グラムメタルに見せかけて、アーシーな正統派ハードロック GREAT WHITE - …Twice Shy

GREAT WHITE(グレイト・ホワイト)との出会い





いつものようにFMラジオにかじりつきの僕は、一曲の痛快なロックンロールに出会います。

 

バンド名はGREAT WHITE(グレイト・ホワイト)、楽曲名はONCE BITTEN,TWICE SHY(ワンス・ビトゥン・トゥワイス・シャイ)だ。
何と言ってもノリのいい、楽しめるロックンロールは、いかにもアメリカンロックを体現しているように感じられ、一発で気に入りました。
英語を好きだった僕は、曲名を調べると、ことわざの成句でした。

 

ONCE BITTEN 1度噛まれると、

TWICE SHY 2度目は用心深くなる

 

これを日本のことわざで言い換えると、「あつものにこりてなますを吹く」となります。
熱い吸い物を食べてアチチ、となると、次はなますといった冷たいものも、フゥーって冷ましながら食べるようになるというわけです。

 

なんか、英語のかっこよさとシンプルさを、当時の僕は強烈に再認識したのを覚えています。

 

まあ、タイトルの意味はいいとして、楽曲をとても気に入った僕は早速レンタル屋さんへGO。
カセットに収めて彼らのアルバムを聴いた僕は、非常にかっこいい、時にブルージーで時にハードなロックンロールに大満足したのでした。

GREAT WHITE(グレイト・ホワイト)とは

ヴォーカルのJack Russell(ジャック・ラッセル)は1977年にギタリストのMark Kendall(マーク・ケンドール)と出会っています。
そして、マークはジャックに、彼のバンドに加わるよう招きます。
そして、幾つかのバンド、HighwayLivewireWiresでの活動を経ています。

 

ところが、1979年にジャックは強盗を企て失敗したものの、住み込みのメイドを撃った罪で逮捕されるという、とんでもない事件を起こしてしまいます。
結果、懲役8年の刑を受けます。
そのためバンドはバラバラになり、マークは別のバンドを初めるためメンバーを集め始めます。

 

集まったバンドはDante Foxと名づけられ、LAを中心にバンド活動を行なっていきます。
しかし、ヴォーカリストが安定しなかったようです。
そうすると、バンドはジャックが18ヶ月のお勤めのみで、出所したことに気づきます。
そして、ジャックはマークを説得して、再びオーディションを経て、加入することになります。

 

幾つかのデモテープを作ってた頃、マークが車の窓から顔を出していたのを見た少年たちが「there goes Great White(ホホシロザメが行くぞ)」と言いました。
というのも、マークはwhite-blondeの髪の毛をなびかせていたからです。
加えて彼のテレキャスターは白ジャンプスーツも白カペジオの靴も白という具合だったので、それを元にバンド名をGREAT WHITE(グレイト・ホワイト)に変えたそうです。

 

そして自主制作のEP、 「Out of the Night」を出すと、ラジオでもヘヴィローテーションされ、人気が出てきます。
1983年にはレコード会社と契約、1984年にはバンドと同名のデビューアルバム、「GREAT WHITE」をついにリリースします。
この時点での彼らの音楽は、グラムメタル、ヘアメタルのジャンルの音楽性でした。

 

1stアルバムは、ビルボード誌アルバムチャートで144位、とあまり振るいませんでしたが、Whitesnakeや Judas Priestなどの前座として、ツアーを重ねます。

 

1986年リリースの2ndアルバム、SHOT IN THE DARK第82位、とトップ100に入ってきます。
このアルバムリリース後は、Dokkenとのツアーを成功させています。

 

そして、1987年リリースの3rdアルバム、Once Bitten…で、ついにブレイクを果たします。
Rock Me」や「Save Your Love」のシングルヒットと共に、アルバムは第23位、アメリカで100万枚のミリオンヒットを達成しました。
この頃までに容貌はグラムメタルのままですが、音楽性はブルージーなハードロックに変わってきています。

 

この上り調子のときにリリースされたのが、次のアルバムの先行シングルとなった、僕が初めて出会った曲、ONCE BITTEN,TWICE SHY(ワンス・ビトゥン・トゥワイス・シャイ)です。

 

では、今日はその曲の含まれる、1989年リリースのGREAT WHITE(グレイト・ホワイト)の4thアルバム、「…Twice Shy」(「…トゥワイス・シャイ」)をご紹介します。

…Twice Shyの楽曲紹介

オープニングを飾るのは、 MOVE IT(ムーヴ・イット)。

 

