なんだかんだ言ってもやっぱり好きだった DURAN DURAN - SEVEN AND THE RAGGED TIGER
DURAN DURAN(デュラン・デュラン)との出会い
僕が彼らを知ったのは、1983年の後期のことになります。
洋楽を聴き始めた1983年には様々なアーティストと出会うことになりましたが、よくラジオ番組で取り上げられていたのが、カルチャー・クラブVSデュラン・デュランという図式でしたね。
英国から出た二つの人気バンド、それもどっちもニューロマンティックと呼ばれ、ビジュアル重視のポップバンドって感じでよく話題になってました。
僕が先に好きになったのはカルチャー・クラブの方でした。
やっぱりKarma Chameleon(カーマは気まぐれ)のあのキャッチーな聞きやすいポップスはとてもとっつき易くて、一気に好きになりましたね。
しかし、ヴォーカルのBoy George(ボーイ・ジョージ)が女装してのパフォーマンス、なので、ちょっとカルチャー・クラブ好きだって公言するのははばかられたものです。
で、一方のデュラン・デュランですが、その頃ちょうどUNION OF THE SNAKE(ユニオン・オブ・ザ・スネイク)が流行ってましたが、どうしてもヴォーカルのSimon Le Bon(サイモン・ル・ボン)のあの声が馴染めなくって、好きになれなかったんですね。
でも、流行ってるし、ユニオン・オブ・ザ・スネイクのイントロのシンセは、強烈にかっこいいと思っていたもんですから、とりあえずエアチェック(FMラジオからカセットへ録音)しておきました。
するとどうでしょう、なんか、サイモンのあの鼻にかかった独特のネットリ声が、次第にクセになってきたではないですか。
そうなると、これは名曲だ、ってことに気づき始めます。
そうして、他の曲も聴き始めると、なかなかな名曲が多いことがわかりました。
しかし、PVを見てもわかるように、イケメン揃いのバンドであるがゆえ、カルチャー・クラブと同様、デュラン・デュラン好きだって公言するのはやはりはばかられたのでした。
その後に続くシングルも名曲ぞろいで、彼らの3枚目のアルバムにも期待が高まるのでした。
というわけで、今日は1983年リリースの、DURAN DURAN(デュラン・デュラン)の3rdアルバム、SEVEN AND THE RAGGED TIGER(セヴン&ザ・ラグド・タイガー)をご紹介します。
SEVEN AND THE RAGGED TIGER(セヴン&ザ・ラグド・タイガー)の楽曲紹介
オープニングを飾るのは、THE REFLEX( ザ・リフレックス)。
PVで何十回も見たが、なんともダンサブルでかっこいい曲です。
アルバム収録のこの曲は、イントロが異なってます。
というか、アルバムからのシングルカットだったので、シングルのほうがアレンジが違うわけになります。
当時は12インチシングルが流行ってて、いろんなヴァージョンのザ・リフレックスが聞けたのも懐かしいですね。
でも、シングルヴァージョンが1番よく出来てたと僕は思ってます。
シングルと12インチのリミックスはNile Rodgers(ナイル・ロジャース)の手によるもので、さすがに職人技を見せてくれてます。
が、アルバムヴァージョンもなかなかかっこいいです。
リミックスが抑えられてて、逆にベースラインが非常に目だっておしゃれです。
完全なシンセポップバンドのようでありながら、よくよく聴くとちゃんとバンドサウンドってのが彼らの特徴ではないでしょうか。
Andy Taylor(アンディ・テイラー)の軽快なカッティングを含むギターのリフはなかなかお洒落にきまっています。
John Taylor(ジョン・テイラー)のベースもかなりポジティヴに動き回ってます。
もともとジョンはギタリストとしてバンドにいましたが、他のベーシストがやめた後にベースに転向したようです。
元ギタリストのベーシストによくあるように、しっかりと主張のあるメロディのあるベースラインを奏でておられます。
とにかく、この曲はMTVでもオンエアされまくってましたので、ビデオ録画機械のなかった我が家でも何度も拝見することができました。
この頃は音楽的なことより、ヴィジュアル的なところがよく語られてましたね。
やっぱり今見ても、5人ともお洒落です。
スタイリッシュなアイドルバンドとみなされていたのも良くわかります。
でも、そのために楽曲の良さの評価が、差し引かれて見られていたのが惜しいところでしょうか。
