ストレートなハードロック DEF LEPPARD - PYROMANIA(炎のターゲット)
DEF LEPPARD(デフ・レパード)との出会い
1983年の終わりに、なんかかっこいい名前のバンドを見つけました。
DEF LEPPARD(デフ・レパード)。
そして最初にFM STATIONの番組表で見つけたのが、COMIN’ UNDER FIRE(炎のターゲット)だ。
試しにエアチェックしてみましたが、そこにはアルペジオのツインギターで始まるかっこいいハードロックがありました。
ただ、最初はヴォーカルの声が、独特過ぎて受け付け難かったのですが、次第に中毒のようにはまってきました。
こうして彼らのその曲の入ったアルバム、1983年リリースのPYROMANIA(炎のターゲット)を聴くことになります。
PYROMANIA(炎のターゲット)までのデフ・レパードの歩み
デフ・レパードはイギリスのロックバンドだ。
レコードデビューは1980年。
その当時のメンバーである、ヴォーカルのJoe Elliott(ジョー・エリオット)、ベースのRick Savage(リック・サヴェージ)、ドラムのRick Allen(リック・アレン)の三人は2017年の現在でもデフ・レパードとして活躍中だ。
デビューアルバムはON THROUGH THE NIGHT(オン・スルー・ザ・ナイト)。
ちょうど1970年代後半から1980年代初頭まで、NWOBHM (New Wave Of British Heavy Metal) と言われるムーヴメントが起きていました。
IRON MAIDEN(アイアン・メイデン)をはじめとする多くのヘヴィメタルバンドがイギリスから勃発したのです。
そのうちで世界的に成功を収めたのがアイアン・メイデンとこのデフ・レパードと言われています。
しかし、NWOBHMにくくられる多くのバンドはダークだったり攻撃的だったり、パンクっぽいものが特徴であったが、アルバム、「オン・スルー・ザ・ナイト」はそんな中で新鮮な空気のように歓迎されました。
それに、デフ・レパードのメンバーは自分たちをヘヴィメタルではなく、ハードロックバンドと認識しているので、NWOBHMにくくられるのをいやがっているらしい。
いずれにしてもイギリスからの新たな風はアメリカにも到着し、地盤を固め始めるのでした。
アルバムは、非常に聞きやすいハードロックであふれています。
バンドはギタリストを二人擁していています。( Steve Clark(スティーヴ・クラーク)と Pete Willis(ピート・ウィリス))
ギターオリエンテッドであり、それもツインギターという、ハードロック好き、エレキギター好きにはとても楽しめるアルバムだ。
当時はLPよりもカセットのほうが売れていると聞いたことがあります。
長距離トラックの運ちゃんたちが、ノリのよいこのアルバムを気に入ってドライヴしてたとか。
アメリカでは、チャートには登場してないようだが、ROCK BRIGATEがシングルとしてリリースされています。
そしてアルバムはデビューアルバムにして早くもアメリカで100万枚を売り上げ、ビルボード誌アルバムチャートでは第51位を記録しています。
翌1981年にはHIGH ‘N’DRY(ハイ・アンド・ドライ)をリリース。
今回はAC/DCやFOREIGNERなどを手掛けたことでも知られるRobert John “Mutt” Lange(ロバート・ジョン・“マット”・ランジ)をプロデューサーとして迎えている。
“マット”・ランジのスタジオにおける細部まで行き届いたアプローチは彼らのサウンドを明確なものとするきっかけとなりました。
このアルバムでは、荒削りなのも魅力だった前作を、より洗練させたハードロックを聴くことができます。
シングルはLET IT ROCKとBRINGIN’ ON THE HERATBREAKがアメリカでリリースされ、共にシングルチャートには登場していないが、LET IT ROCKがMainstream Rockチャートで第34位を記録している。
アルバムはビルボード誌で第38位と前作を上回りました。
そして全米だけで200万枚を売り上げています。
