同じじゃだめなのか。 SURVIVOR - WHEN SECONDS COUNT

リリースまでの流れ





1984年作品、VITAL SIGNS(バイタル・サインズ)で一躍スターダムに上ってきたサバイバー。
ロッキー3の主題歌EYE OF THE TIGER(アイ・オブ・ザ・タイガー)だけの一発屋になりかねなかったピンチを、ジミ・ジェイミソン加入によってくいとどめて見せました。
このアルバムでは数々のヒットを量産し、ついにトップバンドの仲間入りです。

 

1985年には、もう一度ロッキーのテーマソングに挑戦。
BURNING HEART(バーニング・ハート)は全米第2位の結果を残すなど、上り調子です。

 

そんな中、1986年ついに次のアルバムをリリースします。
大ヒット作の後のアルバムは作るのが難しいに違いないです。
まさに彼らのバンドとしての真価が問われる作品となります。

 

では今日は1986年リリースのサバイバーの6thアルバム、WHEN SECONDS COUNT(ホエン・セカンズ・カウント)を紹介したいと思います。

WHEN SECONDS COUNT(ホエン・セカンズ・カウント)の楽曲紹介

オープニングを飾るのはHOW MUCH LOVE(ハウ・マッチ・ラヴ)。

 

イントロは前作のHIGH ON YOU(ハイ・オン・ユー)を思わせるシンセで軽快に始まります。
まさにサバイバー節全開のポップロックです。
ジミ・ジェイミソンのヴォーカルが美しいメロディを歌い上げています。
前回の成功に基づいた自信に満ちた楽曲となっていますね。

 

この曲はこのアルバムからの2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第51位にとどまりました。

 

ほんっとにいい曲なんだけど、バイタル・サインズの楽曲とほぼ同じであるためか、予想に反していまいちチャートが伸びませんでしたね。
前作は大ヒットしましたが、全く同じ路線では、なかなか連続ヒットとまではいかないところが難しいところです。
僕個人としては、すごく好きなんだけどなあ。

 

2曲目はKEEP IT RIGHT HERE(キープ・イット・ライト・ヒア)。

 

この曲も路線踏襲の気持ちいいメロディアスなロックになっています
少しづつ盛り上げていってサビへつながるところは超気持ちいい。
そして何と言ってもサビメロのキャッチーさは、相当素晴らしく感じますね。
展開が美しいこの曲もシングルカット候補としてもいい、名曲となっています。

 

3曲目は、IS THIS LOVE(イズ・ディス・ラヴ)。

 

ちょうど前作のこれもHIGH ON YOU(ハイ・オン・ユー)に当たるような名曲になっています。
気持ちいいミドルテンポのメロディアスな楽曲です。
シンセの使い方がきれいで、かわいくて、楽曲がキラキラ輝いています。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、シングルチャートで、第9位を獲得して見せました。
でもあの大成功の後のシングルとしては、思ったほど伸びなかったというのが僕の感想です。
何も方向性は変わっていないのに、停滞は後退を意味する厳しい世界だなあ、と感じさせられますね。
でもやはり僕の好みで、大好きな楽曲です。

 

4曲目はMAN AGAINST THE WORLD(マン・アゲンスト・ザ・ワールド)。

 

これは非常に美しいバラードです。
前作のTHE SEARCH IS OVER(ザ・サーチ・イズ・オーバー)に匹敵する名曲だと思えますね。
美しいメロディをジミが切々と、そして力強く歌い上げています。
非常にドラマティックなバラードになっていますね。

 

この曲は3rdシングルとしてカットされましたが、チャートは振るわず、何と86位にとどまるのでした。
こんなにいい曲なのに・・・
何がダメなんだろうと、驚きのチャートアクションです。

 

さて気を取り直して5曲目はREBEL SON(レベル・サン)。

 

この曲は静かに始まりバラードかと思いきや、途中から得意の爽快なポップロックに変わります。
ちょうど前作のFIRST NIGHT(ファースト・ナイト)にあたる良曲です。
展開は似ていますが、やはりメロディは新たなもので、秀逸なものになっています。
安定のサバイバー節として楽しめます。
変化後の疾走パートも、バンド感たっぷりですし、サビのコーラスも美しいですし、これも文句はないです。

 

6曲目はOCEANS(オーシャンズ)。

 

少し暗めな渋いロックを聴かせてくれてます。
ちょうど前作のBROKEN PROMISES(ブロークン・プロミセス)に当たるような楽曲です。
抑え目のちょっと暗めの曲だが、サビはやはり爽やかないつものノリに変わります。
この転調のおかげで、少しドラマティックな楽曲となっていますね。
決して悪くはない、ていうか、やっぱりいい曲ですよ。

 

