 

イントロではエレキのソロが泣いてます。
アコギのアルペジオに乗せてゆったりと進むバラードになってます。
コーラスのついたサビもメロディアスで良いです。
この時代は、HM/HRバンドのパワーバラードの大ヒットが続いていた時代でしたが、まさにその流れに乗った感じの名曲です。
ギターソロでは、ハーモニクス音をアームで微妙にコントロールするプレイが見られます。
なかなか雰囲気が出ててとてもいいですよ。

 

この曲はアルバムからの4曲目のシングルとしてカットされ、シングルチャートで第13位というヒット曲になっています。

 

4曲目は、PLAY DIRTY

 

ギターリフがまさに当時のポップメタルにありがちな、正統派のメタルソングです。
パワーコードで押しまくるところは、典型的ですね。
ギターソロもディレイたっぷりの速弾きが、とてもクールですね。
チョイ悪な雰囲気のロックチューンになっています。
最後のコーラスとバトっている速弾きもなかなかです。

 

5曲目は、LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN

 

アルバムのタイトルトラックは、硬派なハードロックを聴かせてくれます。
ヘヴィなギターリフがかっこいいです。
でも、バンド演奏に乗る歌メロはあくまでキャッチーです。

 

6曲目は、TALK DIRTY TO ME

 

僕は当時この曲で初めてポイズンを知りました
ルックスは当時流行のグラムメタル、長髪に派手メイクという定番の格好でしたが、ここで聞こえてきたのは、何ともシンプルなロックンロールです。
軽快、というか痛快というか、見た目に惑わされなければ、メタル系とは誰も思わないでしょう。
それほど、普通に楽しめる、ノリのよいキャッチーな楽曲なのです。

 

バンド名はポイズン、曲にはDIRTYの言葉が入っているのに、全然爽やかな楽曲になっています。
ハードロックもいいけど、こういうシンプルなロックンロールも悪くないです。

 

この曲は2ndシングルとしてリリースされ、初めてシングルチャート入り。
第9位を記録し、初のtop10入りを果たしました。
この曲のヒットによって、アルバムもじわりじわりとチャートを上がり始め、売り上げも伸び始めたのでした。

 

7曲目は、WANT SOME, NEED SOME

 

王道ハードロックです。
ギターリフもかっこよくキマっています。
サビのコーラスも、キャッチーでなかなかの名曲になっています。
ギターソロが珍しく堂々たるソロメロディになっています。

 

8曲目は、BLAME IT ON YOU

 

こちらはちょっと横ノリのハードロックです。
ギターリフがチョイ悪な感じで、バッドボーイズロックを聴かせてくれます。
とは言っても、声がいいので、あんまり悪そうに聴こえません。
この曲もギターソロが両チャンネルに分けられて、なかなかかっこよいものが披露されています。

 

9曲目は、#1 BAD BOY

 

ギターのヘヴィなリフがタイトルどおり、ワルな感じを演出しています。
でも、モトリー・クルーなどのようには振り切っていません。
やはりチョイ悪くらいで収まっています
その上、歌メロもキャッチーなので、心地よく聴けるワル歌です。
ただ、ギターは非常に頑張ってると思いますね。
リフもソロもワルぶったかっこいいプレイを聴かせてくれています。

 

10曲目は、LET ME GO TO THE SHOW

 

アルバムラストは、勢いある爽快ロックンロールだ。
僕的に、ハードロック系のバンドはこうあるべきだと思います。
アルバムの締めは、ハードに決めて欲しいのです。
その点、ポイズンはやってくれました。
デビューアルバムの新鮮さ、勢いがこういうところに出ていると思いますね。
一気に駆け抜けたロックンロールで締めてくれています。

まとめとおすすめポイント

1986年リリースの、POISON(ポイズン)の1stアルバム、LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN(ポイズン・ダメージ)はスタートこそ出遅れたものの、2ndシングル、TALK DIRTY TO MEのヒットで弾みをつけ、ビルボード誌アルバムチャートで第3位まで上り詰めます。
そしてアメリカでは300万枚を売り上げ、世界で400万枚の大ヒットを記録しました。

 

デビューでいきなりの成功の秘訣の一つは時代背景にあるでしょう。
BON JOVI(ボン・ジョヴィ)の世界的な大成功の同時代であるだけでなく、Ratt(ラット)、Mötley Crüe(モトリー・クルー)などの、グラム・メタル、ヘア・メタル、そしてLAメタル(これに関しては日本独自のジャンル分けのようです。)などが全盛の時期のデビューでした。
その中でも、ポイズンはかなり奇抜なルックスのほうではありましたが、大人気を獲得しています。

 

そして、やはりヒットの要因として外せないのが、彼らの音楽性であることも間違いないでしょう。
キャッチーでポップ、グラムメタルの中ではとりわけ陽気で軽快なその楽曲たちは、HM/HRファンからはイロモノ扱いをされたものの、一般のポップチャートで受け入れられました。
やはり、あの80年代のバブリーな時代には、彼らのような底抜けに明るい、能天気な(失礼!)音楽が求められていたのでしょう。

 

とは言っても、ロックンロールという観点で見ると、メタリックではありませんが、楽曲として立派に成立しています。
これは彼らのコンポーザーとしての才覚が、やはり優れていたことを表しているに違いありません。

 

そしてこの1stアルバムの成功でとどまらずに、成功を重ねていくことになります。

 

80年代の、楽しいポップメタルを聴きたい方にはかなりおすすめのアルバムとなっています。

チャート、セールス資料

1986年リリース

アーティスト:POISON(ポイズン)

1stアルバム、LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN(ポイズン・ダメージ)

ビルボード誌アルバムチャート第3位 アメリカで300万枚、世界で400万枚のセールス

1stシングル CRY TOUGH ビルボード誌シングルチャート圏外

2ndシングル TALK DIRTY TO ME シングルチャート第9位

3rdシングル I WANT ACTION シングルチャート第50位

4thシングル I WON’T FORGET YOU シングルチャート第13位