その後、ギタリストのピート・ウィリスが飲酒問題でバンドを解雇。
次のアルバム製作の途中から、現在も活動中のPhil Collen(フィル・コリン)が加入します。
そして1983年、ニューアルバムが完成します。
今日は1983年リリースの、DEF LEPPARD(デフ・レパード)の3rdアルバム、PYROMANIA(炎のターゲット)をご紹介します。
PYROMANIA(炎のターゲット)の楽曲紹介
アルバムオープニングを飾るのはROCK! ROCK!(TILL YOU DROP)(ロック!ロック!)。
イントロはスローで、何かが始まる予感を感じさせます。
そして激しいギターのリフとともに曲が始まる。
ジョー・エリオットのヴォーカルも、クリーンじゃないのは相変わらずだが、癖になる搾り出す歌声だ。
デフ・レパードの特徴の一つは、コーラスワークだと思うが、この曲でもサビは合唱で盛り上げている。
激しいけれどもキャッチーでもある、見事なオープニングになっています。
2曲目は、PHOTOGRAPH(フォトグラフ)。
これは80年代を代表する名曲の一つと数えられるでしょう。
ミドルテンポのロックだが、メロディがとてもキャッチーで優しい。
ギターも、かっちりと作り上げられたフレーズで、楽曲の良さに貢献するよう練り上げられている。
サビメロの美しさは群を抜いていますね。
この曲は先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌のシングルチャートで第12位、同誌Mainstream Rockチャートでは、6週連続No.1を獲得しています。
3曲目は、STAGEFRIGHT(ステージフライト)。
この曲は、ライヴの雰囲気を織り込まれたイントロがかっこいいですね。
そしてハードなギターリフが疾走感を演出しています。
この辺の楽曲が一般にヘヴィメタルにカテゴライズされる要因となっているのでしょう。
しかし、メタルというほど重くもなく、結局キャッチーなので、やはり僕もこのバンドはハードロックバンドだ、と強く感じます。
爽快で、ノリのいいかっこいいハードロックチューンです。
4曲目はTOO LATE FOR LOVE(トゥー・レイト・フォー・ラヴ)。
デフ・レパード流のパワーバラードです。
サビもいつものコーラスで強い楽曲でありながらも気持ちよく聴ける。
バラードでもジョーのあの声は静かなところから全開のシャウトまで、歌いわけがなかなかうまいことに気付かされます。
なかなかの名曲です。
この曲はアルバムからの4thシングルとしてカットされ、シングルチャートには登場していないが、Mainstream Rockチャートでは第9位を記録しています。
5曲目は、DIE HARD THE HUNTER(狙撃兵)。
曲の初めに戦地でヘリが飛び交うような効果音が用いられる。
これが次の作品でもっとさらに大げさになっていくことをこの時点ではもちろん知る由もなかった。
楽曲はやはり聴き易いハードロックだ。
ギターソロはツインギターを生かしている。
が、テクニックに走るわけではなく、メロディ優先だ。
この辺が、曲を聴いて楽しむにはとてもよいのだが、ギターキッズには物足りないかもしれない。
B面1曲目はFOOLIN’(フーリン)。
哀愁味あふれる美しい楽曲です。
しかし、途中からの盛り上がりなど、展開が大きくよく出来た曲ですね。
非常にキャッチーで、なかなかな名曲です。
この曲は3rdシングルとしてカットされ、シングルチャートでは第28位をマーク、Mainstream Rockチャートでは第9位を記録している。
2曲目はROCK OF AGES(ロック・オブ・エイジ)。
この曲は中国人のしゃべりのような不思議なイントロで始まります。
僕は中国人のように思ったのだが、wikiによると実はドイツ語のような (German-like) 言葉らしい。
プロデューサーのマット・ランジが”Gunter glieben glauchen globen“と言ってるそうだが、意味はないようだ。