車が発進するSEからのスロースタート。
イントロの拍子のトリックを経て、ヘヴィなキレのよいギターリフでかっこいいロックチューンが始まります。
ジャックのハイトーンが非常にいいですね。
ロバート・プラントにも似ていると言われる彼のヴォーカルが、グレイト・ホワイトの魅力を高めています。
逮捕歴は置いといて、なかなかのハードロック向きのヴォーカルです。

 

また、マークのギターもかっこいいです。
オーソドックスなハードロックですが、ギターリフからソロまでかっこよくキマッテいます。
取り立ててハイテクではありませんが、ツボは抑えたいいプレイを聴かせてくれます。

 

ドライヴ感のある、ハードロックチューンでアルバムは幕を開けます。

 

2曲目はHEART THE HUNTER(ハート・ザ・ハンター)。

 

少しテンポを落とした、どっしりしたロックチューンです。
相変わらず、マークのギターがハードなリフをかっこよく奏でています。
たっぷりのギターソロも、ラン奏法を交えて、雰囲気たっぷりに弾いています。

 

ジャックのヴォーカルも艶があってとてもいいです。
楽曲的には普通のハードロックではありますが、グレイト・ホワイト節が決まっています。

 

3曲目は、HIWAY NIGHTS(ハイウェイ・ナイツ)。

 

トラックが発進するようなSEの後に、ベース&ドラムのリズム隊先行で走り出します。
そこに切り込む、マークのギターリフも非常にかっこいいです。
そしてジャックの歌い出しが、またまた大人の色気たっぷりで聞きほれてしまいます。

 

タイトルから連想されるのは疾走感かもしれませんが、むしろ夜のハイウェイでの大人の雰囲気のほうが正しいようです。
なかなか渋くソウルフルに歌い上げるジャックの哀愁漂うヴォーカルが、グッドです。

 

4曲目はTHE ANGEL SONG(ジ・エンジェル・ソング)。

 

やはりこういう骨太なバンドが、こういうバラードに手を出すと強力ですね。
ピアノ主体のバラードなので、ここはソウルフルに歌い上げるジャックの独壇場です。
全編物悲しげに、哀愁漂うヴォーカルを披露しています。
HR/HMバンドと、バラードの相性は抜群ですね。

 

そして、PVでも確認できますが、全編ピアノを弾いているのはギタリストのマークのようです。
これも、よくありがちと言ってしまうのは簡単ですが、やはり二つの楽器をそれぞれ立派にプレイできるというのは立派なことだと思いますね。
特にこの曲のピアノのアレンジは、かなりクオリティが高く感じます。
ピアノだけで一曲楽しめるくらいの、素敵なアレンジとなっていますね。
そして、ギターソロタイムは、同じくマークがホワイトのレスポールカスタムを泣かせまくっていますね。

 

グレイト・ホワイト渾身のこのパワーバラードは、2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第30位、同誌Mainstream Rockチャートでは第18位をマークしています。

 

5曲目は、MISTA BONE(ミスタ・ボーン)

 

どっしりオーソドックスなハードロックを聴かせてくれます。
まあ、地味ではありますが、サビはキャッチーですし、ギターソロもたっぷり聴かせてくれます。

 

前半のどっしり感は壮大なフリだったのか、最終パートで疾走感あふれるロックンロールへ変わって、あっという間にフィニッシュ。
結構悪くないと思います。

 

6曲目は、BABY’S ON FIRE(ベイビーズ・オン・ファイア)。

 

ミドルテンポだけど、ぐいぐい進む疾走感がある楽曲です。
軽快なアメリカンロック、という感じで、ロックンロールなマークのギターもイカシテいます。
この変の昔からのロックンロールをしっかりやる正統派である部分が、他のグラムメタルバンドと一線を画すことになっていると思われます。
サビのジャックの高音ヴォーカルも非常にいいですね。
この曲も、ラストは加速度アップで、一気にフィニッシュへ。
このラストのロックンロールパートをたっぷりプレイすれば、非常にライヴ映えすると思われます。

 

7曲目は、HOUSE OF BROKEN LOVE(ハウス・オブ・ブロークン・ラヴ)。

 

これは非常に哀愁たっぷりのバラードになっています。
イントロでは、いきなりマークのギターがたっぷりとブルージーに泣いています。
もう、イントロだけでおなかいっぱいになれそうな、雰囲気たっぷりのプレイです。

 

ジャックのヴォーカルも、ソウルフルに切なく歌い上げています。
ロバート・プラントばりの、ヴォーカルがバラードにぴったりです。
ギターソロも、途中に入るブリッジも、非常にブルーズ色たっぷりです。
グレイト・ホワイトらしい、名バラードとなっています。

