人気を決定付けた最高傑作  JANET JACKSON – RHYTHM NATION 1814




前作からの流れ

1986年にリリースされた、JANET JACKSON(ジャネット・ジャクソン)の3rdアルバム、CONTROL(コントロール)はビルボード誌アルバムチャートでNo.1、同誌 Top R&B/Black Albums チャートでもNo.1を獲得しています。
アメリカでは500万枚のセールス、世界中では最終的には1000万枚を越えるセールスを記録しています。

 

商業的大成功を受けて、ジャネットはクリエイティヴなアルバム作りにおいてもっと深く関わって行きたいと願うようになります。
しかし、レコード会社は、“コントロール2”とも言える、前作の続編のようなものを作るよう要求します。
まあ、2匹目のドジョウを狙う戦略もわからなくはありませんが、彼女の願いはもっと上を目指すものだったようです。
彼女は、「それは自分のやりたくなかったこと、それより自分が信じる何か、自分の強く感じてる何かを表現したい」と述べ、きっぱりとその要求を拒絶しています。

 

次第に、社会問題への意識をアルバムのテーマにしたいと感じるようになってきます。
それはCNNなどを見ていて飛び込んでくる数々の問題からインスパイアされたようです。
数々の悲劇、人種差別、貧困、薬物の乱用、そのような社会問題を取り上げたコンセプトアルバムにする方向で定まっていきます。
そして、自分たちの国家(nation)を持てたら素晴らしい、という彼女のアイディアからRHYTHM NATIONというタイトルが生まれていきます。

 

この辺は、1985年に兄マイケルたちの作った、WE ARE THE WORLD(ウィ・アー・ザ・ワールド)の「世界は一つ」、というテーマと非常に良く似ていますね。
RHYTHM(リズム)には国境がなく、それを通じて一つの国家となり、全ての問題を解決しよう、という一つのメッセージが読み取れます。
そして、1814という数字は、アメリカ国歌「The Star-Spangled Banner(星条旗)」の詩が書かれた年、1814年に由来しています。
ですから、ジャネットはこのアルバムを新たな国家の象徴的な国歌としたいと考えていたようですね。

 

ちなみに、RHYTHM NATIONの頭文字はRとNで、そのアルファベットは18番目と14番目になっていますが、これは全くの偶然のようです。
偶然にしてはよくできてますよね。

 

ジャネットの本作での目指していたゴールは、様々な社会問題に気付いていない若者たちにメッセージを届けることでした。
彼女は言ってます。
「アルバムや歌で世界を変えることなど出来ないことはわかってる。それほど世間知らずではないわ。でも、わたしは自分の歌やダンスでみんなの注意をちょっとでもそんな問題に向いてほしいと思っただけ。それでわずかでも何か変わるようみんなを動かせたらなと願ってる。」

 

こんなメッセージを持ってアルバム制作に取り組む彼女の大きな力になったのは、前作で共に組んで大ヒットを生み出す要因の一つとなったプロデューサーのJimmy Jam and Terry Lewis(ジャム&ルイス)でした。
今回も、極寒のミネアポリスの彼らのスタジオにこもって、レコード会社の影響を受けることなく共にアルバム制作を開始します。
そして時代の先端を行っていた二人は、さらに当時のヒップホップ界で使用されていたSP-1200や他のリズムマシンやシンセを試して、最新鋭の音を作り出していきます。

 

また、今回はメインヴォーカルの録音だけでなく、コーラスの声もほとんど彼女が一人で録音しています。(一部男性のコーラスはあります。)
それによって、トータルで彼女自身のアルバムにすることが出来ています。
また、作詞作曲、プロデュースにも積極的に加わり、前回同様、自分の道を自分でコントロールしていることを示しています。

 

こうして7ヶ月の期間をかけてアルバムは完成します。

 

では、1989年リリースの、JANET JACKSON(ジャネット・ジャクソン)の4thアルバム、RHYTHM NATION 1814(リズム・ネイション1814)をご紹介します。

RHYTHM NATION 1814(リズム・ネイション1814)の楽曲紹介(原題は Janet Jackson’s Rhythm Nation 1814と表記されることもあります。)

01 INTERLUDE: PLEDGE(インタールード:誓い)

このアルバムは、全10曲の合間にINTERLUDE(インタールード)と言われる短い曲ないし音などが挟まれています。
それによって、それぞれの曲のテーマが提示されたり、アルバム全体のまとまり感を強めています。

 

