水樹奈々さん 声優活動20周年
奈々さんは、1997年、プレイステーション用のゲームである「NOeL 〜La neige〜」の門倉千紗都役で声優活動を始めている。
本来歌手を目指していて、堀越高等学校芸能活動コースに所属していたのであるが、同時に興味のあった声優のほうで先に世に出たのである。
それから早20年。
その後歌手としても、声優としても、押しも押されぬトップアーティストの一人となった奈々さんであるが、いまだにその勢いは衰えてません。
この20周年の2017年の7(奈々)の月、アニメの主題歌のシングルを2枚同時リリースする運びになりました。
そのうちの一つが、今日ご紹介するDestiny’s Preludeです。
Tr.1 Destiny’s Prelude
作詞:水樹奈々
作曲:加藤裕介
編曲:加藤裕介
「なのは」シリーズの楽曲について
この曲は劇場版「魔法少女リリカルなのは Reflection」の主題歌である。
奈々さんはこの「なのは」シリーズには2004年以来、フェイト・テスタロッサ、もしくはフェイト・T・ハラオウン(養子になって名前が変わった)役として出演し続けている。
アニメは、無印とも言われる第一期、A’s、StrikerS、ViVidの4作品に出演。
映画では、The MOVIE 1st、The MOVIE 2nd A’sの2作に、この夏(2017年)公開のReflection、2018年にはDetonationが公開予定、と大人気のシリーズである。
そして、声優として出演を続けるかたわら、主題歌や挿入歌でも奈々さんはこの作品に大きく関わっている。
無印(2004年)
主題歌:innocent starter(オリコン第9位)
挿入歌:Take a shot
A’s(2005年)
主題歌:ETERNAL BLAZE(第2位)
挿入歌:BRAVE PHOENIX
StrikerS(2007年)
主題歌:前半SECRET AMBITION(第2位)、後半MASSIVE WONDERS(第4位)
挿入歌:Pray
The MOVIE 1st(2010年)
主題歌:PHANTOM MINDS(第1位)
挿入歌:Don’t be long
The MOVIE 2nd A’s(2012年)
主題歌:BRIGHT STREAM(第2位)
挿入歌:Sacred Force
ViVid(2015年)
主題歌:Angel Blossom(第4位)
こうして並べて見ると壮観ではないでしょうか。
見てお分かりのとおり、そうそうたる楽曲が揃っています。
無印の主題歌、innocent starterは彼女自身初のトップ10ヒットとなった曲です。
「始まり」を歌った歌であるが、実際彼女自身の声優アーティストとしての快進撃の始まりとなった曲でもあると言えます。
A’sのETERNAL BLAZEはついにオリコンウィークリー第2位へと上り、ダウンタウンの「HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP」にゲスト出演。
これまでの声優の個人名義楽曲での最高位は林原めぐみさんのNorthern lights(第3位)だったが、その記録を更新。
そしてついにThe MOVIE 1stのPHANTOM MINDSは、声優初のオリコンウィークリーNo.1を獲得するのである。
まさに「なのは」シリーズと奈々さんの快進撃は切っても切れない関係があるのである。
チャート抜きに考えても、「なのは」シリーズの楽曲に捨て曲はない。
どれも、奈々さんの楽曲を代表できるクオリティを持った素晴らしい曲ばかりだ。
そして、今回劇場版「魔法少女リリカルなのは Reflection」の主題歌としてDestiny’s Preludeがリリースされたわけです。
こんな歴史のあるシリーズの主題歌だけに気合が入るのも当然でしょう。
Destiny’s Preludeの作曲について
作曲は加藤裕介さん。
奈々さんの作品では、禁断のレジスタンスや天空のカナリアなどでおなじみの作曲家だ。
しかし、この曲が出来るまでに紆余曲折があったらしい。
発売記念のニコ生で鷲崎健さんのインタビューに答えて、曲選定についてこう語っている。
去年からデモテープをたくさんの制作会社さんや作家さんにオファーしていて、ほんとにたくさん集まったんですよ。
その中で、「なのは」の曲というと、わたしのなかでは母性が感じられる曲、
なのはたちって無償の愛を注ぎ続けるほんとに健気な子達なんです。ある意味ちょっと悟りを開いたような9歳児(笑)、すごいんです。
なので、「なのは」曲って言うのはただ強いだけじゃなくて、いろんなことを経て知った強さ、優しさ、愛が感じられるものでないと、と思って、
いい曲もたくさんあったんですけど、なかなかこれだ!っというのに出会えなくって、
でも実はたくさんあったデモの中で、加藤さんの曲がイメージが近い曲だったので、加藤さんにもう一度イメージを詳細にお伝えして、ゼロから組み立てなおしていただいたんです。修正ではなくて、もう一回その意味を踏まえて、こんなストーリーでこうやってああやってもっとこうしたい、って具体的なイメージをお伝えして、もう一回お願いできませんか、ってすごい失礼を承知の上でお願いをしたんです。
(そしたら、イメージどおりのものが)キターーーーー!って感じですよ。
これだーーーーー!
