大人のロックアルバム DON HENLEY - THE END OF THE INNOCENCE

前作BUILDING THE PERFECT BEAST(ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト)からの歩み





1984年発表のDON HENLEY(ドン・ヘンリー)の2ndアルバム、ビルディング・ザ・パーフェクト・ビーストはビルボード誌アルバムチャートで第13位、アメリカで300万枚を売り上げました。
EAGLES(イーグルス)のドラマーでヴォーカルであったドンのもとには多数の有名ミュージシャンが集まり、結果的にバラエティに富んだ素晴らしいロックアルバムが出来上がったのだ。

 

そのアルバムからはTHE BOYS OF SUMMER(ボーイズ・オブ・サマー)(ビルボード誌シングルチャート第5位)、ALL SHE WANTS TO DO IS DANCE(オール・シー・ウォンツ・トゥ・ドゥ・イズ・ダンス)(同第9位)などのヒットを連発。
ボーイズ・オブ・サマーでは、1986年グラミー賞 最優秀男性ロックボーカルパフォーマンス賞を受賞している。

 

こうして充実したアルバムを出したドンだが、次作まで5年待たされることになった。
しかし、待った甲斐があったと思える、素晴らしいアルバムになっていました。
今回もまたまた、多くの有名ミュージシャンの参加する、一大イベントとなってます。
ただ、全体の雰囲気はより大人の雰囲気漂うアルバムになっているように感じられます。
タイトルを訳すと、無邪気さや無垢の終わり、ということになるが、さらに洗練された大人の音楽を聴かせてくれます。

 

では今日は1989年リリースのDON HENLEY(ドン・ヘンリー)の3rdアルバム、THE END OF THE INNOCENCE(エンド・オブ・ザ・イノセンス)をご紹介します。

THE END OF THE INNOCENCE(エンド・オブ・ザ・イノセンス)の楽曲紹介

アルバムのオープニングを飾るのはアルバムタイトルチューン、THE END OF THE INNOCENCE(エンド・オブ・ザ・イノセンス)。

 

この曲はドンと、Bruce Hornsby(ブルース・ホーンズビー)による共作です。
イントロから始まって、楽曲の全編に渡って聴けるホーンズビーのピアノが、とても爽やかで上品なものになってます。
派手な曲ではないが、しみじみと優しく染み渡るようなドンのヴォーカルが映えます。
ピアノ主体のこの楽曲はまさに大人のロック、という雰囲気いっぱいです。

 

アルバムの先行シングルとしてリリースされたこの曲は、ビルボード誌シングルチャート第8位を記録しています。
また、同誌Mainstream RockチャートではNo.1に、Adult Contemporaryチャートでは第2位の大ヒットとなっています。
このように、この曲は幅広いリスナーに受け入れられ支持されることになりました。

 

2曲目はHOW BAD DO YOU WANT IT?(ハウ・バッド)。

 

結構強烈な、ドラムとサックスから始まる、ちょっとやんちゃな楽曲だ。
非常に独特のリズムのあるロックソングだ。
コーラスにはPatty Smyth(パティ・スマイス)が前作に引き続き参加しています。
サックスが強い存在感を示していて、ファンキーな楽曲となっています。

 

この曲は4thシングルとしてカットされ、シングルチャート第48位、Mainstream Rockチャートでは第8位を記録してます。

 

3曲目はI WILL NOT GO QUIETLY(ゴー・クワイエットリー)。

 

これはなかなかスリリングなロックソングになってます。
ドンが単なるバラードアーティストではなく、ロックヴォーカリストであることを思い出させてくれます。
また、この曲では、当時同じレーベルに所属していたGuns N’ RosesのヴォーカルAxl Rose(アクセル・ローズ)が参加しています。
コーラスでハモったり、バトったり、楽曲をスリリングに盛り上げてます。
新旧ロックヴォーカリストの対決という感じで、非常に良かったですね。
とても聴き応えのある、ロックソングです。

 

4曲目は THE LAST WORTHLESS EVENING(最後の無駄な夜)。

 

