美しいロック姉妹 アン&ナンシー   HEART - HEART

HEART(ハート)との出会い





1985年、一曲のキャッチーな楽曲がチャートを上がってきました。
PVで見るに美しい女性がヴォーカルとして歌っています。
これがなんともシンプルなバンド名であるHEART(ハート)との最初の出会いです。
曲はNEVER(ネヴァー)。
調べてみるになんとこの時点で既にスタジオアルバムを7枚も出しているベテランでした。
その割りにPVで見るに非常に若くてお美しい姉妹、アン&ナンシーのウィルソン姉妹。
とても70年代から活躍してるとは思えない、美しいイメージと迫力のあるヴォーカルが第一印象でした。

 

これまで既に全米アルバムチャートで三枚をTOP10入りさせている実力派のグループのようですが、前の2枚がセールス的に伸び悩んでいたようです。
それで、今回のアルバムで起死回生の一発を狙っていたようですが、果たして結果は、というと何と初の全米No.1を獲得してしまうのでした。
この復活劇の理由について考察してみたいと思います。

 

今日は、1985年リリースのHEART(ハート)の8thアルバム、HEART(ハート)をご紹介したいと思います。

HEART - HEARTの楽曲紹介

オープニングを飾るのはIF LOOKS COULD KILL(イフ・ルックス・クッド・キル)。

 

このアルバムのタイトルにバンド名を持ってきていることから、今回のアルバムにかけるバンドの意気込みが伝わってきます。
この曲はまさにその強い気持ちが乗ったハードなナンバーとなっています。
シャープに刻むギターリフが曲全体を貫き、勢いとクールさを演出しています。
そしてサビ部分では80年代ロックソングらしくシンセがゴージャスに曲を盛り上げています。
エレキもところどころ飛び道具のように曲を飾り立てています。
ギターソロも短いですが、コンパクトにまとまりながらも派手で主張のあるいいソロです。

 

でも何と言っても、ヴォーカルのAnn Wilson(アン・ウィルソン)のかっこいいこと。
女性版ロバート・プラントとも呼ばれるにふさわしい堂々たるヴォーカルを披露しています。
いきなり勝負に出た見事な楽曲になっています。

 

この曲はアルバムからの5thシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第54位を記録しています。、
シングル向けではないのでまあそんなものかなと思いますが、ハートの激しいロックを知らしめる点では良かったのではないかと思います。

 

2曲目は、WHAT ABOUT LOVE(ホワット・アバウト・ラヴ)。

 

ハート復活ののろしを上げるパワーロッカバラードです。
ドラマティックなイントロからのアンの抑えたヴォーカルで始まるAメロ、そしてサビでアンは力強く歌い上げてます。
サビのコーラスも美しい。
ギターソロも楽曲にふさわしく、堂々とゆったりと聴かせてくれます。

 

この曲は先行シングルとしてリリースされ、シングルチャート第10位、Maintstream Rockチャートで第3位を記録しています。

 

3曲目は、NEVER(ネヴァー)。

 

僕が初めて出会ったハートの楽曲で、一番のお気に入りの曲です。
これはキャッチーな、まさに80年代を体現した楽曲ではないでしょうか。
と思ってたら、やはり作曲にHolly Knight(ホリー・ナイト)の名前がありました。
AEROSMITH(エアロスミス)のANGEL(エンジェル)を初めとする、80年代を代表するソングライターの一人ですね。
やはり彼女はいい曲を作ります。
すぐに口ずさみたくなるキャッチーなメロディを書かせたら天下一品です。

 

さてこの楽曲についてですが、まずイントロが心地よいですね。
エレキギターのミュート音を空間処理した音ですが、これが他にはない心地よさを提供しています。
それにシンセも適度に混ざって絶妙のイントロとなっています。
そこにアンのハイトーンヴォイスが入ってきます。

 

曲は、HEY BABY I’M TALKING TO YOU♪と始まりますが、PVを見ると、まさにお姉さんが僕に語りかけているようで、すごく引きこまれました。
ギターリフもかっこいいですが、抑え目に使っているので、曲のポップさを壊したりしていません。
ギターソロもこの曲ではほとんど用意されていないです。
曲のつなぎ程度です。
かと言って、バンドっぽさが消されているわけでもない、まさにちょうどいいミドルテンポロックになっているのです。

 

