実は超技巧派バンドだった  WINGER(ウィンガー) - WINGER(ウィンガー)

WINGER(ウィンガー)との出会い





1989年、まさに80年代が終わろうとしているときに、一つの生きのいいバンドの楽曲がチャートを上がってきた。
ウィンガーのSEVENTEEN(セヴンティーン)という曲だ。
PVは主にスタジオでの演奏シーンだが、非常にかっこいい。
そしてサウンドも、独特のリズムのあるハードロックサウンドだ。
まだまだ80年代サウンドへの愛着は変わらない。

 

早速アルバムをレンタルして、聴くことにした。

WINGER(ウィンガー)とは

すぐにわかったことだが、ウィンガーはデビューして間もないニューヨークのバンドだった。
そして、最初に聴いた曲、セヴンティーンがデビューアルバムからの2ndシングルだ。
道理で初々しい感じであふれていると思った。

 

ウィンガーとは、元アリスクーパーバンドのKip Winger(キップ・ウィンガー)(ベース・ヴォーカル)とPaul Taylor(ポール・テイラー)(キーボード)により1987年に結成されたハードロックバンドだ。
そこにギタリストのReb Beach(レブ・ビーチ)とドラムスのRod Morgenstein(ロッド・モーゲンスタイン)が加わり、1stアルバムは制作される。

 

バンド名はもともとSAHARAというものだったが、他のバンドが既に使用していたので、WINGERで落ち着いた。

 

バンドの音楽性はいうと、ヘヴィメタル、ハードロックとも言われているが、wikiではグラム・メタルとプログレッシヴ・メタルの要素が結合されている、と述べられている。
確かに外見は、ロングヘアーのルックスに、きらびやかなパフォーマンス、いかにもグラム・メタル(ヘア・メタル)という感じだ。
しかし当時、個人的にはあまりプログレッシヴな要素は感じられなかった。
小難しいことをしてる感じはあまりなく、気軽に楽しめるいかしたハードロックと思えたが、どうなんだろう。

 

そして結成の翌年にアルバムを制作、デビューを飾ります。

 

今日は、1988年リリースの、WINGER(ウィンガー)の1stセルフタイトルアルバム、WINGER(ウィンガー)をご紹介します。

アルバムWINGER(ウィンガー)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、MADALAINE(マッドレイン)。

 

いきなり勢いのあるヘヴィな楽曲だ。
なんか、ゾクゾクするほどかっこいい曲だ。
ドラムの音が、80年代サウンドの中でもちょっと異質なくらい力強くかっこいい。
そしてヴォーカルのキップ・ウィンガーの声が非常にハードロックにはまっていて素晴らしい。

 

そしてレブ・ビーチのギターソロがたまらなくかっこいい。
この曲にはPVがあるのだが、それを見ると、彼のタッピングを交えたテクニカルな速弾きを見ることができる。
エディ・ヴァン・ヘイレンやイングヴェイ登場よりだいぶ後のため、度肝を抜く感じではないが、それでもすごさを感じさせるギタープレイである。
非常に技術的なハイレベルの楽曲なのに、とても聴きやすいメロディアスなものになっている。
このバランスのよさは、デビューアルバムの一曲目とはとても思えないクオリティである。
そして改めて聴くと、リズムの取り方がちょっと違うことに気付いてきた。

 

この曲はアルバムからの1stシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートにはランクインしていないが、 同誌Mainstream rockチャートでは第27位を記録している。

 

2曲目はHUNGRY(ハングリー)。

 

この曲もシャープな印象のハードロックだ。
ギターリフの刻みのリズムがやはり独特だ。
この辺がプログレっぽいと言えるのかもしれない。
レブのギターソロはアーミングを多用して、短いながらも印象的だ。

 

この曲はアルバムからの4thシングルで、シングルチャート第85位、Mainstream rockチャートでは第34位を記録している。

 