ランジは完璧主義者なので、何十回とテイクを重ねてその都度、 “One, two, three, four” とカウントしていったわけだが、あるとき、この無意味な言葉をカウント代わりに使ったところメンバーにウケて、アルバムで採用されることになったらしい。
この曲はコーラスとヴォーカルが掛け合いのように進んでいき、聴いてて楽しい展開を見せてくれる。
そしてサビのコーラスはやはりキャッチーで、いい曲だ。
この曲は2ndシングルとしてカットされ、シングルチャート第16位、 Mainstream RockチャートではNo.1を獲得しています。
3曲目はCOMIN’ UNDER FIRE(炎のターゲット)。
これは僕が初めてデフ・レパードに会った曲である。
ギター二本によるイントロがかっこいい。
そしてサビはキャッチーでとてもクールだ。
シンプルにエレキのバッキングが曲を形作り、その上にジョーのヴォーカルとコーラスが乗って、いい曲が出来上がっています。
4曲目はACTION! NOT WORDS(アクション!)。
これもキャッチーなハードロックだ。
やはりツインギターと言うのはバンドとしては魅力的である。
ちゃんとしたバッキングの上にソロが乗るときの快感はたまらない。
レコーディングでは何本もギターの音を重ねられるが、ライヴでもそれを再現できるツインギターはデフ・レパードの大きな特徴だ。
ラストはBILLY’S GOT A GUN(銃をとれ!)。
次のアルバムHYSTERIA(ヒステリア)とこのアルバムではかなりキャラクターが異なると思っていたが、コーラスやギターの使い方の基本的な部分はこの時点で完成していた、ということに気付かせてくれる曲だ。
最後はちょっとお遊びのような演出で終わり。
次回はこのお遊びがもっともっとど派手になるのだが。
まとめとおすすめポイント
1983年リリースの、DEF LEPPARD(デフ・レパード)の3rdアルバム、PYROMANIA(炎のターゲット)はビルボード誌アルバムチャートで第2位を記録。(Michael JacksonのThrillerによってNo.1を阻まれました。)
そしてアメリカだけで、1000万枚の売り上げを記録しています。
荒削りな魅力のあふれる前の2枚のアルバムから、今回はより洗練されたアルバムへと変化を遂げました。
炎のターゲットに収録の10曲は全て、“マット”・ランジが共作者としてクレジットされています。
それもあるのか、全曲、キャッチーなハードロックになっています。
wikiによると、このアルバムで、バンドのヘヴィメタルのルーツから、ラジオを意識したハードロックへと変わっていることが指摘されています。
その要因の一つがマット・ランジのプロデュースと言えるでしょう。
確かに全曲シングルカット可能と感じられるほど、良曲がそろっています。
彼らのブレイクは、80年代メタルシーンに火をつけたとも言われています。
その後に続いた数多くの、ヘヴィメタル、ハードロックに多大な影響を与えたことに間違いはないでしょう。
デフ・レパードは、そのまま独自のスタイルを保ち、今日でも活動しています。
その後の世界的な大成功の基盤となったアルバム、PYROMANIA(炎のターゲット)を80年代のハードロックの名盤の一つとしてあげたいと思います。
チャート、セールス資料
1983年リリース
アーティスト:DEF LEPPARD(デフ・レパード)
3rdアルバム、PYROMANIA(炎のターゲット)
ビルボード誌アルバムチャート第2位 アメリカで1000万枚のセールス
1stシングル PHOTOGRAPH(フォトグラフ) ビルボード誌シングルチャート第12位、同誌Mainstream Rockチャート6週連続No.1
2ndシングル ROCK OF AGES(ロック・オブ・エイジ) シングルチャート第16位、 Mainstream RockチャートNo.1
3rdシングル FOOLIN’(フーリン) シングルチャート第28位をマーク、Mainstream Rockチャート第9位
4thシングル TOO LATE FOR LOVE(トゥー・レイト・フォー・ラヴ) シングルチャート圏外、Mainstream Rockチャート第9位