爽快なカナディアン・ロックンロール  LOVERBOY - LOVIN’ EVERY MINUTE OF IT

LOVERBOY(ラヴァーボーイ)との出会い。





1980年代中ごろは映画のサントラ(サウンドトラック)ブームでした。
もともと映画のサントラって主にBGM集って感じで、主題歌があっても、残りは主にインストゥルメンタルというのが主流だったはずです。
しかし、80年代になって多くのアーティスト(シンガーもバンドも)がアルバムに楽曲を提供し、それがヒットし、映画もサントラも売れるという一大ムーヴメントが起きたのです。
その代表の一つが1984年のFOOTLOOSE(フットルース)です。
ケヴィン・ベーコン主演の映画ですが、映画のヒットの大きな理由は、このサントラに加わった多くのアーティストと、その楽曲にあると言えるでしょう。

 

Kenny Loggins(ケニー・ロギンス)、Deniece Williams(デニース・ウイリアムス)、Bonnie Tyler(ボニー・タイラー)などそうそうたるメンバーが参加し、ヒットチャートを賑わせて見せてました。
そのサントラの中にALMOST PARADISE(パラダイス~愛のテーマ)というバラードが入ってました。
すごく美しい、デュエットによる曲です。
歌っているのはMike Reno(マイク・レノ)とAnn Wilson(アン・ウィルソン)という二人。
僕はその二人についてよく知らなかったけど、とにかく素敵なデュエットで、美しいバラードでした。
ビルボード第7位まで上がったようです。

 

そしてその二人には後に僕がそれぞれと再会する機会が訪れるのでした。

 

ここではマイク・レノとの再会について語りたいと思います。

 

翌年の1985年、チャートに一曲のノリのいい曲が上がってきます。
タイトルはLOVIN’ EVERY MINUTE OF IT(ラビング・エブリ・ミニット)、今から紹介するアルバムの先行シングルでもあり、タイトル曲でもあります。
ゆったりとずっしりした曲にハイトーンのヴォーカルとコーラスが冴え渡ってます。
非常にキャッチーな名曲です。

 

そしてここで気付きました。
このバンド、LOVERBOY(ラヴァーボーイ)のヴォーカルが、あの、マイク・レノであるということに。
「パラダイス~愛のテーマ」でアンとともに美しく歌い上げたあの男は、こんな男っぽい曲も歌っているのだ。
またその声がロックチューンにも非常に合っているのです。

 

これは聴かねば

 

というわけで、今日は1985年リリースの、LOVERBOY(ラヴァーボーイ)の4thアルバム、LOVIN’ EVERY MINUTE OF IT(ラビング・エブリ・ミニット)をご紹介したいと思います。

LOVIN’ EVERY MINUTE OF IT(ラビング・エブリ・ミニット)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、LOVIN’ EVERY MINUTE OF IT(ラビング・エブリ・ミニット)。

 

まずは一曲目にがつんと熱い楽曲が来ました。
まさに、僕が初めて彼らと出会った曲です。
ギターリフとコーラスが特徴のこの曲は、DEF LEPPARD(デフ・レパード)などのプロデュースでも知られるRobert John “Mutt” Lange(ロバート・ジョン“マット”ランジ)によるものです。
コーラスが彼らしくガンガンに入っていて、骨太のロックチューンとなっています。
なんかありそうであんまりない、この独特のノリはやはりマイク・レノのヴォーカルの力量も関係しているのでしょう。
とにかく、オープニングにふさわしい名曲となっています。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートで第9位、同誌Mainstream Rockチャートでは第3位を獲得しています。

 

2曲目は、STEAL THE THUNDER(スティール・ザ・サンダー)。

 

これは落ち着いた感じではじまるが、じわじわと来るロックナンバーとなっています。
適度にシンセも入り、80年代ロックテイストあふれる楽曲で、やはりこの曲もコーラスが効いています。
Paul Dean(ポール・ディーン)のギターソロも聴かせどころです。
それに後半のマイクのオクターヴ上がるハイトーンも同じく聴き所となっています。
なかなか無骨ないい曲になっています。

 

3曲目はFRIDAY NIGHT(フライデイ・ナイト)。

 

これは鋭いギターリフで始まる、疾走感のあるハードロックチューンになっています
ヴォーカルと競うように入るギタープレイが曲を彩っています。
ギターソロもツボを押さえたかっこいいものになっていますね。
これは気持ちいいノリだ。

 

4曲目は、THIS COULD BE THE NIGHT(ディス・クッド・ビー・ザ・ナイト)。

 

これは超素晴らしいバラードになっていますね。
これだ。これだ。
あのパラダイスで披露したヴォーカルだ。
美しいバラードを見事に歌い上げています。

 

ちなみにこの曲にはJOURNEY(ジャーニー)のキーボードのJonathan Cain(ジョナサン・ケイン)が参加しています。
確かにそれを感じさせるイントロやメロディになっていますね。
美しいバラードを、マイクの美しいハイトーンで歌い上げれば、それは名曲が出来上がるというものでしょう。

 

2ndシングルで出していれば、TOP3入りは間違いなかったのではないかと思われます。
80年代を代表するパワーポップバラードの一曲です。

 