鐘の音のなる中での最初のこのパートはリズム・ネイションという新たな国家設立の宣誓とも言える内容が語られています。

We are a nation with no geographic boundaries,(我々は地理的境界のない一つの国家であり、)

bound together through our beliefs.(信念で結び合わさっている。)

We are like-minded individuals,  sharing a common vision,(我々は志を同じくする個人の集まりで、共通のヴィジョンを共有し、)

pushing toward a world rid of color-lines.”(人種差別の無い世界へと進んでいる)

非常にメッセージ色の強い宣言になっています。
それと共に、このアルバムのコンセプトをはっきりと示していますね。

 

彼女の強い決意が語られ、アルバムは始まっていきます。

02 RHYTHM NATION(リズム・ネイション)

1曲目からタイトルトラックであり、このアルバムのコンセプトの核心と言えるナンバーが配置されています。
この曲は、ジャネットとジャム&ルイスの3人による共作です。

 

偶然レストランでかかってきた、Sly and The Family Stoneスライ&ザ・ファミリーストーン)のThank You (Falettinme Be Mice Elf Again)という曲のギターのブリッジをきっかけとして、この曲の、そしてアルバム全体の方向性が定まることになったようです。
そのパートを取り出し、2小節のループを作り、ドラムマシンを打ち込み、ストリングスを加えて作られていきました。

 

社会的な問題への意識をコンセプトにした彼女が、人種差別や社会の不公正をなくすために立ち上がろうというメッセージが含まれた楽曲です。
メッセージはともかくも、楽曲が非常にかっこよいです。
ファンキーなリズムに打ち込みの音がキラキラ輝いています。
その上に、表現力も増したジャネットのヴォーカルがキマっていますね。

 

この曲のPVがまたドミニク・セナ監督により、非常にかっこよく作られていますね。
全編モノトーンの中で、彼女と数人のダンサーが軍服姿で一糸乱れぬダンスを披露しています。
兄マイケルの影響だと思われますが、それに匹敵するような素晴らしいパフォーマンスを見せてくれてます。
このPVはMTV Video Music Awardsで、Best Choreography(最優秀振付け賞)を受賞しています。

 

また、30分ほどの長編ビデオも作成されており、そちらはグラミー賞 最優秀長編ミュージックビデオ賞を受賞しています。

 

この曲は、2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで2週連続第2位、同誌Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートでNo.1、同誌 Dance Club Songsチャートで3週連続No.1を獲得しています。

03 INTERLUDE: T.V.(インタールード:T.V.)

テレビのチャンネルを次から次に切り替える音です。
レコーディングスタジオで、CNNを見てるときに、良いニュースではなく悪いニュースばかり流れていたようです。
そんな数々の悲劇が、このコンセプトアルバムを作るきっかけになりました。

04 STATE OF THE WORLD(ステイト・オブ・ザ・ワールド)

CNNを見てるときに飛び込んできた悪いニュースの一つが、ホームレスの問題で、この楽曲ではそのトピックが取り上げられています。
この曲も3人の共作です。

 

うねるようなベース音と、打ち込みドラム、数々の効果音で派手にアレンジされてますが、非常に締まって聞こえますね。
とてもクールなビートに、腰がうずきそうなファンキーなノリで、クセになりそうな曲です。

 

この曲は、シングルとしてはリリースされていませんが、ビルボード誌Hot 100 Airplayチャートで第5位、Dance Club Songsチャートで第9位を記録しています。

05 INTERLUDE: RACE(インタールード:レース)

銃声の音と共に、「我々は教育と大惨事の間をレースしている」と言って、次のトピックとして教育と知識の重要性に目を向けています。

06 THE KNOWLEDGE(ザ・ノウリッジ)

ジャム&ルイスの共作作品です。
これまた非常にクールなダンスビートです。
ラップっぽいジャネットの語りから、歌メロに変わっていくところもかっこいいです。

 

中盤で偏見や無知にNO!を突きつけるジャネットが非常にかっこいいです。

 

かの長編ビデオの中では、麻薬取引に巻き込まれて友を失った直後に、激しい怒りと悲しみを表現する際にこの歌の1部が用いられていました。
そんな悲劇を経験しないためにも、知識は必要であることを訴えていると思われます。

 

ここまでが、最初のメッセージ性の強い3曲になっています。

07 INTERLUDE: LET’S DANCE(インタールード:レッツ・ダンス)

Get the point?  Good.  Let’s Dance.(言いたいことがわかった? いいわ、踊りましょう)

