FOREIGNER(フォリナー)の栄光へのデビューアルバム FOREIGNER - FOREIGNER(栄光の旅立ち)

産業ロックと呼ばれても、良いものは良い





僕のフォリナーとの出会いは、他の記事でも書いたように、1981年のシングル、WAITING FOR A GIRL LIKE YOU(ガール・ライク・ユー)という大ヒットバラードです。
そこからフォリナーにはまり、アルバムを聴いていったのが始まりです。

 

僕にとってフォリナーの魅力と言えば、やはりLou Gramm(ルー・グラム)のあの独特のヴォーカルスタイルに、Mick Jones(ミック・ジョーンズ)のプレイするエッジの効いたしびれるほどかっこよいギターリフ、ということになるでしょう。
あと、加えると、やはり楽曲の良さ、アレンジの良さなどとても聞きやすいハードめのロックスタイルがたまりませんね。

 

しかし、当時も既に、そうした彼らのスタイルと、セールスのために、産業ロック、と呼ばれるバンドの筆頭に挙げられることもしばしばでした。
ロックの持つ本来の魂の部分がまるでなく、ただ売れ線の曲を作って設けようとする、当時のレコード会社の戦略にそって活動していた、とみなされるバンドがそう呼ばれてました。
でも、いいものが売れる、というのは、当然の帰結であり、売れたから批判されるというのは的外れな気がします。
もちろん、当時のレコード会社の不況対策という面があったのも否定できませんが、だからと言って誰でもが売れるものを作れるかというとそうではないはずです。

 

やはり、彼らにはそうしたいい作品を作り出す能力があったので売れた、というのは間違いないのではないでしょうか。
そして、僕を初めとする一般大衆はその音楽を良い、と思ったからこそアルバムは売れ、人気を博したのです。
というわけで、産業ロック、という言い方は一部の批評家が好んで用いていたわけですが、僕はそんなカテゴライズは気にせず、フォリナーもJOURNEY(ジャーニー)も大好きなバンドとして聞き続けました。

 

さて、そんな感じでフォリナー好きになった僕でしたが、好きになったバンドは過去の作品も気になるもので、まずは彼らのデビューアルバムに目を向けることにしました。
ではここで結成までのいきさつを簡単に振り返っておきたいと思います。

英米混合バンド結成

バンドの中心人物であるミック・ジョーンズは英国人ミュージシャンで、若い頃からギターに触れ、Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)のライヴを見て音楽の道で生きていくことを決意します。
そして、様々なバンドを渡り、またソングライター、セッションミュージシャンとしてもキャリアを重ねていきます。
自身はSpooky Tooth(スプーキー・トゥース)にも加入し、3枚のアルバムで楽曲提供やプロデュースなどで力を発揮しています。

 

スプーキー・トゥースが解散した後、1976年、ミックはアメリカに渡り、そこで自分のバンドを立ち上げるために動き始めます。
ここで集められたのが次の6人になります。

 

Mick Jones(ミック・ジョーンズ) ギター、キーボード、バックヴォーカル (元Spooky Tooth(スプーキー・トゥース))

Ian McDonald(イアン・マクドナルド) ギター、キーボード、ホルン、バックヴォーカル (元King Crimson(キング・クリムゾン))

Al Greenwood(アル・グリーンウッド) キーボード、シンセサイザー (元Storm(ストーム))

Dennis Elliott(デニス・エリオット) ドラムス、バックヴォーカル (元If(イフ))

Lou Gramm(ルー・グラム) リードヴォーカル、パーカッション (元 Black Sheep(ブラック・シープ))

Ed Gagliardi(エド・ガリアルディ) ベース、バックヴォーカル

 

なかなか過去の実績のあるメンバーが終結したため、スーパーグループとも呼ばれました。
この中でもヴォーカリストの選定には時間がかかったようです。
40~50人をオーディションしても、この人、と言えるヴォーカルは見つかりません。
しかし、ミックは数年前に、スプーキー・トゥースのコンサートの際にバックステージでもらった一枚のレコードを思い出します。