ゆったりとした、素敵なメロディアスバラードだ。
さすがにこの手のバラードを歌わせると、ドンは味わい深いですね。
少しハスキーな渋い歌声で見事に感情をメロディに乗せています。
また、ギターにはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのMike Campbell(マイク・キャンベル)が参加しています。
非常に心地よいAOR的な楽曲です。

 

この曲は2ndシングルとしてカットされ、シングルチャート第21位、Mainstream Rockチャートでは第4位、Adult Contemporaryチャートでは第5位を記録しています。

 

5曲目はNEW YORK MINUTE(ニューヨーク・ミニット)。

 

この曲にはTOTODavid Paich(デヴィッド・ペイチ)がシンセで参加してます。
イントロのドラマティックなシンセが曲の雰囲気を形作ります。
さすが職人技です。
映画のワンシーンに使えそうな素晴らしいイントロになってます。
またTOTOJeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ)はドラムで参加し、TOTO一派で楽曲を盛り立てています。

 

楽曲は哀愁漂うメロディで、ドンが渋く熱く歌い上げてます。
寒く冷たいニューヨークの一瞬を切り取ったかのような、美しい曲です。
ベースラインが良く聴こえるのも、すごくいいですね。
サビでのコーラスも見事に美しいです。
何か、いろいろ盛りだくさんの名曲です。

 

この曲は5thシングルとしてカットされ、シングルチャート第48位、Mainstream Rockチャートでは第24位、Adult Contemporaryチャートでは第5位を記録しています。

 

6曲目はSHANGRI-LA(シャングリラ)。

 

不思議なノリのイントロから始まる楽曲だ。
結構こういう、独特のノリがよく見かけられる。
しかし、サビは判り易く、結局耳に馴染んでしまうのはドンの声によるものだろう。
この曲ではコーラスに、男性コーラス・グループのTAKE6が参加しています。
すこしエスニックな感じがするが、この辺の幅の広さもドンらしい。

 

7曲目はLITTLE TIN GOD(リトル・ティン・ゴッド)。

 

イントロは、また不思議なものが始まる、という予感を与えるが、イントロが終わると、レゲエ調の明るい楽曲に変わる。
明るい楽曲もいつものように渋い声で歌い上げる。
その辺のギャップも決して悪くない。

 

8曲目はGIMME WHAT YOU GOT(ギミー・ホワット・ユー・ガット)。

 

これも大人のロックという感じの楽曲です。
ドンが渋く歌い上げてます。
シンセの使い方がとても効果的で、気持ちがいいです。
ギターのストローク音もシャープでいいです。
ギターソロも、シンプルで雰囲気たっぷりです。
曲全体の印象は、やはり渋い、という言葉に要約できます。

 

9曲目はIF DIRT WERE DOLLARS(イフ・ダート・ワー・ダラーズ)。
これはアコースティックな感じで始まるが、始まってみるとどっしりとしたロックソングである。
この曲では、デビュー前のSheryl Crow(シェリル・クロウ)とJ. D. Souther(J.D.サウザー)がコーラスで参加している。

 

アルバムラストの10曲目はTHE HEART OF THE MATTER(ハート・オブ・ザ・マター)。

 

この曲はドンとマイク・キャンベルと J.D.サウザーによる共作だ。
アコースティックギターのストロークから始まる、ゆったりとしたバラード作品である。
非常にメロディが良く、歌詞の内容もいいことから、これをドンの最高傑作と推す声も多い。
確かに、彼の渋い哀愁漂うヴォーカルは非常にこの楽曲を美しく歌い上げています。
また、多くのアーティストによるコーラスも美しく曲を盛り上げてます。

 

この曲は3rdシングルとしてカットされ、シングルチャート第21位、Mainstream Rockチャートでは第2位、Adult Contemporaryチャートでは第3位を記録しました。

まとめとおすすめポイント

1989年リリースのDON HENLEY(ドン・ヘンリー)の3rdアルバム、THE END OF THE INNOCENCE(エンド・オブ・ザ・イノセンス)はビルボード誌アルバムチャートで第8位、アメリカで600万枚を売り上げる大ヒットとなりました。

 