この曲はアルバムからの3rdシングルとしてカットされ、アメリカではビルボード誌シングルチャートで2週連続のNo.1を獲得しています。
そして本国イギリスでもNo.1を獲得してます。
この曲もやはり80年代を代表する素晴らしいダンス曲だと思いますね。
2曲目はNEW MOON ON MONDAY(ニュー・ムーン・オン・マンデイ)。
僕の苦手だったサイモンの低音から始まる楽曲です。
しかし慣れると、楽曲の良さが際立ってきましたね。
この曲もいい感じにシンセがカラフルに彩って、まさに80年代のサウンドになっていますね。
ていうか、そういうサウンドを流行らせるのに彼らは一役買っていたともいえるかもしれません。
その点、Nick Rhodes(ニック・ローズ)がシンセ、キーボードを駆使してプレイしているようです。
が、彼はバンド結成前にはキーボード歴がないという、異例の経歴の持ち主でした。
それが、このニューロマンティックに属するといわれるバンドの色を決めてるのだから、すごいとしかいいようがありませんね。
楽曲を彩ると言えば、アンディのギターもアルペジオでカラフルに飾っております。
それに加えて、ジョンのベースも今回もなかなかなグルーヴを出していますね。
そして、この曲もサビがキャッチーで、覚え易い、歌い易い、と、彼らの作曲能力の高さも示しています。
この曲は2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第10位を記録しています。
3曲目は(I’M LOOKING FOR) CRACKS IN THE PAVEMENT(ひび割れた歩道)。
ちょっと大ヒット曲2曲に続くにはちょい地味な楽曲です。
でも、シンセたっぷりのエイティーズサウンドで満ちています。
ジョンのベースラインは相変わらずしっかり楽曲を支えていますが、アンディのギターはシンセに埋もれてあまり目立ちません。
4曲目はI TAKE THE DICE(賽は投げられた)。
この曲も80年代のキラキラシンセサウンドで満ちた楽曲ですね。
その隙間にアンディのアルペジオがかすかに聞こえてます。
やはりこの曲も、ちょっと印象の薄い楽曲になっています。
5曲目はOF CRIME AND PASSION(罪と情熱)。
アルバム中、最もロックな感じの楽曲です。
アンディのギターリフがささやかに主張しています。
ジョンの跳ねたベースがかっこいいです。
そして、何と、恐らくアルバム中初のギターソロが・・。
一瞬ですが、アーミングを使ったアンディのプレイが聴けます。
本人はもっと弾きたかったのではないかと思われますが、この曲では他の部分で少し激し目のギターリフを弾きまくっています。
6曲目はUNION OF THE SNAKE(ユニオン・オブ・ザ・スネイク)。
僕が初めて聞いたデュラン・デュランの楽曲です。
この鼻にかかったサイモンのヴォーカルが受け付けられなかったのですが、次第に慣れてくると、この曲のかっこよさに目が開かれていきました。
やはり、まずイントロがいいですね。
シンセのあの、ハッとさせられるような強烈な音は、とても印象的です。
そしてその後に続く、ギターのカッティングはキレが良く、非常に洗練されて聴こえます。
また、ベースラインも、非常にかっこいいです。
そして、シンセの使い方もとても効果的で、お洒落な雰囲気が漂っています。
言うまでもなく、キャッチーなサビを歌うサイモンの独特のヴォーカルも、いまや楽曲をかっこよくしているといわざるを得ません。
間奏ではギターソロキター!と思いきや、シンセに埋もれ、そしてサックスに乗っ取られ、アンディ受難です。
しかし、サックスの裏で果敢にカッティングを決めるアンディはかっこいいと思います。
この曲はアルバムの1stシングルで、ビルボード誌シングルチャートで第3位を獲得しています。
7曲目は、SHADOWS ON YOUR SIDE(運命の影)。
なかなか爽快感のあるポップソングです。
シンセがたっぷり使われている中で、ギターが善戦しています。
間奏ではクリーントーンでのギターソロがあります。
きっとアンディは歪ませたかっこいいソロを弾きたいでしょうけど、ここは我慢ですね。
8曲目は、TIGER TIGER(タイガー・タイガー)。
なんと、驚くべきことにここでインストゥルメンタルです。
インストをやるようなバンドとは思えませんでしたが、なかなか悪くはありません。
そしてラスト9曲目はTHE SEVENTH STRANGER(7番目の男)。
恐らく最後に入ってきたメンバー、サイモンのことを歌ったと考えられます。