 

そのレコードのアーティストはBlack Sheep(ブラック・シープ)、そして、そのレコードをミックにあげたのが、誰あろう、そのバンドのリードヴォーカルのルー・グラムでした。
新バンドのオーディションの時点で、ルーはトラック事故のためブラック・シープをあえなく解散し、故郷のニューヨークに帰っていたのでした。
それを知ったミックは、連絡を取り、オーディションへ招待。
こうしてついに、バンドの顔である、ヴォーカリストが決まったのでした。

 

当初は仮のバンド名としてTrigger(トリガー)を名乗りつつ、デモテープ作成に励みます。
そして、Atlantic Recordsとの契約の際にバンド名をFOREIGNER(フォリナー)に改めます。
その由来は、ミックとイアンとデニスの3人はイギリス人、ルーとアルとエドの3人はアメリカ人、ということで、どこで活動していてもお互いがFOREIGNER(外国人)というとこにあるそうです。

 

そして半年のリハーサルを経て、レコーディングを開始します。
プロデューサーはJohn Sinclair, Gary Lyons,そしてバンドのミックとイアンの4人体制で行なわれます。
ミキシングには時間がかかりましたが、ついにデビューアルバムが完成します。

 

今日は、1977年リリースの、FOREIGNER(フォリナー)のデビューアルバム、FOREIGNER(邦題:栄光の旅立ち)をご紹介したいと思います。

FOREIGNER(邦題:栄光の旅立ち)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、FEELS LIKE THE FIRST TIME(衝撃のファースト・タイム)。

 

この曲はミックによる作品です。
シンプルで、今聞くと確かに70年代だな、と感じさせられる古めのギターリフによるイントロですが、十分なかっこ良さがあります。
そしてギターリフにからむシンセキーボードの装飾音が、80年代に先駆けてキラキラしています。
そして、ルーのヴォーカルが堂々とこのミディアムテンポの曲を引っ張っていきます。

 

静かなAメロのバックで遠くに聞こえるキーボードや、中盤の展開などにプログレの要素がわずかに感じられるのは、元キング・クリムゾンのイアンによるものに違いありません。
その中盤を越えてから繰り返されるサビのコーラスが非常にかっこよいですね。
ほぼ全員がバックコーラス出来るのも、このバンドの強みになっています。
もちろん、その中でもルーのヴォーカルが飛びぬけているのは言うまでもありません。

 

ギターソロもそんなに派手ではなく、展開も突き抜けたものではありませんが、衝撃のファースト・タイムとタイトルがつけられるほど、なかなか話題を呼んだようです。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートでデビューしていきなり第4位、という幸先のよいスタートを切りました。

 

2曲目は、COLD AS ICE(つめたいお前)。

 

この曲はルーとミックの共作になっています。
イントロのピアノがゾクゾクするほどかっこいいです。
4分のリズムで二つのコードを2回ずつ弾くという非常にシンプルなものですが、ここだけで、楽曲の緊張感、張り詰めた感じが見事に表されてると思いますね。
お前、の冷たさが最高度に表現された良イントロだと思います。

 

そして、それを歌い上げるルーのヴォーカルも見事です。
途中にちょくちょく入るコーラスが、楽曲に厚みを加えて盛り上がっていく感じがとてもいいです。
ミックのギターソロはシンプルですが、楽曲にぴったりでさすがのメロディメイカーだな、と感じさせられます。
中間部からのコーラスの掛け合いと、シンセが加わり、ドラムが連打する、この後半の盛り上がりが異常にかっこいいです。

 

この曲はアルバムからの2ndシングルとしてカットされ、シングルチャート第6位、とこれまたトップ10入りを果たすことになりました。

 

3曲目は、STARRIDER(スターライダー)。

 

