これでこそクワイエット・ライオット QUIET RIOT - CONDITION CRITICAL

前作からの歩み





1983年リリースの前作、METAL HEALTH(メタル・ヘルス~ランディ・ローズに捧ぐ)は、全米No.1を獲得し、アメリカで600万枚を売り上げる大ヒットとなりました。
それまでの2作品は本国アメリカでのリリースすら出来なかったことを考えると、地獄から天国に上ったかのような大ブレイクです。

 

シングルの大ヒット、また、ランディ・ローズの悲劇にまつわる話も加わってついにQUIET RIOT(クワイエット・ライオット)はLAメタルの急先鋒としてシーンを席巻したのです。

 

そして大ヒットアルバム、メタル・ヘルスを引っさげて北米ツアーを敢行。
ZZ TOPBlack Sabbath(ブラック・サバス)のオープニングアクトとしてライヴを行なっています。

 

そして翌年ニューアルバムをリリース。
内容からすると、どうやら二匹目のドジョウを狙ったものと思われます。

 

今日は1984年リリースの、QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)の4thアルバム、CONDITION CRITICAL(コンディション・クリティカル)をご紹介したいと思います。

CONDITION CRITICAL(コンディション・クリティカル)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、SIGN OF THE TIMES(時代の証し)。

 

勢いよく始まるこの曲は前アルバムのメタル・ヘルスを思わせますね
Carlos Cavazo(カルロス・カヴァーゾ)のギターリフがキレがいいです。
ソロも、伸び伸びと弾きまくってます。
Frankie Banali(フランキー・バネリ)は鋭いドラムを勢いよく叩いてます。
Rudy Sarzo(ルディ・サーゾ)は楽曲の低音部をベースでしっかり支えてます。
Kevin Dubrow(ケヴィン・ダブロウ) は相変わらずのヴォーカルです。
独特のヴォイスで、静かなささやきから、サビの合唱までしっかり歌い上げてます。
サビのコーラスもさわやかに響き渡ります。
この4人で織り成される、これぞ、クワイエット・ライオット、という鉄板の楽曲でアルバムスタートです。

 

2曲目はMAMA WEER ALL CRAZEE NOW(クレイジー・ママ)。

 

これは前曲のカモン・フィール・ザ・ノイズに続くSLADE(スレイド)のカヴァー曲です。
まさに、デジャヴのようですね
今回もスレイドの楽曲を彼ららしく料理してます。
原曲より、少しスピードアップ、また勢いよくプレイしてます。
また、スレイドの曲は、ダブロウの声がぴったり良く合ってます。
相変わらず、ノリノリでコーラスもたっぷりで楽しい楽曲になってます。

 

ほんとにいい曲になっているんですが、二番煎じ、と言われれば、もう何も言い返せません

 

この曲は、アルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャート第51位、同誌Mainstream Rockチャートでは第13位のヒットとなってます。

 

3曲目はPARTY ALL NIGHT(パーティー・オール・ナイト)。

 

もはや何の説明もいらないでしょう。
これこそ、クワイエット・ライオットの音楽そのものではないでしょうか。
陽気で盛り上がるパーティーロックをやらせたら、彼らの右に出るバンドは多くはないでしょう。
まさに超明るいアメリカンロックンロールになっております。

 

この曲を聴くと、ヘヴィメタルか、ハードロックか、というジャンル分けなど全く無意味に思えますね。
やはり、音楽は聴いて楽しければそれがどんなジャンルだってかまわないのです。
能天気に行きたいときは、この曲聴いてレッツパーティー!

 

とはいっても、楽曲としてはしっかり出来たハードロックソングではあります。

 

バンドがかっちりしているからこそ、あのダブロウのキャラクターが生きてくる、というものだと思いますね。

 

4曲目はSTOMP YOUR HANDS, CLAP YOUR FEET(撩乱のクワイエット・ライオット)。

 

前曲に続いて、ノリノリの楽曲です。
手を踏み鳴らし、足でクラップしろ、と、もはや何のことやら、楽しければなんでもよいということでしょう。
これもやはりダブロウだからこそ歌える楽曲ではないでしょうか。
彼はそういう点ではほんとにいいキャラクターしてますね。
キャラが立っている、という感じです。
歌が上手いとかそれ以前に、彼はバンドの立派なフロントマンなのです。
そしてコーラスもいいですね。
みんなで歌えば怖くない、的な、盛り上がり必至な楽曲です。

 

これまた能天気に楽しめる、陽気なアメリカンロックになってます。

 

5曲目は、WINNERS TAKE ALL(勝利の味)。

 

前作のサンダーバードに匹敵するようなパワーバラードだ。
この雰囲気も非常にいいですね。
能天気ソングばかりじゃないことをはっきりと見せてくれてます。
やはりこの曲のハイライトはサビの合唱でしょう。
これもライヴでは盛り上がること間違いなしでしょう。

 