今回のアルバムは前作同様、多くのミュージシャンが参加してます。
もはや、集めたというより、ドンの経歴と才能にみんなが寄ってきたというほうが正しいかもしれません。
楽曲紹介では、参加アーティストの一部しか紹介できませんでしたが、それは僕がミュージシャンに詳しくないだけで、もっとたくさんの人が参加してることをここでお伝えしておきたいと思います。

 

そのようにして多くのミュージシャンの持ち寄った才能や技術によって、今回も前作同様バラエティに富む内容のアルバムとなりました。
ただ、僕の印象としてはやはり、より大人の雰囲気のアルバムになったように感じられてます。

 

そしてアルバム自体の評価も高く、今回も再びグラミー賞で最優秀男性ロックボーカルパフォーマンス賞を受賞することになりました。
このときドンは42才、世間では厄年とも言われる(日本だけでしょうが)中年の円熟期に入っても熱いロックを聴かせてくれてます。
特に、27才で、すでにGuns N’ Rosesのヴォーカルとして一気に頂点を極めていた、新時代のロックヴォーカリスト、アクセル・ローズとのパフォーマンスでは、決して負けてません。
新進気鋭のアクセルを前にあれだけ歌えれば、まだまだいける、と感じたのは僕だけではないでしょう。

 

また、バラードも円熟味を増してます。
もともと上手かったわけですが、最後の無駄な夜、やニューヨーク・ミニット、ハート・オブ・ザ・マターなど、さらにアダルティなロックを聴かせてくれてます。
この円熟した歌は、やはりこの年齢だからこそのものではないでしょうか。

 

バンドからソロへと活動を移すと、どうしても以前のバンドの頃と比較されることが多いと思います。
ドンも、イーグルスがあまりにも大成功を収めているだけに、大きなプレッシャーもあったかと思います。

 

しかし、前作も今作も、イーグルスとは全く異なるアプローチでアルバムを製作していることに気付けます。
やはりイーグルスはバンド、というメンバーたちの化学反応で作品を作り上げています。
一方ドンは、一人のロックヴォーカリストとして、可能性を探り、多くの仲間たちと共に新境地を開いていっている気がします。
ドンのヴォーカルはソロとして活動を始めることによって、一層の幅を広げたのではないか、と思えます。

 

もちろんイーグルスよりもドンの方が良いとか、その反対だ、といった、極論を言っているのではなく、2者はまったく別の土俵にあり、比較されることなくそれぞれが評価されるべきだということです。
ドンにイーグルスの過去の栄光と再来を求めるのであれば、きっと失望させられることでしょう。
ドンは、もはやイーグルスという過去の巨大な肩書きを下ろし、ドン・ヘンリーという一人のロックヴォーカリストとして音楽に向き合っているのです。

 

大人が楽しめるロックアルバムを求める方には、これは非常におすすめのアルバムとなっています。

チャート、セールス資料

1989年リリース

アーティスト:DON HENLEY(ドン・ヘンリー)

3rdアルバム、THE END OF THE INNOCENCE(エンド・オブ・ザ・イノセンス)

ビルボード誌アルバムチャート第8位 アメリカで600万枚のセールス

1stシングル THE END OF THE INNOCENCE(エンド・オブ・ザ・イノセンス) ビルボード誌シングルチャート第8位、同誌Mainstream RockチャートNo.1、Adult Contemporaryチャート第2位

2ndシングル THE LAST WORTHLESS EVENING(最後の無駄な夜) シングルチャート第21位、Mainstream Rockチャート第4位、Adult Contemporaryチャート第5位

3rdシングル THE HEART OF THE MATTER(ハート・オブ・ザ・マター) シングルチャート第21位、Mainstream Rockチャート第2位、Adult Contemporaryチャート第3位

4thシングル HOW BAD DO YOU WANT IT?(ハウ・バッド) シングルチャート第48位、Mainstream Rockチャート第8位

5thシングル NEW YORK MINUTE(ニューヨーク・ミニット) シングルチャート第48位、Mainstream Rockチャート第24位、Adult Contemporaryチャート第5位

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