この曲はミックとアルの共作になっています。
そしてこの曲ではミックがリードヴォーカルを取っています。

 

70年代プログレを彷彿させるような素敵なバラードになっています。
アコギのストロークに乗せて、イアンの吹くフルートが物悲しいメロディを吹き上げるイントロです。
ミックのヴォーカルもまあ標準点はクリアしてるのでは、と思います、がやはりここは我慢してルーに任せるべきではなかったかというのが僕の意見です。
でも、楽曲はとてもいい感じの曲ですし、後半ではルーが歌い出すのでワンポイントとしてミックが歌ったのは悪くもないかな、とも思えます。

 

ルーにヴォーカルが戻った分、ギターソロでミックが頑張ってます。
哀愁漂うメロディを奏でてますね。
そして最後はドラマティックにタイトルを叫んで楽曲は終わります。
なかなか静と動が入り混じった、プログレっぽい名曲になってます。
僕が聴き始めた5thなどの時点では考えられない風味の楽曲になっています。

 

4曲目は、HEADKNOCKER(ヘッド・ノッカー)。

 

この曲はルーとミックの共作になってます。
フォリナー流の軽快でシンプルなロックソングです。
イントロの浮遊感のあるギターリフがまたかっこいいです。

 

そしてロックンロール系のリフの上で歌い上げるルーのヴォーカルが存在感抜群で、非常にいい曲に仕上がっています。
ソリッドで軽快な心地の良いロックです。

 

5曲目は、THE DAMAGE IS DONE(ダメージ・イズ・ダン)。

 

この曲もルーとミックの共作です。
シンセの不思議なリズムで始まる楽曲です。
ルーの独壇場とも言えるAメロを経て、ドラムが入ってきてもなかなかつかみどころがないです。
ところが、アコギのストロークや他のシンセメロディが入ってきてから一気に曲が明るさを持ち、かっこいいギターソロにつながり後半へ。
後半の中盤で再び明るさを取り戻し、最後は哀愁漂う雰囲気へ。
ラストはやはり哀愁たっぷりのギターソロでラストへ。

 

プログレ要素が含まれ、曲展開の妙がつまった、これまた後のフォリナーでは絶対に聴けない不思議な曲になっています。

 

6曲目は、LONG, LONG WAY FROM HOME(ロング、ロング・ウェイ・フロム・ホーム)。

 

この曲は、ルーとミック、イアンによる共作です。
B面一曲目に当たるこの曲では、再び何か始まる期待感たっぷりのイントロで始まります。
3分に満たない短い楽曲ですが、フォリナーの魅力がぎっしりと詰まっていると思います。
やはり僕はこんな感じのソリッドなハード系のロックが好きなんだと改めて感じさせられます。
イアンのサックスソロまで飛び出す意外性も悪くありません。
とにかく短い曲を一気に駆け抜ける、爽快なロックンロールとなっています。

 

この曲は3rdシングルとしてカットされ、シングルチャートで第20位を記録しています。

 

7曲目は、WOMAN OH WOMAN(ウーマン・オー・ウーマン)。

 

この曲はミック単独による作品です。
優しい曲をまずはミックが柔らかく歌い上げます。
そして途中からはルーがそれを引き継ぎます。
二人のヴォーカルスタイルの違いが引き立って、なかなか楽曲全体が締まって聴こえます。
ミックの優しいヴォーカル、ルーのソウルフルなヴォーカル、どちらも魅力たっぷりのバラード曲になっています。

 

8曲目は、AT WAR WITH THE WORLD(人生は闘い)。

 

この曲もミックの作品です。
ソリッドなフォリナーらしいハードロック曲ですね。
やはりこの手の曲ではルーのヴォーカルが非常に映えます。
また、この曲でもミックのギターリフが非常にかっこよいですし、途中のキーボードソロはプログレ感を感じさせてくれます。
ラストのコーラスとルーの掛け合いも見せ場になってますし、それにからむミックのギターソロが非常にかっこいいです。