そしてやっぱりハイライトはサビのアンのヴォーカルとそれをさらに輝かせるバックコーラスではないでしょうか。
WIKIによると、バックコーラスの高音域の部分は妹のNancy Wilson(ナンシー・ウィルソン)が担当しているようです。
この美しい二人の姉妹のハーモニーにもはやうっとりしてしまいます。
メロディのいい曲を歌のうまいシンガーが歌うとこんなに楽曲は輝くのだ、という一つの典型になっている気がします。

 

この曲は2ndシングルとしてカットされ、シングルチャートで第4位、Maintstream Rockチャートで第2位を記録しています。

 

4曲目はTHESE DREAMS(ジーズ・ドリームス)。

 

これは非常に美しいバラードで、メインヴォーカルを妹のナンシーが担当しています。
森の中をさまよう美しいお姫様のような雰囲気を漂わせるこの曲はただの静かなバラードではありません。
サビではドラムとともに、ロックバンドらしい演奏を伴います。
そしてナンシーが美しく歌い上げています。
もちろんアンもコーラスで見事にサポートして美しいハーモニーを聴かせてくれていますね。

 

これもエイティーズを代表するバラードとして認定したいものです。
PVで歌い上げるナンシーの美しいこと
またエレキを持った姿もさまになっています。
ビジュアルがいいこともハートの強みと言えるでしょう。
そして、途中の効果音として、エレキのタッピングでささやかな装飾音が加えられていることが確認できます。
曲を良くするため、盛り上げるため、飾り立てるために、いろんな工夫がなされているのがエイティーズサウンドの特徴と言えますが、これもまさにその一つの例と言えるでしょう。
とにかくうっとりと堪能できるバラードで、すべての人にお勧めしたいと思います。

 

ちなみにこの曲は、最初はStevie Nicks(スティーヴィー・ニックス)に提供されるはずの曲だったのですが、彼女が断ったため、ハートに回ってきた楽曲です。
ハートに来て正解だったと強く感じると同時に、スティーヴィーのヴァージョンもちょっと聞いてみたかった、とも思いますね。(怖いもの見たさかな)

 

この曲は3rdシングルとしてカットされ、シングルチャートでNo.1、Maintstream Rockチャートで第2位、Adult ContemporaryチャートでNo.1を獲得しています。

 

A面ラスト5曲目はTHE WOLF(ザ・ウルフ)。

 

これは一転してハードなロックチューンになっています。
激しいギターのリフで始まるこの曲は、女性版ロバート・プラントと言われるアンのヴォーカルが冴え渡る傑作と言えますね。
エレキギターもこの曲では随所に聴き所があります。
狼の遠吠えのようなアーミングによる効果音から、曲全体をエッジの効いたギターが貫いています。
しかし、やはりエレキはアンとナンシーの引き立て役を超えてはいません
ハートはアンとナンシーのウィルソン姉妹のバンドなのです。

 

B面1曲目はALL EYES(オール・アイズ)。

 

非常に爽快なロックナンバーになっています。
この曲にもホリー・ナイトが関わっていますね。
そのため、やはりいい曲です。
疾走系のロックソングなのに、キャッチー、という80年代サウンドそのものになってます。
ハードなロックと、キャッチーなロックをハートらしくバランスよく包含した良曲ですね。
シングルにしても良いクオリティがあるのでB面一曲目としてはナイスな選曲だと思います。

 

2曲目はNOBODY HOME(ノーバディ・ホーム)。

 

静かな温かい雰囲気のバラードです。
静かなシンセによるイントロが美しい。
そして優しく歌うアンのヴォーカルも魅力たっぷりとなっています
ギターソロも少し弾きまくってバラードに盛り上がりを加えています。
また、ラストが近づくにつれ力強さを増すアンのヴォーカルにも注目の楽曲です。

 

3曲目はNOTHIN’ AT ALL(ナッシン・アット・オール)。

 

これも軽快なポップロックソングになっています。
とても聴き心地がいい楽曲ですね。
PVではナンシーがおしゃれに挑戦するが、結局はいつもの黒を基調としたクール系におさまる、という、ちょっとお茶目な面が見れるのが楽しいものとなってます。

 

この曲は4thシングルとしてカットされ、シングルチャートで第10位、Maintstream Rockチャートで第6位を記録しています。
これでアルバムから4枚目のTOP10ヒットとなりました。

 

4曲目はWHAT HE DON’T KNOW(ホワット・ヒー・ドント・ノー)。

 

BON JOVISHE DON’T KNOW MEに続く、3単現文法ミスソングだ。(もちろんミスではなく、わざとそうしてるんだけどね。)
ゆったりとしたこの曲も二人の姉妹のハーモニーを楽しめる佳曲です。
ちょっとアルバムの中では目立たない感じもあるが、決して悪くありません。