バンドは4人、マネージャーが二人いたので、最後が7人目です。
ゆったりバラード風で、とてもメロディがいいです。
サイモンの低い声もいまや心地よく聞こえます。
シンセがキラキラと楽曲を飾ってますが、この曲では初の歪みギターでのギターソロがあります。
ゆったりなメロディラインを奏でるだけですが、まあ、軽い見せ場になっています。
まとめとおすすめポイント
1983年リリースの、DURAN DURAN(デュラン・デュラン)の3rdアルバム、SEVEN AND THE RAGGED TIGER(セヴン&ザ・ラグド・タイガー)は、全英ではNo.1を獲得しています。
そしてビルボード誌アルバムチャートでは第8位を記録、アメリカでは200万枚を売り上げています。
アルバム全体が、まさに80年代のサウンドであふれています。
やっぱりアルバム通して聞くと、当時ってこれがお洒落だったなぁって感慨深いです。
とりわけシンセ多様のポップサウンドは、彼らがデビュー以来先頭を切って作り上げてきたものなので、もはや彼らのサウンドこそが80年代サウンドといってもいいほど、時代にマッチしているようです。
ただ、個人的に言うと、アンディのギターがかなり目立たなくなっているのが残念かな、と。
今回はシンセがメインでギターが引っ込んでたのが、ちょっと惜しいと思います。
やはりキレのいいギターサウンドが絡まりあってこそ、と思えますがいかかがでしょうか。
そして、このアルバムからは3曲のヒットシングルが生まれています。
この3曲は飛びぬけていい出来になっていますね。
あまりにも良すぎて、他の曲が捨て曲目立たない曲に聞こえるのが惜しいです。
でも、アルバム全体としては、当時のノリに乗っていたあのバンドの一体感は十分に感じられるいい作品だと思います。
80年代サウンドの典型を聴きたいなら、このアルバムを外すことはできないでしょう。
チャート、セールス資料
1983年リリース
アーティスト:DURAN DURAN(デュラン・デュラン)
3rdアルバム、SEVEN AND THE RAGGED TIGER(セヴン&ザ・ラグド・タイガー)
ビルボード誌アルバムチャート第8位 アメリカで200万枚のセールス
1stシングル UNION OF THE SNAKE(ユニオン・オブ・ザ・スネイク) ビルボード誌シングルチャート第3位
2ndシングル NEW MOON ON MONDAY(ニュー・ムーン・オン・マンデイ) シングルチャート第10位
3rdシングル THE REFLEX( ザ・リフレックス) シングルチャート2週連続No.1
初めまして、いつも楽しく拝見しています。全曲レビューで、自分でも気づかなかった曲の魅力を再発見させてもらってます。アンディ・テイラーのカッティングはもっとフューチャーしてほしかったな~。ライブアルバムでは、思いっきりディストーションサウンドでしたね、アンディ。
みちさん、うれしいコメントありがとうございます。
アンディのギターの件、ほんとにもったいないと思いますね。
特にこのアルバムではシンセに埋もれまくってますからね。
ちょうどそういう時代だったのかもしれません。
まあ、その辺の我慢が、後のTHE POWER STATIONやソロ作THUNDERへとつながっていくことになるんでしょうね。
特にTHUNDERのオープニングのI MIGHT LIEでは、聞いてめちゃめちゃ爽快気分を味わったのを思い出します。
そのうち、どちらも記事にしたいと思ってますので、気長にお待ちくださり、読んで下さるととてもうれしいです。
コメントありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
始めまして。
ずいぶん前の投稿内容ですが、初めて拝見させていただき、とても共感しましたのでコメントさせていただきました。
当時、10代前半で初めてデュラン・デュランのユニオン・オブ・ザ・スネイクとザ・リフレックスを聴いて「こんなおしゃれな音楽があるんだ」と思い、それ以降洋楽に取りつかれて、色んなジャンルに移りながらもずっと洋楽ファンである私にとって、ある意味きっかけとなったアルバムです。
リフレックスのあの有名なイントロのリフ、その時は楽器を弾いたこともなく、音楽知識も今よりなかったため、ニックのシンセとアンディのカッティングの音が一体的につながって聴こえていました。それはそれでとてもかっこよかった。
仰るように、アンディのカッティング、ジョンのベースラインがとても素敵な曲です。
これからも楽しく拝見させていただきます。