三島さんからLINEが来て、「お奈々、キターーーーー!!!!!!!」って。
大興奮のLINEが来たので。
LINEのくだりで、インタビュアーの鷲崎さんから、「やりとりが若いですね」、って突っ込まれて苦笑いしてたのがかなりウケました。
曲選びでなかなかこんなやり方するのは普通はないらしいけど、イメージどおりのものを作りたいという強い気持ちが表れてますね。
でも、こんな結構具体的にイメージを伝えたって言っても、それをメロディに変えるってのは簡単じゃないはず。
その期待に応えた加藤さんもやはりその道のプロだってことでしょうね。
Destiny’s Preludeの作詩について
さて、いい曲がゲットできたところで、作詞に関して。
この「なのは」シリーズの主題歌は全曲、奈々さんによる作詞である。
他の多くの作家さんに負けず劣らずの良い詩を書けてると僕は思います。
というわけで、今回も当然のように奈々さんは作詞に取り掛かるわけですが、その辺もニコ生で語ってます。
鷲崎:曲もイメージ通りのがきたから、じゃあ、詩に関してはすごく速いの?
奈々:これがっ、これがっ、もう~大変だったんですよ。
鷲崎:せっかくそんなイメージどおりのがきたのに。
奈々:そう、そうなんですよ。
曲は2月くらいに出来上がって、ワンコーラスだったんですけど、そこからフルコーラスに仕上げていただいてる間に、作詞に入ろうと思ったんですけど。
わたし、ジパングツアー(NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017 全14公演 1/7~3/12)で爆走中だったんで。鷲崎:ああ、忙しくて。
奈々:いやいや、そうじゃなくって、「なのは」のアフレコをした後に集中して書いたほうがより、気持ちが入ると思ったんですよ。
で、ちょうどさいたまスーパーアリーナの2DAYS(ジパングツアーのラスト)が終わったら「なのは」の収録だったので、アフレコして、で、気持ちをガッと入れて、さあそっから、と思ったら、すぐ出雲大社公演(4月2日)があって。鷲崎:そんなん去年からわかってたでしょ(笑)。
奈々:いや、わかってたんですけど~。
でもセットリストを全部変えてやろう!みたいな話で、ちょっとわたし、はりきっちゃったんです。(笑)
その結果準備の期間がほんと、ちょっとしかなくて、じゃあ、出雲大社に行って全部曲を奉納し終えたらご褒美がもらえるかもしれない、っていうある意味神頼みにかけました。
それで2週間ん~~ってうなってできた、そんな曲ですよ。
相変わらず破天荒な生き方してますね~奈々さん。
やらなければいけないこと(今回は作詞)が先にあっても、まず目の前のことに全力投球、決して手を抜かない、彼女のプロフェッショナルな面が垣間見えるインタビューですね。
そしてそこまで一つ一つ力を込めるのは、全てファンの皆さんを喜ばせたい、というところがまた素晴らしいです。
例えば、出雲大社公演は、ジパングツアーのセットリストをちょっといじるくらいでも誰も文句言わないだろうけど、「大きく変えたらみんな驚くだろうな」、というサプライズ好きな奈々さんならではですね。
あと、ツアーのスタッフ、とりわけバンドメンバーがそのような注文にフレキシブルに対応できる能力があるってのも、奈々さんのやりたいことを支援してると思いますね。
チェリーボーイズ(奈々さんのライヴでのバックバンドの名前)の皆さんは大変だったでしょうけど、間違いなくファンを喜ばせる良いライヴになったに違いありません。
楽曲Destiny’s Preludeについて
というわけで、やっと楽曲Destiny’s Preludeの話に入ります。
最近の奈々さんのこの手の楽曲は、ちょっと聴いただけではなかなか価値が評価しにくいものとなってます。
正直言って、一度聴いただけでは、惹きこまれないちょっと難しい楽曲です。
アニソンの多くが、その世界観で作ってあるので、なかなか一般受けしにくいのはそういうところに理由があるのかもしれません。
しかし、繰り返し聴くと、歌詞の世界とあいまって、楽曲の優れた部分がするめのようにじわじわと目立ってきます。
全体が良くわかると、本当によさが際立ってくるわけです。
やはり、サビの裏声が際立ってますね。
そして、安定のビブラート。