そしてアウトロでギターの速弾きが披露された後、最後の音を伸ばしたまま次の曲へ、この流れが最高にかっこいい

 

3曲目はSEVENTEEN(セヴンティーン)。

 

僕がウィンガーに初めて出会った曲だ。
非常に歯切れの良いギターリフの連発だ。
テンポはスロウだが、16分をどう刻めばこんなに歯切れ良く軽快になれるのか、ただただそのテクニックに脱帽である。
そのリフに乗ってキップのヴォーカルが映える。
非常にキャッチーで軽快なハードポップチューンである。

 

また、レブのギターソロが圧巻である。
エディを彷彿させる超高速タッピングを含め、テクニカルギターフレーズ満載だ。
アウトロのギターソロでも、やはり高速タッピングを交え弾きまくっている。
また当時は心地よく聞けるハードロック、という認識しかなかったが、改めて聴くと変拍子も入ってたりして、ドラムもかなりな変則技を見せている。
プログレッシヴ・メタルと言われる理由が今頃わかった気がした

 

しかし、そんな技巧派バンドでありながら、それを感じさせないようにいい楽曲を組み立てているところが、このバンドの優秀なところなのかもしれない。
普通に聴いてもいい曲だが、そのテクに注目すれば一層その良さが深まっていく。
一粒で二度おいしいバンドと言えるだろう。

 

この曲2ndシングルとしてリリースされ、シングルチャート第26位、Mainstream rockチャートでは第19位をマークした。

 

4曲目はWITHOUT THE NIGHT(ウィズアウト・ザ・ナイト )。

 

アルバム中、初のバラードです。
80年代らしい、豪華なアレンジでの素敵なバラードだ。
ギターソロでは、レブは速さを抑えて、流れるような、楽曲に合ったプレイを展開している。
アウトロのソロも一級品である。
もっと長く聴いていたかったと思わせるプレイだ。

 

5曲目は、PURPLE HAZE(紫の煙)。

 

この曲は言わずと知れたJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)のカヴァー曲です。
この曲のギターソロでは片方のチャンネルで、フランク・ザッパの息子のDweezil Zappa(ドゥイージル・ザッパ)が参加しています。
しかし、なぜにここでカバー?という流れである。
カバーは必要だったのか。
カバーなしでも十分にクオリティの高いアルバムが出来ているのに。

 

エアロスミスの名盤パーマネント・ヴァケイションでも、最後にビートルズのカバー、アイム・ダウンが入っている。
僕はその曲は蛇足と思っている。
確かに彼らの思い入れがあるだろうことは否定しないが、アルバムのバランスを考えると、どうしても浮いてしまうのだ。
このアルバムのパープル・へイズも然りである。

 

オールミュージックというデータベースサイトで、スティーヴ・ヒューイという人は、この曲をアルバム中の「唯一の失策」と述べているそうだが、僕も同感である。
こういうのはアルバムとは別の機会に、例えばライヴなどでのみ披露すればよいのでは、というのが僕の考えだ。(個人の感想です。)

 

ちょっと浮いてしまっているこの曲は、申し訳ないが飛ばしたくなってしまう。
ほんとに申し訳ない。

 

6曲目は、STATE OF EMERGENCY(ステイト・オブ・エマージェンシー)。

 

少しダークだが、サビはフックがあり、耳に残る楽曲だ。
イントロからのギターリフが独特で、これも耳に残る。
後半のサビの裏のベースラインが変わって、不思議な感じのする曲である。

 

7曲目は、TIME TO SURRENDER(タイム・トゥ・サレンダー)。

 

これはギターリフがかっこいい。
全体的には暗めの楽曲だが、80年代らしい刻みのギターリフでとても好感が持てる。
そしてサビの歌メロもキャッチーで印象に残る。
ギターソロでもレブがいい仕事をしています。

 

そして8曲目はPOISON ANGEL(ポイズン・エンジェル)。

 

