ポップハードロックの雄  NIGHT RANGER - DAWN PATROL(緊急指令N.R.)

NIGHT RANGERのデビューアルバム DAWN PATROL(緊急指令N.R.)





NIGHT RANGER(ナイト・レンジャー)の2枚目のアルバム、MIDNIGHT MADNESS(ミッドナイト・マッドネス)強烈なインパクトを受けた僕は当然のように彼らのデビュー作に目を向けました。
1982年発売のDAWN PATROL(緊急指令N.R.)です。

 

CDのライナーノーツにはこんな言葉が。

夜の暗闇を破り、東の空から太陽が上がってくる。
今’83年の曙に姿を現した奇襲攻撃部隊、5人の強者たちは自らをナイト・レンジャーと名付けた。

アルバムの邦題といい、この宣伝文句といい、とかく日本におけるHM/HR業界は大げさなのである。
なので、僕はあまり気にせず、演奏に注目することにしています。

 

ミッドナイト・マッドネスの記事で紹介したメンバー5人のうちの3人、ジャック・ブレイズとブラッド・ギルス、ケリー・ケイギーは、1977年に結成されたRUBICON(ルビコン)というファンクバンドで共にプレイしていました。
1979年のルビコン解散後、この3人はSTEREOというハードロックトリオを結成し、よりロック色の強いサウンドを目指します。
そこに、1980年、元MONTROSE(モントローズ)のキーボーディスト、アラン・フィッツジェラルドが加入。
加えて、アランの友人であり、既に自分のバンドを持って活動していたジェフ・ワトソンが加わります。
その年の終わりまでに、この5人組のバンドはRANGER(レンジャー)と名前を変え、サミー・ヘイガーのライヴのオープニングアクトなどで活動を始めています。

 

途中、ランディ・ローズの事故死によって空いた穴を埋めるため、ブラッド・ギルスは脱退し、オジー・オズボーンバンドに参加しますが、レコード契約を機に復帰。
こうしてバンドは、ファーストアルバムの製作にとりかかることになりました。

 

しかし、アルバムが出荷直前までいっていたときに、The Rangersというカントリーバンドがあることが発覚、そのため、既にアルバムのうちの一曲となっていたNIGHT RANGERにちなんで、その名前に変更されました。
出荷直前のアルバムは廃棄されたそうです。

 

では、1982年リリースの、NIGHT RANGER(ナイト・レンジャー)のデビュー・アルバム、DAWN PATROL(緊急指令N.R.)をご紹介したいと思います。

DAWN PATROL(緊急指令N.R.)の楽曲紹介

オープニングはDON’T TELL ME YOU LOVE ME(ドント・テル・ミー・ユー・ラヴ・ミー)。

 

これはキャッチーでポップなハードロックです。
この曲をナイト・レンジャーの代表曲としてあげる人は少なくありません。
見事にバンドの方向性を示している楽曲です。
二人のギタリストによるかっこいいリフは当然のこと、ギターソロも秀逸です。
長いギターソロでは、前半はアーミングを多用して抑揚あるメロディをかなでるブラッド・ギルス
後半は、早弾きフレーズで圧倒するジェフ・ワトソン
この二人の個性を生かしながら楽曲を組み立てるバンドの形はこの最初の一曲から定まっていますね。
またコーラスも爽快であるし、キーボードも適度に楽曲を色づけています。

 

確かにデビュー曲としては文句なしの名曲となっています。
この曲は世界のギターキッズに大きな影響を与えた曲の一つと言えるでしょう。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートでは第40位ですが、同誌Mainstream Rockチャートでは第4位をマークしています。

 

2曲目はSING ME AWAY(シング・ミー・アウェイ)。

 

これもポップでキャッチーだ。
イントロのギターのリフが爽快でかっこいいです。
16分のリズムにのせたブラッシングを交えたリフは、まさに80年代に流行ったリフですね。
見事にそれを楽曲にうまく取り入れて軽快さを取り入れています。
爽やかなサビや後半のギターコーラスなど、気持ちの良い楽曲に仕上がっています。

 

これはアルバムからの2ndシングルとしてリリースされ、シングルチャートでは第54位、Mainstream Rockチャートでは第39位を記録しています。

 

3曲目は、AT NIGHT SHE SLEEPS(アット・ナイト・シー・スリープス)。

 

これもポップなロックナンバーになってます。
ドラマーケリーの熱いヴォーカルが楽しめます。
ちょっと地味ではありますが、ギターソロがなかなか熱いです。
ブラッドが弾きまくり、後半は得意のアーミングで仕上げてます。
キーボードソロがもろエイティーズって感じの、典型的なポップロックになってますね。

 

4曲目はCALL MY NAME( コール・マイ・ネーム)。

 

アルバム唯一のバラードになっています
ピアノで始まるこの曲は哀愁漂う展開で、サビのコーラスは非常に美しいですね。
また、ギターソロがコンパクトですが熱いです。
間奏でのサイレンなどのSEはなぜに??って感じではあるが、最後はピアノと共に美しく歌い終わります。

 