 

アルバム最後を飾るのはSHELL SHOCK(シェル・ショック)。

 

このアルバムで好感が持てるのが、節目節目でこのようなハードな楽曲を配置しているところです。
そのため、アルバムは引き締まって聴こえるし、またもう一度聴こうという気にさせてくれます。
まさにこの曲はクールなギターソロのフェイドアウトで終わるのでまた一曲目にもどりたくなるのです。

まとめとおすすめポイント

1985年リリースのHEART(ハート)の8thアルバム、HEART(ハート)はビルボード誌アルバムチャートNo.1を獲得し、アメリカだけで500万枚を売り上げました。
確かにその成績にふさわしいロックアルバムだと思います。

 

前2作の不振を払拭した理由は、ちょうどAEROSMITH(エアロスミス)の復活劇と重なります。

 

一つ目の理由はやはりプロデューサーの変更になるでしょう。
今回はあの、Ron Nevisonロン・ネヴィソン)に依頼しています。
ロンといえば、SURVIVOR(サバイバー)の復活を演出した、80年代を代表する売れっ子プロデューサーです。
彼は良くも悪くもアルバムの楽曲を売れ線の曲に仕立て上げる才能に長けています。
人によってはそれをオーヴァープロデュースと言って敬遠する人もいるようですが、実際に売れるアルバムを作った実績を考えると、やはり彼の才能を認めざるを得ないでしょう。
エアロスミスはブルース・フェアバーンのプロデュースによって復活しましたが、ハートはロン・ネヴィソンのプロデュースによって一線に帰ってきたのです。

 

もう一つはエアロスミスと同様、外部ライターを起用したことが挙げられるでしょう。
ハートはこのアルバムで、ホリー・ナイトやジム・ヴァランスなどの売れっ子ソングライターを使っています。
自ら作った曲ももちろん良いのですが、やはり職人に任せると、大ヒットにつながるいい曲を手にすることが出来ます。
それによってシングルヒットが生まれ、アルバムの大ヒットにつながったにちがいありません。

 

ハートの場合、他にも多くの参加ミュージシャンを見つけることができます。
ホワット・アバウト・ラヴにはなんとSTARSHIP(スターシップ)の2枚看板、ミッキー・トーマスとグレース・スリックがコーラスで参加しています。
また、ミッキーは他にもシェル・ショックやオール・アイズにも参加している模様。
他にもノーバディ・ホームの叙情的なギターソロは、何とサバイバーのギタリスト、フランキー・サリヴァンが弾いているようです。
彼はあと、ナッシン・アット・オールでもギターで参加している。
このようなところに注目しながら聴くのももうひとつの楽しみ方と言えるでしょう。

 

80年代のバンドらしい、流行の方法で復活したハート。
人によっては以前のソリッドなサウンドとアコースティックな響きが失われて、ゴージャスな、いわゆるエイティーズサウンドに生まれ変わったことを惜しむ人もいるようだ。
しかし、時代に合わせたことによって、彼らはいっそうの活躍の機会を得て、さらに活動を続けることができたのです。
そう考えると、一概にその変化を否定することはできないでしょう。

 

しかし、このアルバムからハートに入った80年代の人間である僕からすると、このアルバムは非常に聞きやすく、かっこいいサウンドとしか思えません
同じように感じた人によってこのアルバムは大ヒットしたに違いありません。

 

それで、僕はこのアルバムはエイティーズサウンドにあふれた、優れたバンドサウンドとして多くの人に推したいと思います。

 

何よりもアンとナンシーの美しい姉妹の魅力をみんなに知ってほしいと思っています。

チャート、セールス資料

1985年リリース

アーティスト:HEART(ハート)

8thアルバム、HEART(ハート)

ビルボード誌アルバムチャートNo.1 アメリカで500万枚のセールス

1stシングル WHAT ABOUT LOVE(ホワット・アバウト・ラヴ) ビルボード誌シングルチャート第10位、Maintstream Rockチャート第3位

2ndシングル NEVER(ネヴァー) シングルチャート第4位、Maintstream Rockチャート第2位

3rdシングル THESE DREAMS(ジーズ・ドリームス) シングルチャートNo.1、Maintstream Rockチャート第2位、Adult ContemporaryチャートNo.1

4thシングル NOTHIN’ AT ALL(ナッシン・アット・オール) シングルチャートで第10位、Maintstream Rockチャートで第6位

5thシングル IF LOOKS COULD KILL(イフ・ルックス・クッド・キル) シングルチャートで第54位

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