 

この曲は3rdシングルになっており、シングルチャートでは第83位でしたが、Mainstream Rockチャートでは第7位のヒットとなっています。

 

8曲目は、SHE ONLY(シー・オンリー)。

 

前曲のブルーズバラードに続いては、アコースティックバラードである。
美しいアルペジオに乗せて歌われる、ジャックのヴォーカルは極上品ですね。
ギターソロもマークの美しいメロディもたまりません。
2曲続けてのバラードは、?っとちょっとなってしまいますが、楽曲としては非常に優れていると思いますね。
アルバムの終盤を飾るにはとってもいい楽曲になっています。

 

ラスト9曲目はONCE BITTEN, TWICE SHY(ワンス・ビトゥン・トゥワイス・シャイ)。

 

僕が初めてグレイト・ホワイトに出会って、超気に入った楽曲です。
この曲はIan Hunter(イアン・ハンター)というイギリスのシンガーの1stソロアルバムに収録されている楽曲で、全英で第14位まで上ったヒット曲です。
このノリの良い曲をグレイト・ホワイトがカバーした、というわけです。

 

イアンの曲は1975年の作品で、さすがに古さを感じさせるものの、なかなかノリの良い名曲だと思います。
グレイト・ホワイトは、10年以上前の楽曲を見事にかっこよくよみがえらせています。
やはり、音の厚みとかが80年代後期のアレンジで、より安定したロックンロールになっていると思いますね。
しかし、元々の楽曲が既に、優れた作品というのもあり、彼らの選曲眼を誉めるべきかと思われます。

 

イントロのロックンロールの典型的なギターフレーズから、ピアノの使い方など、間違いなくかっこいいですね。
いい曲をいいバンドがカバーしてるから、悪くなるはずがない、といった感じでしょうか。
ロックンロールの楽しさを80年代に再現して見せた、名曲だと思われます。

 

前のアルバムがブレイクして、上り調子のタイミングで出されたこの曲は、彼らの人気の決定打となりました。

 

アルバムの先行シングルとしてリリースされたこの曲は、ビルボード誌シングルチャートで第5位、Mainstream Rockチャートでも第6位の大ヒット曲となりました。

まとめとおすすめポイント

1989年リリースのGREAT WHITE(グレイト・ホワイト)の4thアルバム、「…Twice Shy」(「…トゥワイス・シャイ」)はビルボード誌アルバムチャートで、第9位と自身の最高位を記録します。
そしてアメリカでのセールスは、200万枚を記録しています。

 

風貌はグラムメタルのままですが、音楽性は少しづつ変わり続けています。
前作までブルージーなハードロックへと変わってきてましたが、今回はより正統派のハードロックに変貌しているように聴こえます。
そして、言うてもハードロックというほどハードではないかな、という印象もあります。

 

やはり、このバンドの特徴はジャックのアダルティなヴォーカルではないでしょうか。
ハイトーンまで、甘い歌声が曲を彩っています。
基本、ヘヴィなギターリフと、ノリのよいリズム隊により、ハードロックの感じではありますが、ジャックが歌うことでAOR風のハードロックのような雰囲気さえあります。
いずれにしても、キャッチーな歌メロと、ちょいハードでちょいブルージーな味付けは、当時の需要にかなっていたということでしょう。

 

僕は「ワンス・ビトゥン・トゥワイス・シャイ」からこのバンドに目を向けたのですが、この音を期待するとちょっと違うかもしれません。
オールドロックンロールのようなこのシングルは、彼らに多くの人の注目を集めましたが、これが彼らのやっている全てではないからです。
ブルージー、かつハードよりの楽曲のほかにも、素敵なブルーズバラードや、アコースティックパワーバラードもあります。

 

80年代的な正統派のハードロックを期待する方にはおすすめのアルバムです。

チャート、セールス資料

1989年リリース

アーティスト:GREAT WHITE(グレイト・ホワイト)

4thアルバム、…Twice Shy(…トゥワイス・シャイ)

ビルボード誌アルバムチャート第9位 アメリカで200万枚のセールス

1stシングル ONCE BITTEN, TWICE SHY(ワンス・ビトゥン・トゥワイス・シャイ) ビルボード誌シングルチャート第5位、同誌Mainstream Rockチャート第6位

2ndシングル THE ANGEL SONG(ジ・エンジェル・ソング) シングルチャート第30位、Mainstream Rockチャート第18位

3rdシングル HOUSE OF BROKEN LOVE(ハウス・オブ・ブロークン・ラヴ) シングルチャート第83位でしたが、Mainstream Rockチャート第7位