A面ラストは、EDDIE’S COMIN’ OUT TONIGHT(エディーズ・カミン・アウト・トゥナイト)。

 

この曲ではギターの魅力がたっぷり楽しめる楽曲になっています。
イントロのリフはハードで非常にかっこいいものになっています。
またギターソロも聴き所たっぷりです。
後半のソロの掛け合いがたまりません。
ツインリードの魅力を凝縮したハモリプレイは相当なハイレベルのものになっていますね。

 

B面1曲目はCAN’T FIND ME A THRILL(キャント・ファインド・ミー・ア・スリル)。

 

ギターは結構ハードなリフですが、歌メロはキャッチーでポップです。
また、ギターソロではジェフの早弾きプレイを堪能できます。
決して速弾きに適しているわけではないレスポールを使ってますが、ジェフはものともせずに弾きまくってます。
やはり、ブラッドとジェフのギタリストとしてのキャラクターの違いがはっきりわかるソロとなっていますね。

 

2曲目はYOUNG GIRL IN LOVE(ヤング・ガール・イン・ラヴ)。

 

文句なく陽気なアメリカンポップロックと言えるでしょう。
メロディーはキャッチーそのままだし、サビのコーラスも爽快です。
ただただ明るく楽しいアメリカンな楽曲だ。
ドライヴのお供に欠かせないノリノリの楽曲ですね。
西海岸のバンドでしか出せないに違いない、底抜けの明るさがあり、聴いてハッピーにしてくれます。

 

3曲目はPLAY ROUGH (プレイ・ラフ)。

 

これもミディアムテンポのポップロックナンバーです。
ギターのリフは少しヘヴィではあるが、彼らのヴォーカルとコーラスが入れば、やはり聞きやすいキャッチーなロックソングに変わります。
タイトルからして、もうちょっとハードな楽曲を想像したが、そうでもありませんでした。
しかし、ギターリフ中心の楽曲であり、十分にかっこいいです。
ギターソロはジェフで、しっかり弾きまくってます。
アウトロでのギタープレイはブラッド。
これががなかなか聴き所
がありますが、ちょっと短いですね。
もう少し長く聞きたかったかも。

 

4曲目はPENNY(ペニー)。

 

イントロのギターリフが印象的なロックナンバーです。
全編に渡ってギターリフがクールになってます。
その上にコーラスが乗る、ナイト・レンジャーお得意の楽曲です。
ギターソロがかっこいい。
アームダウンからアームアップ、クリケット奏法など、アームを多用したブラッドの特徴が詰め込まれた素晴らしいソロだと思います。

 

ラストが、NIGHT RANGER(ナイト・レンジャー)。

 

これはバンド名の由来ともなった楽曲です。
ゆったりした重いリズムでコーラスも美しい。
ただ、このまま終わると普通だが、後半はスピードアップ。
超高速疾走チューンへと早変わりします。
ギターソロも二人の掛け合いに最後はツインのハモリコーラス。
なかなか面白い展開になっていますね。
また最後は元のテンポへ戻り、ゆったりとアルバムは幕を下ろします。

まとめとおすすめポイント

1982年リリースの、NIGHT RANGER(ナイト・レンジャー)のデビュー・アルバム、DAWN PATROL(緊急指令N.R.)はビルボード誌アルバムチャートで第38位を記録します。

 

売り上げ的には大ヒットと言うわけにはいきませんでしたが、HM/HRの世界へ与えたインパクトは大きかったと思われます。

 

その理由の一つはやはり、優れた二人のギタリストによるツインギターということになるでしょう

 

キーボードのアラン・フィッツジェラルドは、「ロックンロールのソロ・ギターというと今のところエディ・ヴァン・ヘイレンだろう。それを超えるには、二人で、一人じゃ絶対出来ない音を作るしかないね。」と言っています。
まさに彼らはそれをやってのけたのです。

 

この二人のギタリスト、ブラッドとジェフのせめぎ合いと、また二人のヴォーカリスト、ジャックとケリーのハーモニーがナイト・レンジャーをナイト・レンジャーたるものとして確立していると言えるでしょう。
加えて、アランのキーボードセンスは、1980年代の流行にぴったりとはまっています。
さらに、ほとんどの曲で作曲もしくは共作としてクレジットされている、ジャック・ブレイズの優れたソングライターとしての才能も、バンドの飛躍に貢献しているに違いありません。

 

ポップなハードロックバンド、ナイト・レンジャーのデビューアルバム、DAWN PATROL(緊急指令N.R.)は、80年代サウンドを見事に吸収した優れたロックンロールアルバムの一つと言えるでしょう。

チャート、セールス資料

1982年リリース

アーティスト:NIGHT RANGER(ナイト・レンジャー)

1stアルバム、DAWN PATROL(緊急指令N.R.)

ビルボード誌アルバムチャート第38位

1stシングル DON’T TELL ME YOU LOVE ME(ドント・テル・ミー・ユー・ラヴ・ミー) ビルボード誌シングルチャート第40位、同誌Mainstream Rockチャート第4位

2ndシングル SING ME AWAY(シング・ミー・アウェイ) シングルチャート第54位、Mainstream Rockチャート第39位




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