また曲調も、最初の「なのは」主題歌のinnocent starterからするとすごく激しくなってきてますが、やはりシンフォギアの激しさとは違いますね。
インタビューでも母性や愛を意識してると言っておられましたが、その辺はやはりよくよく考え抜いて作られてるんだな、と思います。
ただ、7月23日のCOUNT DOWN TVでこの曲を披露されていましたが、約2分に端折られてて、初めて奈々さんを見る人に良さを伝えるのは無理かな、って思えました。
やはり奈々さんの曲はフルコーラスで聴いてこその楽曲ですし、先ほども述べたように何度か聴かないとちょっと理解しにくい面もあって、なかなか一般層に訴えるのは難しそうです。
でも、いろんなTVに出るのは効果的だと思います。
共演する人たちつながりで顔が売れますし、別の共演機会も生まれます。
出来るだけTVには出続けて欲しいと思います。
余計なことかもしれませんが、僕は奈々さんの歌はカラオケで歌います。
僕は高い声が出なくて、B’zやMr.Childrenはキーを3つ落としてもぎりぎりくらいの声の持ち主です。
こんな僕の場合、カラオケのキーコントロールで「オク下+4」つまり4つキーを上げて、1オクターヴ下で歌うと、非常に気持ちよく奈々さんの歌を歌えることに一昨年気付きました。
それ以来奈々さんの楽曲はほとんど歌ってきました。
今回のDestiny’s Preludeも難しくてメロディを覚えるのが大変な難曲になってますが、それだけに、上手く歌えたときの爽快感はたまらないでしょう。
チャレンジングな楽曲、原曲キーで歌うのが難しい場合、キーコントロールをうまく使って楽しく奈々さんを歌いましょう。
Tr.2 Invisible Heat
作詞 : 岩里祐穂
作曲 : 丸山真由子
編曲 : 清水武仁
2曲目は、劇場版アニメ「魔法少女リリカルなのは Reflection」の挿入歌である。
作詞の岩里祐穂さんは数多くのアイドルやアニソンに詩を提供している作詞家だ。
代表作としては今井美樹さんのPIECE OF MY WISHが超有名だ。
かなり経歴の長い作詞家さんでいらっしゃるようです。
奈々さんがらみでいうと、2016年のアルバムNEOGENE CREATION収録の「はつ恋」に詩を提供しておられる。
「はつ恋」では吉木絵里子さんの素晴らしい曲にのって、少し古風な感じの世界を表現してくれています。
今回は「なのは」の挿入歌ということで、生きるための戦いがメインではあるものの、その中で互いに持っているInvisible Heat(見えないぬくもり)によって守られている、といったやはりキズナを描いた歌世界になっているようです。
作曲の丸山真由子さんも近年、作詞作曲でアニソンやアイドルに楽曲を提供している方です。
i☆RisやClariSなどへの提供が非常に多いのを初め、ジャニーズや48グループ、AAAなど、数多くの作品に楽曲を提供してます。
奈々さんとからむのは今回が初めてのようです。
そういう意味では新鮮な作詞作曲コンビですが、とてもいい曲を作ってくれました。
今までの水樹節も引き継ぎつつも、フレッシュな感覚も味わえます。
何と言っても、サビの疾走感は非常に気持ちいいですね。
「なのは」シリーズに新たな名曲が並びました。
Tr.3 Poison Lily
作詞:しほり
作曲:横山直弘(感覚ピエロ)
編曲:藤永龍太郎(Elements Garden)
作詞のしほりさんはもう、奈々さん御用達の作家の一人ですね。
自らも歌うシンガーソングライターで、多くの詩や曲を様々なアーティストに提供もしています。
奈々さんがらみでも多くの作品を提供してます。
作詞作曲:沈黙の果実、Dear Dream、星屑シンフォニー、ミュステリオン。
作詞のみ:アンティフォーナ、WAKE UP THE SOULS、Glorious Break、コイウタ。、Ladyspiker。
作曲のみ:Sacred Force。
結構個性の強いトンデモソングから、とても素敵な乙女な楽曲までかなり幅広い音楽性を持っておられる方のようですね。
今回は彼女のトンデモの部分が炸裂した、黒奈々仕様の詩を紡いでくださいました。
作曲の横山直弘さんとは、感覚ピエロというインディーズのロックバンドのギターヴォーカルです。