 

9曲目は、FOOL FOR YOU ANYWAY(お前に夢中)。

 

この曲もミックの作品です。
ここでミディアムテンポのゆったりした楽曲が入ります。
ルーのとげのない優しい歌い方も決して悪くないです。
演奏は、海辺が似合うような爽やかな音色であふれてます。
そういう意味ではアルバムの中では異色な存在と言えるかも知れません。

 

アルバムラスト10曲目は、I NEED YOU(アイ・ニード・ユー )。

 

ラストはルーとミックの共作曲です。
プログレ風味の入ったハードロックで、聴き所満載になっています。
ミックのギターソロもたっぷりと気合の入ったプレイを聴かせてくれます。
しかし、やはり、楽曲全体にあふれる緊張感ある、壮大なスケール感がいいですね。
シンプルでソリッドなロックもいいですが、こんな壮大な感じも悪くありません。
初期のフォリナーの代表曲とも言える力の入った楽曲でアルバムは終わります。

まとめとおすすめポイント

1977年リリースの、FOREIGNER(フォリナー)のデビューアルバム、FOREIGNER(邦題:栄光の旅立ち)はビルボード誌アルバムチャートで第4位、アメリカで500万枚を売り上げる大ヒットとなりました。

 

当初から、英米人混合グループのミュージシャンのユニット結成として話題になってたようですが、その中で過去のキャリアが1番輝いてたのは、元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドに違いありません。
他の5人は、活動はしていたものの、すでにブレイクしていたとは言いがたいミュージシャンたちでした。
しかし、イアンの色でバンドが染まるかと思いきや、バンドの中心人物として強いヴィジョンを持っていたのはミック・ジョーンズです。

 

アルバム中、全10曲でミックは楽曲を作成、もしくは他のメンバーと共作しています。
このデビューアルバムには数多くの良曲が収められていますが、かなりミックのコンポーザーとしての才能がそうさせたことは否めません。
加えて、イアンと共にプロデュースにも携わってますから、やはりフォリナーはミックが核となるバンドであると言って過言ではないでしょう。

 

しかし、彼の作曲、プロデュースセンスに、イアンの元プログレバンドでの経験が加味されて、いい感じにアレンジされていったのも間違いありません。
後には聞けなくなるような、ハードプログレ風のタッチは、やはりイアンの影響と言えると思います。
加えて、この大成功に欠かすことが出来ないのは、どう考えてもルー・グラムのヴォーカルというのも誰もが認めることでしょう。
どんないい曲を作ったとしても、やはりそこに魂を吹き込むのはヴォーカリストの役割です。
ソリッドでかっこいいバンドサウンドにぴったりのルーのヴォーカルがこのアルバムの評価を高めた、最後のピースであると言えるに違いありません。

 

ミックの優れたコンポーザーとしての能力に、ルーの魂のこもったヴォーカル能力が見事に融合したこのデビューアルバムは、傑作として世に受け入れられました。
売れすぎたため産業ロックの異名まで得ることになったのは、もはやご愛嬌ともいえるでしょう。
わずかにプログレ風味の感じられる、正統派ロックバンドの始まりにふさわしいデビューアルバムはやはり聴いておくに値する名盤と言えるでしょう。

チャート、セールス資料

1977年リリース

アーティスト:FOREIGNER(フォリナー)

1stアルバム、FOREIGNER(邦題:栄光の旅立ち)

ビルボード誌アルバムチャート第4位 アメリカで500万枚のセールス

1stシングル FEELS LIKE THE FIRST TIME(衝撃のファースト・タイム) ビルボード誌シングルチャート第4位

2ndシングル COLD AS ICE(つめたいお前) シングルチャートで第6位

3rdシングル LONG, LONG WAY FROM HOME(ロング、ロング・ウェイ・フロム・ホーム) シングルチャートで第20位