最初の3曲で強いメッセージを出したあとは、明るいダンスタイムへ突入です。

08 MISS YOU MUCH(ミス・ユー・マッチ)

この曲は、ジャム&ルイスの共作作品で、明るく軽快なダンスチューンです。

 

これが、3年ぶりのアルバムの先行シングルとしてリリースされています。
3年前の名作コントロールの後の作品でしたから、期待と不安が入り混じりましたが、見事な楽曲で帰ってきたと思いますね。

 

PVでは白黒の画面の中、キレのよいダンスを披露しています。
バックのダンサーたちとのシンクロ具合も半端ありません
もう、初期のぽっちゃり型のジャネットは卒業して帰ってきたようですね。
ジャネットについて、ダイエットなど自分を律する点でもプロ意識を持っていた、と後にジミー・ジャムは語っています。

 

この曲は、アルバムの先行シングルとしてリリースされ、シングルチャートで4週連続No.1、Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートでNo.1、Dance Club SongsチャートでNo.1の3冠を達成しています。

09 INTERLUDE: COME BACK INTERLUDE(インタールード:カム・バック・インタールード)

短く美しいストリングスの音色です。

10 LOVE WILL NEVER DO (WITHOUT YOU)(ラヴ・ウィル・ネヴァー・ドゥ)

この曲も、ジャム&ルイスの共作作品で、重めのビートに軽快な歌メロの乗るキャッチーな佳曲です。

 

もともと二人はこの曲をデュエット曲にしたかったようです。
お相手としては、プリンス、ジョニー・ギル、ラルフ・トレスバントなどが考えられましたが、具体化することはありません。
それで、レコーディングの時にジャムは最初のフレーズを男性の声のように低く歌ってみるようジャクソンに言ってみます。
そして次はオクターヴ上の普段の声で歌います。
こうして、ジャネットが一人二役でデュエットしてるかのような効果を楽曲に持ち込むことに成功しました。

 

最初に僕が聴いたときに、確かに歌い出しは誰か男性アーティストか、と思いましたね。
見事にだまされてしまいましたw

 

PVでは、非常に女性らしく美しい彼女の様子が描かれています。
モノクロの強いメッセージPVから比べると、非常にポップな楽曲にお似合いの素敵なPVです。

 

この曲の後半にはいろんなフレーズのコーラスが入っていますが、ジャネットが一人で全て録音したようです。
ジャムによると、ハーモニーは4和音で、それぞれに4トラックレコーディングしたので計16トラック
そして、別のパートで同じ作業を繰り返して、合計32トラックを一人で歌入れしていったそうです。
このへんのジャネットのプロ意識をジャムは称賛していますね。

 

この曲は、7thシングルとしてカットされ、シングルチャートでNo.1、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第3位、Dance Club Songsチャートで第4位を記録しています。

11 LIVIN’ IN A WORLD (THEY DIDN’T MAKE)(リヴィン・イン・ア・ワールド)

A面最後となるこのバラードは、ジャム&ルイスによるバラードです。
子供たちの遊ぶ声から始まって、美しいピアノに続いてジャネットが優しく歌っていきます。
そしてラストには銃撃音と子供たちの叫び声、そしてその悲劇を伝えるTVのニュースキャスターのような声が聞こえます。

 

この曲のきっかけはCNNで流れてきた学校での銃撃事件のニュースだったようです。
子供たちは、大人が作った、憎しみや過ちに満ちた世界に住んでいます。
だから、こんな悲劇は原因は大人にあることを強く主張した歌になっています。
罪の無い子供たちが、そんな世の中であっても正しく成長して欲しい、という願いも含まれた悲しいバラードですね。

12 ALRIGHT(オールライト)

悲劇を扱った重いテーマでA面が終わった後のB面は、ジャネットとジャム&ルイスで作った祝福の曲で幕を開けます。

 

PVでは、街中をダンスであふれさせるミュージカル仕立ての楽しいパフォーマンスが収められています。
スーツ姿のジャネットとダンサーの踊りは非常にかっこよいです。

 

この曲はジェームズ・ブラウンのショーでヴォーカルを務めたリン・コリンズという女性シンガーの1972年の曲Think (About It)”をサンプリングし、最後のフックは BTエクスプレスというファンクバンドの1974年の曲、“Do You Like It”をサンプリングして3人で作り上げました。

 

この曲は4thシングルとしてカットされ、シングルチャートで第4位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第2位、Dance Club SongsチャートでNo.1を記録しています。