こんなバンド全く知らなかったのですが、日テレの日曜ドラマ「ゆとりですがなにか」に、楽曲「拝啓、いつかの君へ」を提供するなど、今すごく注目されているバンドのようです。
奈々さんのもとには結構こうした若い才能もよってくるのですが、今回もそうした目玉の一つと言えるでしょう。
長くやっていくとマンネリ化を避けるのは難しくなってきますが、こうした若手の活用は互いにとっていい刺激になり、とても有効だと思います。
楽曲はエレキのリフの鋭い、かっこいいバンドサウンドです。
こちらも、なかなかノリが良く、早く歌いたくなる楽曲ですね。
また、奈々さんの低音の魅力もたっぷりで、大人な楽曲になってます。
しかし、「なのは」の主題歌と挿入歌の2曲があれば、後はその2曲のインストゥルメンタルをつければとりあえずシングルの出来上がりってのが普通です。
そこをあえてインストをいれずに、もう一曲新曲を入れてくるところが奈々さんらしいですね。
それも、勢いのある「なのは」2曲の後の3曲目は普通ならしっとりと来そうなものですが、そこもあえて外してきます。
3曲目にこんな攻撃的な楽曲を入れるアーティストはなかなかないでしょう。
いや、矢沢さんが言いそうです、「攻めてるね、奈々さん」。
ミュージカルBeautifulでの奈々さんの新たな挑戦
それはさておき、シングルも多くのアーティストが初回限定盤と通常盤と分けてリリースして売り上げを伸ばそうとしますが、奈々さんはあまりそうした傾向が見られません。
PVも小出しに商売の道具で使うのではなく、NANA CLIPSとして、大きなおまけを付けて不定期にリリースしてくれます。
さらに言えば、CDは通常盤のみでワンプライス税抜き1,111円ですよ。
いまどき3曲入れてこの金額はなかなかないでしょう。
やはり、奈々さんはいろんな意味で攻め続けています。
今はミュージカルに初挑戦しておられます。
キャロル・キングの半生を描いたBeautifulという作品で、帝国劇場で平原綾香さんとのダブルキャストで出演されてます。
これに関してニコ生でも少し語っておられます。
鷲崎:水樹さんが主演、世界的なシンガーソングライター、キャロル・キングの半生を描くという感動の物語、帝国劇場ミュージカルBeautifulが一週間後から上映されます。
会場:拍手
奈々:もう、今がんばってます、ぜひ見に来てください。
鷲崎:話聞いてびっくりしましたよ。うわあ、俺、知り合いがキャロル・キングになるんだって。
奈々:(笑)そうなんです。もうがんばってますよ、今。
鷲崎:聴いてたんですよね。(キャロル・キングの歌を)。
奈々:聴いてました、高校生のとき。タペストリー(キャロルの代表アルバム)も大好きだったから。
あれを歌う人になるっていう。鷲崎:そういう夢があったわけだ、すげー。
奈々:えっ、夢?というよりは本当に好きで聴いてた、という感じだったので、まさか自分が演じることになるとは全く思ってなかったから。
今ほんとにせりふ量がもう半端ないんです。鷲崎:そりゃそうだよー。主役でしょ、脇役ってことないでしょこれ。
会場:(爆笑)
奈々:歌で感情を表現するミュージカルと違って、もうすでに出てるポップス、
この曲が生まれたときにはこういうことがありました、という説明が常に展開されていくんで、基本的にセリフなんです。
セリフの後に歌、っていう感じなんで、本当に難しいんです。鷲崎:しかも自分がやったことのないことへのチャレンジもありますんで大変だと思いますし。
ぜひがんばってください。
ほんとに水樹さんはチャレンジャーで、これまでいろんなことに挑戦してこられました。
なんか、ここまで人生を充実して楽しんでいる人は少ないんじゃないでしょうか。
ほんと、僕は彼女を尊敬の念で見ています。
尊敬すると共に、応援してます。
これからも良い作品を作り続けて欲しいものです。
ちなみにこのニコ生中に、NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU×出雲大社御奉納公演 〜月花之宴〜のブルーレイ&DVDの発売決定が発表されました。
11月15日リリースのこのライヴはブルーレイは4枚組、DVDなら6枚組の大作です。
これまでの全ライヴ作品見て来ましたが、一枚も外れはありませんでした。
間違いなく素晴らしいライヴが収められてるに違いありません。
ぜひともご予約をお忘れないようにおすすめしたいと思います。