シンプルでソリッドなロックアルバム INXS(インエクセス) - KICK

INXS(インエクセス)との出会い





高校一年のとき、文化祭でイントロ当てクイズに出た。
そのうちの一曲がINXS(インエクセス)の1983年のヒット曲、ORIGINAL SIN(オリジナル・シン)だ。

 

イントロがかかった瞬間、よし!と思ったが、なんとタイトルが出てこない。
結局、誰も正解を言えなかった。

 

僕が答えられなかったのは、もう仕方ないとして、他の誰も答えれなかったのが非常に残念だった。
同級生らはみんな、80年代洋楽に関心がない連中だったとは・・・。
せめて、僕が一矢報いて、ばっちり正解できたら良かったのだが、ど忘れという屈辱を味わったのだ。

 

まあ、以上はどうでもいい話ではあるが、オリジナル・シンは僕がインエクセスの中ではじめて聴いた曲であり、オーストラリアのバンドだったが、アメリカのビルボード誌シングルチャート第58位を記録していた。
そして当時話題になっていたのが、Michael Hutchence(マイケル・ハッチェンス)がヴォーカルだが、コーラスでホール&オーツのダリル・ホールが参加していたことだ。
オートバイの出てくるPVがかっこいいし、楽曲もロックだけどキャッチーで気に入ってました。

 

そして、1985年、インエクセスはシングル、WHAT YOU NEED(ホワット・ユー・ニード)をリリース。
これがビルボード誌シングルチャートで第5位、同誌Mainstream Rockチャートでは第3位という大ヒットを記録する。
確かにこの曲はノリがよく、シンプルで非常にかっこいい楽曲だ。
マイケル・ハッチェンスのヴォーカルも魅力的である。

 

この曲のヒットもあり、この曲収録のアルバムLISTEN LIKE THIEVES(リッスン・ライク・シーヴス)はビルボード誌全米アルバムチャートで第11位200万枚の売り上げを記録した。

 

だが、残念ながらここまでは彼らのアルバムを聴く機会がなかった。
が、次の機会を逃すことはなかった。

 

1987年、次のアルバムの先行シングルがチャートに登場した。
NEED YOU TONIGHT(ニード・ユー・トゥナイト)だ。
この曲はあれよあれよという間にシングルチャートを駆け上がり、彼らのキャリア初の全米No.1シングルとなるのである。
そして続いてリリースされた彼らの6枚目のアルバムはKICK
これは聴かずにはいられなくなって、初めてインエクセスのアルバムを拝聴することになったのだ。

 

では今日は1987年リリースの、INXS(インエクセス)の6thアルバム、KICKをご紹介したいと思います。

アルバム KICKの楽曲紹介

アルバムのオープニングを飾るのはGUNS IN THE SKY(ガンズ・イン・ザ・スカイ)。

 

派手なイントロに、歪ませすぎないギターリフ。
そこに乗るマイケル・ハッチェンスのワイルドなヴォーカル
全く80年代の流行のロックサウンドではない。
シンプルで、ヴォーカルの魅力が引き立たせられる作りだ。
ギターリフはほぼ最初から最後までずっと同じ、まさにリフレイン(繰り返し)。
だがギターソロは、強烈な歪みの効いたサウンドだ。
こんな楽曲は他に見当たらない。
不思議な魅力とノリと勢いのあるオープニングだ。

 

2曲目はNEW SENSATION(ニュー・センセイション)。

 

この曲のイントロが非常に心地よい
クリーンなカッティングが特徴的で、ドラムのビートも気持ちよく乗れる、ダンスロックソングだ。
この曲も、カッティングがずっと繰り返される。
彼らの特徴的なサウンドだ。
また、マイケルのヴォーカルもとてもロックっぽくてグッドだ。

 

この曲はアルバムからの3rdシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第3位を記録、同誌Dance Club Songsチャートで第11位だ。
ダンスミュージックとロックの融合は、結構新鮮だ。

 

3曲目はDEVIL INSIDE(デヴィル・インサイド)。

 

この曲もギターリフが重要な役割を果たしている。
エッジのあるソリッドなギターリフが全編で曲を彩っている。
そしてささやくようなマイケルのヴォーカル。
ちょうどいい具合にテンポがいい。

 

この曲はアルバムからの2ndシングルで、シングルチャート第2位、Mainstream Rockチャートでも第2位という大ヒットを記録している。

 

4曲目は、NEED YOU TONIGHT(ニード・ユー・トゥナイト)。

 

これもギターのクリーンカッティングが非常に特徴的だ。
wikiによると、この曲のその印象的なギターリフは、キーボードのアンドリュー・ファリスが香港へ飛ぶため、空港へ行くタクシーを待っている間に突然ひらめいたそうだ。
そこで、モーテルにあるものを取りにいくということで、ちょっとタクシーの運転手を待たせた。
実際はそのリフを録音するために戻ったのであって、結果的に一時間ほど経ってからいらいらしたタクシードライバーの元に戻ってきたそうだ。
アーティストにアイデアが降りてくるときってこんなものかもしれない。