7曲目は、WHEN SECONDS COUNT(ホエン・セカンズ・カウント)、このアルバムのタイトルチューンです。

 

この曲がこのアルバムで僕の一番のお気に入りでもあります。
ゆったりとしたミドルテンポのロック、そしてメロディも聴いてて心地よいです。
この余裕のある落ち着いた楽曲は完全に僕の好みですね。
ジミのヴォーカルが歌い上げるキャッチーな歌メロと美しいコーラス
ちょっと長めのギターソロも気持ちよく聴けます。
全くもって欠点のない曲に仕上がっていますね。
これを2ndシングルに持ってくれば、もう少しチャートアクションも改善されたのではないかと惜しまれるほどいい曲だと思ってます。
とにかく、このアルバムのハイライトと言えるでしょう。

 

8曲目はBACKSTREET LOVE AFFAIR(バックストリート・ラヴ・アフェア)。

 

これはは少し大人な雰囲気を持つロックになってます。
きらびやかな夜の街が思い浮かぶような曲ですね。
ちょうど80年代のネオンまぶしい夜の街でのドラマのような雰囲気が漂ってます。
キーボードのキラキラが切なく鳴り響くいい歌です。

 

9曲目は、IN GOOD FAITH(イン・グッド・フェイス)。

 

こっれはまたも前作THE SEARCH IS OVER(ザ・サーチ・イズ・オーバー)を思い出させるような雰囲気を持つメロディアスな王道ロッカバラードです
やはりジミはこんなバラードを歌わせたら天下一品であると思いますね。
彼の力強くエモーショナルなヴォーカルは、もっともっと評価されていいと思いますけどね。
メロディも、アレンジも素晴らしいです。
これまた名曲に数えられるでしょう。

 

ラストを飾るのはCAN’T LET YOU GO(キャント・レット・ユー・ゴー)。

 

このアルバムでは一番ロックっぽい楽曲になってます。
でもやはりサビはポップでとても聴きやすいですね。

 

こうして全体を通して聴くと、前作よりもハードさが薄れ、非常に聴きやすいポップロックアルバムになったと言えるでしょう。

まとめとおすすめポイント

1986年リリースのサバイバーの6thアルバム、WHEN SECONDS COUNT(ホエン・セカンズ・カウント)はビルボード誌アルバムチャートで第49位と沈みました。
売り上げもアメリカで50万枚のゴールドディスクにも達するのがやっとでした。

 

今回は前作VITAL SIGNS(バイタル・サインズ)の大成功を受けて作られた作品です。
そうなると大雑把に言うと選択肢は二つ
ヒットした前作と同じようなものを作る、もしくは新たな方向性を見つけてさらに高みを目指す
で、今回サバイバーは前者の道を選んだようです。

 

楽曲の紹介でも述べたとおり、前作の作品と似たような曲が多いことにすぐに気付きます。
前作を気に入った人にとってはそれは歓迎すべきことなのかもしれないが、人によってはそれをマンネリと捉える人もいるでしょう。
確かに僕のような、前作を超気に入っている者にとっては、今回の作品が前作の路線を完全に踏襲して作られていることに十分満足できます。

 

しかし、世間はそうはみなさなかったようです。
新味に欠けると評価されたのではないでしょうか。
一曲一曲のクオリティは前作同様なのにも関わらず、どのシングルもチャートは伸び悩みました。
アルバムチャートも前作の16位から、今作は49位と大きく沈み込んでいます。
世間は厳しいものですね。
変に方向性を変えると、バンドは変わったと批判されると思いきや、今回のように同じ方向性で進むと、あっさり飽きられてしまうのです。
ほんと、アーティストとは大変な稼業だと思わざるを得ません。

 

しかし、チャートは目安に過ぎないのも事実でしょう。

 

現に僕のようにこの路線を愛する人たちもいるのです。
そのような人にとって、このアルバムは80年代サウンドのフレーヴァーを持った、捨て曲なしの優れたロックアルバムなのです。

 

焼き直し、とかマンネリとかそんな評価に耳を傾ける必要はありません。

 

ただ、キャッチーでメロディアスで心地よいロックサウンドを2作続けて聴けたことに僕は感謝したいと思います。

チャート、セールス資料

1986年リリース

アーティスト:SURVIVOR(サバイバー)

6thアルバム、WHEN SECONDS COUNT(ホエン・セカンズ・カウント)

ビルボード誌アルバムチャート第49位 アメリカで50万枚のセールス

1stシングル IS THIS LOVE(イズ・ディス・ラヴ) ビルボード誌シングルチャート第9位

2ndシングル HOW MUCH LOVE(ハウ・マッチ・ラヴ) シングルチャート第51位

3rdシングル MAN AGAINST THE WORLD(マン・アゲンスト・ザ・ワールド) シングルチャート第86位




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