これは疾走感のある楽曲になっています。
直球ストレートなので、もうちょっとひねりが欲しいところだが、爽快感があるので良しとしましょう。

 

9曲目は、HANGIN’ ON(ハンギン・オン)。

 

初期のヴァン・ヘイレンを思わせるようなイントロがなかなかよい。
緻密なバッキングの上にのるメロディアスなヴォーカルが爽快である。

 

アルバムラストは、HEADED FOR A HEARTBREAK(ハートブレイク)。

 

アルバム中2曲目のバラードで、ドラマティックなパワーバラードになっています。
強弱のアクセントをはっきりつけたキップのヴォーカルは最高のメロディを歌い上げている。
しかし、それ以上にこの曲ではレブのギターが一番にフィーチャーされているようだ。
間奏のギターソロだけでなく、アウトロではそれ以上にたっぷりと非常に長い時間ギターソロを楽しむことが出来る。
レブの得意なプレイ満載である。
フロイドローズユニットをフルに生かした、アーミングによる音の揺らしが変幻自在にコントロールされている。
ヴァイオリン奏法もあり、得意のタッピングとフィンガリングを絡めた高速プレイもある。
ギターを思い切り泣かせた魂のプレイだ。

 

このギタープレイだけでも必聴である。

 

この曲は3rdシングルとしてカットされ、シングルチャート第19位、Mainstream rockチャートでは第8位をマークした。

 

CDにはボーナストラックとして、HIGHER AND HIGHER(ハイヤー&ハイヤー)が収録されている。
これが、とてもいい。
それこそ、この曲を本体に入れてパープル・ヘイズをボートラにすれば良かったのに、と思えて仕方ない。

 

軽快なギターリフに、ソロも弾きまくりで、聴き所はたくさんある。
また、楽曲全体もとてもキャッチーで、心地よい。
いい感じでアルバムは幕を下ろします。

まとめとおすすめポイント

1988年リリースの、WINGER(ウィンガー)の1stセルフタイトルアルバム、WINGER(ウィンガー)は、ビルボード誌アルバムチャート第21位を獲得、アメリカで100万枚を売り上げました。

 

やはりプログレッシヴメタルと呼ばれるだけあって、非常にテクニカルなプレイが目立つことにいまさらながら気付かされました。
しかし、そのような技巧的でありながらも、キャッチーでフックのある楽曲を作っているので、難しいこと抜きに楽しめるアルバムでもある。

 

その辺のテクニカルとキャッチーのバランスが良く取れた名盤ではないだろうか。

 

とりわけ、80年代初頭に現れていたとしたら、人々の度肝を抜いたに違いないレブ・ビーチのギタープレイは特筆すべきだろう。
80年代末期であるがゆえに、それほど衝撃的ではないとしても、やはりPVで見せるそのプレイはすさまじいものがある。
ギタープレイには要注目のアルバムだ。

 

また、キップ・ウィンガーの絞り出すようなヴォーカルも、このバンドの大きな魅力の一つだ。
PVでも色気を振りまいているので、機会があればご覧いただきたい。

 

80年代サウンドの終焉の前に、ぎりぎり間に合った、遅れてきた技巧派バンド、ウィンガーの最高傑作をお楽しみいただきたい。

チャート、セールス資料

1988年リリース

アーティスト:WINGER(ウィンガー)

1stアルバム、WINGER(ウィンガー)

ビルボード誌アルバムチャート第21位 アメリカで100万枚のセールス

1stシングル MADALAINE(マッドレイン) ビルボード誌シングルチャート圏外 同誌Mainstream rockチャート第27位

2ndシングル SEVENTEEN(セヴンティーン) シングルチャート第26位、Mainstream rockチャート第19位

3rdシングル HEADED FOR A HEARTBREAK(ハートブレイク) シングルチャート第19位、Mainstream rockチャートでは第8位

4thシングル HUNGRY(ハングリー) シングルチャート第85位、Mainstream rockチャートでは第34位




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