3rdシングルとしてカットされ、シングルチャートで第10位、Mainstream Rockチャートでは第9位を獲得しています。

 

5曲目はTOO MUCH TOO SOON(トゥ・マッチ・トゥ・スーン)。

 

またロックな曲の登場になります。
イントロのスライドギターが印象的で、勢いのある楽曲になっていますね
またコーラスもいい味を出しています。
ギターソロもハイテクではないものの、楽曲に合ったソリッドなソロを聴かせてくれます。

 

6曲目はLEAD A DOUBLE LIFE(リード・ア・ダブル・ライフ)。

 

次はシンセによるクールなイントロで始まります。
緊張感のあるイントロが、タイトルと合わせて聴くと、非常にクールに聴こえます。
オクターブ低いマイクのヴォーカルでいつもと違う雰囲気を醸し出し、サビでは一気にいつものハイトーンに戻る。
その間で披露されるエレキのリフとシンセがいい感じの楽曲に仕立て上げていますね。
そしてこの曲ではポールのギターソロがいつもより弾きまくっているのが目立ちます。
こうしてちゃんと弾けるのに普段は楽曲優先で抑えていることがわかります。

 

この曲は4thシングルとしてカットされ、シングルチャート第68位を記録しています。

 

7曲目は、DANGEROUS(デンジャラス)。

 

これは同郷(カナダ)のBryan Adams(ブライアン・アダムス)と、彼とタッグを組んでいるJim Vallance(ジム・ヴァランス)による楽曲です。
痛快でキャッチーなロックナンバーになっています
ギターリフのキレが相変わらずかっこいいですし、サビの合唱も楽曲を盛り上げています。

 

この曲は2ndシングルとしてカットされ、シングルチャートで第65位、Mainstream Rockチャートでは第23位を記録しています。

 

8曲目はDESTINATION HEARTBREAK(デスティネイション・ハートブレイク)。

 

これも素晴らしいバラードですね。
美しいシンセによるイントロが際立っています。
やはりこんなバラードを歌わせたら、マイクのヴォーカルはすばらしいですね。
ギターソロも泣きのギターフレーズが満載となっています。
そしてシンセも曲全体を美しく飾っている。
よく出来たバラードだと思います。

 

アルバムラストを飾るのが9曲目BULLET IN THE CHAMBER(ビュレット・イン・ザ・チェンバー)。

 

最後をバラードで締めるのではなく、こうした勢いのある曲で終わるのは好感が持てますね。
なによりも9曲に絞ったところも潔く感じられます。
この曲も硬派なロックになっており、ビシッとアルバムを締めくくっています。

まとめとおすすめポイント

1985年リリースの、LOVERBOY(ラヴァーボーイ)の4thアルバム、LOVIN’ EVERY MINUTE OF IT(ラビング・エブリ・ミニット)はビルボード誌アルバムチャート第13位、アメリカで200万枚を売り上げました。

 

まとまりのあるアルバム感を出しているのは全9曲という曲数と、バラードを2曲に抑えたところに要因があるのかもしれません。
あとの残りは爽快なロックチューンになっています
そのため何度も繰り返し聴ける楽しさがこのアルバムにはあると思います。

 

このアルバムも80年代を代表する一枚と言えるでしょう。
キャッチーな楽曲を、シンセが彩る典型的なエイティーズアルバムと言えます。
まさに80年代のど真ん中で、その当時のアレンジが色濃く出ていますね。

そしていい意味でも悪い意味でも数多く出たハードポップバンドの一つとも言えます。
サバイバーよりもハードで、ちょうどフォリナーあたりのロックテイストかな、いやフォリナーをもう少しシンセで色づけた感じかな、などと思ってしまいます。
でも、いい意味で、それらのバンドが好きなら、きっとこのラヴァーボーイも気に入ることでしょう。

 

そしてやはりバンドを他と異ならせる大きな要素は、ヴォーカリストだと思います。
その点で、このバンドのヴォーカルマイク・レノは十分に個性的だと言えますね。
自慢のハイトーンヴォーカルで、歌う曲をラヴァーボーイの作品に変えてしまう。
それもハードなものからバラードまで見事に歌い上げるのです。

 

是非とも彼のヴォーカルと、バンドのエイティーズ感を楽しんでほしいと思います。

チャート、セールス資料

1985年リリース

アーティスト:LOVERBOY(ラヴァーボーイ)

4thアルバム、LOVIN’ EVERY MINUTE OF IT(ラビング・エブリ・ミニット)

ビルボード誌アルバムチャート第13位 アメリカで200万枚のセールス

1stシングル LOVIN’ EVERY MINUTE OF IT(ラビング・エブリ・ミニット) ビルボード誌シングルチャート第9位、同誌Mainstream Rockチャート第3位

2ndシングル DANGEROUS(デンジャラス) シングルチャート第65位、Mainstream Rockチャートでは第23位

3rdシングル THIS COULD BE THE NIGHT(ディス・クッド・ビー・ザ・ナイト) シングルチャート第10位、Mainstream Rockチャート第9位

4thシングル LEAD A DOUBLE LIFE(リード・ア・ダブル・ライフ) シングルチャート第68位

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