 

で、ダンスにも合うファンキーなロックソングが出来上がった。
たんたんと進むが、シンプルな楽器たちが楽曲を程よく彩っている。
また、マイケルのささやきヴォイスから力強い声まで、いい塩梅で歌い上げている。

 

この曲は先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートNo.1を記録、Dance Club Songsチャートでは第7位まで上昇している。
ダンスロックのお手本のようないい楽曲だ。

 

5曲目はMEDIATE(ミーディエイト)。

 

たんたんと言葉を発するマイケルのヴォーカルが、気付けば一つの曲になっているかのような、不思議な曲だ。
シンプルなドラムに言葉遊びのような歌詞を載せて、最後はサックスでしめくくる。
非常に実験的な歌である。

 

A面最後はTHE LOVED ONE(ザ・ラヴド・ワン)。

 

この曲は1966年にリリースされた、オーストラリアのロックバンド、THE LOVED ONESの楽曲のカバーだ。
かなり古いオールディーズソングだが、インエクセスによって現代風に復活
マイケルらしく歌い上げている。

 

B面1曲目はWILD LIFE(ワイルド・ライフ)。

 

これも、楽器をシンプルに使った、彼ららしいダンスチューンだ。
やはりギターのリフがカッティングを多用しているので、ロック曲なのにファンキーな雰囲気もかもし出している。

 

2曲目はNEVER TEAR US APART(ネヴァー・ティア・アス・アパート)。

 

アルバム初のバラードだ。
シンセ先導でマイケルが切なく歌い上げている。
サックスソロが楽曲を盛り立てている。
ワルツのような3連のリズムにのった楽曲だ。

 

この曲は、4thシングルとしてカットされ、シングルチャート第7位、Mainstream Rockチャートでは第5位を記録している。

 

3曲目はMYSTIFY(ミスティファイ)。

 

ポップなノリのいい楽曲だ。
エレキのギターリフが相変わらず効果的に使われている。

 

この曲は5thシングルとしてカットされ、Mainstream Rockチャートで第17位を記録している。

 

4曲目はタイトルソング、KICK(キック)。

 

爽快なロックナンバーだ。
ベースが結構動き回っているのが特徴的だ。
ホーンとシンセが曲を盛り上げている。
そしてやはりマイケルがワイルドなヴォーカルでロックソングに仕上げている。

 

5曲目はCALLING ALL NATIONS(コーリング・オール・ネイションズ)。

 

ギターのクリーンカッティングが気持ちいいロックソングだ。
マイケルはマイケルらしくダンサブルに歌い、ギターカッティングがファンキーに決めている。
インエクセスらしい楽曲である。

 

アルバムラストは、一番80年代っぽい曲、TINY DAGGERS(タイニー・ダガーズ)。

 

シンセが爽やかに曲を彩っている。
でも、芯はロックバンドである。
マイケルのヴォーカルと共に、勢いのあるバンドサウンドでアルバムは幕を下ろします。

まとめとおすすめポイント

1987年リリースの、INXS(インエクセス)の6thアルバム、KICKは、ビルボード誌アルバムチャートで第3位、アメリカで600万枚を売り上げます。
本国オーストラリアはもちろん、世界各地でも大ヒットとなり、累計で1000万枚を売り上げました。

 

ダンサブルなロックにソリッドなギターサウンドが融合して、独自の音楽が生み出されました。
それにマイケル・ハッチェンスのルックスとカリスマ的なキャラクター、ワイルドなヴォーカルスタイルとが絡まりあって、これほどの人気になったと思われます。

 

一部楽曲では打ち込みが使用されたとはいえ、基本は熱いロックである。
そこにファンクやダンスのエッセンスが加わり、インエクセスサウンドが完成した。
このアルバムは、洗練されており、彼らの最高傑作と言われるに値するアルバムだ。

 

シンプルな、楽器本来の音を楽しめるロックサウンド、おすすめです。

1987年リリース

アーティスト:INXS(インエクセス)

6thアルバム、KICK

ビルボード誌アルバムチャート第3位 アメリカで600万枚、世界で1000万枚のセールス

1stシングル NEED YOU TONIGHT(ニード・ユー・トゥナイト) ビルボード誌シングルチャートNo.1記録、Dance Club Songsチャート第7位

2ndシングル DEVIL INSIDE(デヴィル・インサイド) シングルチャート第2位、Mainstream Rockチャートでも第2位

3rdシングル NEW SENSATION(ニュー・センセイション) シングルチャートで第3位を記録、同誌Dance Club Songsチャートで第11位

4thシングル NEVER TEAR US APART(ネヴァー・ティア・アス・アパート) シングルチャート第7位、Mainstream Rockチャートでは第5位

5thシングル MYSTIFY(ミスティファイ) Mainstream Rockチャートで第17位


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