ただ、勝者が全てを取る、という内容で、ダブロウは大ブレイクした自分たちのことを歌ったとも言われてます。
確かに、成功後にダブロウは傲慢キャラへと突入していきますが、まあ、深読みしなければほんとに素晴らしいバラードです。

 

6曲目はCONDITION CRITICAL(コンディション・クリティカル)。

 

アルバムのタイトルソングです。
非常にゆっくりしたテンポでダブロウが歌い上げています。
ちょっと大仰な感じではありますが、ギターリフもかっこよく、ダブロウの自在のヴォーカルも楽しめます。
ただ、ちょっとフックが足りない感があるかな、って感じです。

 

途中のダブロウのギリギリシャウトからのギターソロの流れは嫌いではありません。
アルバムの中ではちょっと異質な感じですが、アルバムタイトルになるくらいだから、思い入れがたいそうあるのだろうとは思われます。

 

7曲目は、SCREAM AND SHOUT(スクリーム&シャウト)。

 

いや、やっぱりこっちがいいですね。
疾走系のハードロックになっています。
ギターリフもいけてますし、ダブロウもこっちが合ってますね。
サビもいつものごとく大合唱で盛り上がります。
カルロスもシンプルでいいソロを披露してます。
何も考えずに体で楽しめる楽曲です。

 

8曲目はRED ALERT(レッド・アラート)。

 

イントロからギターリフが鋭くてかっこいいです。
いつもの展開ではありますが、ちょっとキャッチーさは弱い感じです。
まあ、いつもどおり合唱で盛り上がるので悪くはないんですけどね。
その分ギタープレイは目立って、なかなかいいです。
ソロもたっぷりありますし、アウトロでも弾きまくってます。
カルロス、ちゃんと弾けるアピールがなされてます。

 

9曲目はBAD BOY(バッド・ボーイ)。

 

まあ、これも普通ですね。
なかなか印象に残る曲を作るって難しいですね。
ところどころ入るカルロスのギタープレイが救いとなってます。
また、ソロでも弾きまくってまして、一人気を吐いてるかんじですね。
これもフックがないというか、悪くはないんですけど、普通なのです。

 

アルバムラストの10曲目は(WE WERE) BORN TO ROCK(ボーン・トゥ・ロック)。

 

やはり、これでないと。
2曲続いた普通の曲から復活
ラストは、クワイエット・ライオットらしいノリのいい曲です。
このスピードが非常に気持ちよい。
疾走感あふれる爽快な楽曲になっています。
カルロスのギターソロも心地よい。
サビの合唱も、いいですね。
フランキー・バネリのソロプレイからの、ダブロウのシャウトでアルバムは爽快に締めくくられます。

まとめとおすすめポイント

1984年リリースの、QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)の4thアルバム、CONDITION CRITICAL(コンディション・クリティカル)はビルボード誌アルバムチャートでは第15位、アメリカの売り上げは100万枚にとどまってしまいました。

 

前作ほどの大ヒットとはなりませんでしたが、まあ、そこそこのヒットにはなっています。
内容は、ほぼ前作メタル・ヘルスと同様の音楽性となっています。

 

特に新しい試みは見られず、スレイドのカバーをシングルに持ってくるところまで一緒で、二匹目のドジョウ狙いが明らかな感じです。
しかし、やはりそこまで業界は甘くなく、前作のセールスより大きく落ち込むことになってしまいました。

 

とはいえ、メタル・ヘルスが好きな人にとっては、同傾向のアルバムを歓迎できたのではないでしょうか。
クレイジー・ママやパーティ・オール・ナイトのPVは相変わらず楽しめるものでしたし、底抜けに明るい、厚みのあるコーラスサウンドも健在です。
サンダーバードに匹敵するバラードも入ってます。
なんといってもバンドとしては一流が集まってますので、バンドサウンドのクオリティという点では、問題なく楽しめるレベルです。
ただ、前作とほぼ同じ傾向だった、というだけです。

 

もはや、タイトルは「メタルヘルスPt2」としてもよかったのではないかと思われます。(ドリーム・シアターみたいになってますが・・・)

 

というわけで、底抜けに明るいハードロックをお望みの方には問題なく楽しめるアルバムになってます。
もしくはメタルヘルスをもう一回聴きたい人にもいいかもしれません。

 

ダブロウはこの頃から、「口は災いの元」を地で行く人生を歩み始めています。
バンドの結束が強かった最後のアルバムかもしれません。
評価がいまいちの割にはいいアルバムになってますので、ご一聴をおすすめします。

チャート、セールス資料

1984年リリース

アーティスト:QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)

4thアルバム、CONDITION CRITICAL(コンディション・クリティカル)

ビルボード誌アルバムチャート第15位 アメリカで100万枚のセールス

1stシングル MAMA WEER ALL CRAZEE NOW(クレイジー・ママ) ビルボード誌シングルチャート第51位、同誌Mainstream Rockチャートでは第13位