13 INTERLUDE: HEY BABY(インタールード:ヘイ・ベイビー)

ちょっとした会話と笑い声。

14 ESCAPADE(エスカペイド)

ベルのようなかわいらしいイントロから始まり、シャープなドラムのビートが気持ちよい絶妙なダンストラックです。
これも3人で作った楽曲になっています。

 

とってもキュートで、レッツゴー!の掛け声もお洒落で、非の打ち所の無いダンス曲と思います。
アルバムの中では、他の重いテーマを吹き飛ばすような軽やかでキャッチーな名曲です。

 

この曲は3rdシングルとしてカットされ、シングルチャートで3週連続No.1、Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートでもNo.1、Dance Club SongsチャートでもNo.1とこのアルバムで2曲目の3冠を達成しています。

15 INTERLUDE: NO ACID(インタールード:ノー・アシッド)

ガラスの砕ける音とジャネットの「麻薬はダメ」との語り。

16 BLACK CAT(ブラック・キャット)

そして猫の威嚇の咆哮と共に、ヘヴィなギターリフを中心に楽曲が始まっていきます。
これはジャネットの初の単独作曲になります。

 

そして、アレンジもこのアルバム中で毛色の変わったものになっていますね。
彼女もハードロック系のバンドを聞いて育ったようですが、それが如実に表れています。

 

彼女のそのイメージに合わせて、この曲に関してはプロデュースをThe Time(ザ・タイム)のドラマー、Jellybean Johnson(ジェリービーン・ジョンソン)が行なっています。
また、全編に渡って響き渡る、ヘヴィなギターリフは、デーヴ・バリーというギタリストがワイルドにプレイしています。
ロックマンとマーシャルアンプのミックスで、ヘヴィでも心地よい歪みを聴かせてくれてます。

 

歌のテーマは、薬物の乱用への警告となっています。

 

ダンスチューンにヘヴィロックの融合で、新しいかっこいいサウンドが生み出されています。
ジャネットのヴォーカルも非常に攻撃的な歌い方になっていて、非常にクールですね。

 

この曲は6thシングルとしてカットされ、シングルチャートでNo.1、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第10位、Dance/Electronic Singles Salesチャートで第11位を記録しています。

17 LONELY(ロンリー)

雷鳴と雨の降りしきる中、静かに始まる曲です。

 

ジャム&ルイスによる楽曲で、とても優しいバラードです。
ジャネットのウィスパーヴォイスがとても心地よいです。

18 COME BACK TO ME(カム・バック・トゥ・ミー)

3人で共作の極上のバラードです。

 

イントロの何重にも重ねられたジャネットのコーラスが非常に美しいですね。
楽曲の全編で、彼女の甘く優しい声が包んでいます。
ラストはストリングスも絡んで究極のシルクのような出来栄えになってます。

 

この曲は5thシングルとしてカットされ、シングルチャートで第2位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャートで第2位、Adult ContemporaryチャートでNo.1を記録しています。

19 SOMEDAY IS TONIGHT

前曲のエンディングの雨の音からつながっていくこちらも3人での共作のしっとりバラードです。

 

アルバムラストとなるこの曲では、前曲よりさらにセクシーなささやきヴォイスで歌っています。
ラストはクールなサックスが絡んでとても大人な雰囲気になっています。

20 INTERLUDE: LIVIN’… IN COMPLETE DARKNESS(インタールード:暗闇に生きて)

アルバムのラストのインタールードは、美しいストリングスをバックに11曲目のリヴィン・イン・ア・ワールドのコーラスリプライズです。
そして、最後に再び鐘の音がなりはじめ、イントロの鐘につながっていくエンドレスなエンディングとなっています。

まとめとおすすめポイント

1989年リリースの、JANET JACKSON(ジャネット・ジャクソン)の4thアルバム、RHYTHM NATION 1814は、ビルボード誌アルバムチャートで4週連続No.1、同誌Top R&B/Black Albums チャートでもNo.1を記録しています。
また、アメリカで800万枚、全世界で1200万枚売上げたと言われています。
これは、大ヒットした前作コントロールをしのぐ記録になっています。
そして、ビルボード誌の1990年のアルバム年間チャートでNo.1を達成しています。

 

そして、このアルバムからの7曲のシングルヒットがこれまたすさまじい記録を作っています。
なんと7曲すべてがシングルチャートでTop5入り
内訳は、4位が1曲、2位が2曲、そしてNo.1が4曲というとてつもない好成績ですね。
これは、ビルボード誌シングルチャートの歴史上唯一の記録となっているようです。
兄のマイケルはスリラーから7曲のTop10ヒットを生み出しましたが(ちなみにブルース・スプリングスティーンのBORN IN THE U.S.A.も7曲のTop10ヒットを出してます。)、彼女はそれを上回る7曲のTop5ヒットを生んで兄を超えてみせました。

 

また、7枚のシングルヒットを重ねる中でアルバムはロングヒットを続けます。
それで、1989年(Miss You Much)、1990年(Escapade と Black Cat)、1991年(Love Will Never Do (Without You))という、3年にかけてNo.1ヒットを生み出した唯一のアルバムともなっています。

 

ジャクソン家の娘という大いなる呪縛から離れ、自らをコントロールし始めて大ヒットした前作コントロールでしたが、今回はさらに攻めたアルバムつくりをしています。
前作の成功に甘んじることなく、新たな挑戦としてコンセプトアルバムを制作しました。
これによって、世界の問題に目を向ける、一人のアーティストとしても大きな第一歩を踏み出しました。
この作品の大ヒットによって、多くの若者たちへのメッセージが届いたのではないでしょうか。

 

しかし、いくらメッセージが濃い作品となっても、楽曲がショボかったらダメです。
その点は、前作からの引き続きのジャム&ルイスの手を借りて、非常にクールな楽曲を詰め込むことができました。
今回特筆すべき点は、短いインタールードを曲間に挟むことによって、アルバム全体のまとまり感が出ていることではないでしょうか。
テレビのチャンネルを変えるかのような雰囲気だったり、次の曲のテーマを示すことだったり、とアルバム全体がつながっているように思えます。
当時は、これは非常に斬新に思えましたね。
アルバム全体が視覚的に感じられて、トータルアルバム感が半端なかったのを覚えています。
このアルバムの成功が、後(1996年)の小室プロデュースによる安室奈美恵の名作「SWEET 19 BLUES」を初めとして、多くのアルバムに多大な影響を与えたのは容易に想像がつきますね。

 

今でも、聞き返すとやはりかっこいいアルバムになってると思いますね。
ジャム&ルイスと組むことで、兄マイケルとは異なるテイストでブラックミュージックをパフォームしています。
プリンスの生み出したミネアポリスサウンドを見事に継承して、さらに発展させたジャム&ルイスのプロデュースの手腕あってこそのこのクオリティだと思えます。

 

とはいえ、やはり、ストイックに自身をコントロールしてアルバム制作に深く関わったジャネットが中心にあったからこそのこの大成功だったとも思いますね。
ジャクソン家を飛び出したジャネットの最高傑作として、このアルバムは金字塔のように輝くアルバムの一つに数えられていくことでしょう。

チャート、セールス資料

1989年リリース

アーティスト:JANET JACKSON(ジャネット・ジャクソン)

4thアルバム、RHYTHM NATION 1814(リズム・ネイション1814)

ビルボード誌アルバムチャート4週連続No.1 Top R&B/Black Albums チャートNo.1

ビルボード誌アルバム年間チャートNo.1(1990年)

アメリカで800万枚のセールス 世界で1200万枚のセールス

1stシングル MISS YOU MUCH(ミス・ユー・マッチ) ビルボード誌シングルチャート4週連続No.1、同誌Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートNo.1、同誌Dance Club SongsチャートNo.1

2ndシングル RHYTHM NATION(リズム・ネイション) シングルチャート2週連続第2位、Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートNo.1、Dance Club Songsチャート3週連続No.1

3rdシングル ESCAPADE(エスカペイド) シングルチャート3週連続No.1、Hot R&B/Hip-Hop SongsチャートNo.1、Dance Club SongsチャートNo.1

4thシングル ALRIGHT(オールライト) シングルチャート第4位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャート第2位、Dance Club SongsチャートNo.1

5thシングル COME BACK TO ME(カム・バック・トゥ・ミー) シングルチャート第2位、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャート第2位、Adult ContemporaryチャートNo.1

6thシングル BLACK CAT(ブラック・キャット) シングルチャートNo.1、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャート第10位、Dance/Electronic Singles Salesチャート第11位

7thシングル LOVE WILL NEVER DO (WITHOUT YOU)(ラヴ・ウィル・ネヴァー・ドゥ) シングルチャートNo.1、Hot R&B/Hip-Hop Songsチャート第3位、Dance Club Songsチャート第4位