サンフランシスコからの爽やかロック HUEY LEWIS & THE NEWS - SPORTS
HUEY LEWIS & THE NEWS(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)との出会い
最初に彼らの音にふれたのは、HEART AND SOUL(ハート・アンド・ソウル)がチャートを上がってきたときだ。
正統派のアメリカンロックサウンドに個性的なハスキーヴォイスのヴォーカル。
ヴォーカルは見るからにいい人だ。
加えて、FMラジオで、彼らの過去の曲DO YOU BELIEVE IN LOVE(ビリーヴ・イン・ラヴ)などを聴いて気に入った僕は、出たばかりのアルバム SPORTS(スポーツ)のLPを購入しました。
SPORTS(スポーツ)までのヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの歩み
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースは1980年にアルバムHUEY LEWIS & THE NEWS(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)でデビューしたサンフランシスコのバンドだ。
このバンドは、もともといろんなバンドで活躍していたミュージシャンが寄り集まって出来たバンドです。
1stアルバムではもう既に、彼らの個性である、ポップでコーラスやハーモニーの美しいロックンロールという形は確立されている。
チャートでは圏外だったようだが、爽やかなロックンロールアルバムとしての出来は決して悪くない。
1982年には2枚目のアルバムであるPICTURE THIS(ベイエリアの風)をリリース。
このアルバムからはDO YOU BELIEVE IN LOVE(ビリーヴ・イン・ラヴ)が全米第7位、HOPE YOU LOVE ME LIKE YOU SAY YOU DO(サンフランシスコ・ラヴ・ソング)が36位、WORKIN’ FOR A LIVIN’(ワーキン・フォー・リヴィン)が41位とスマッシュヒットを連発、アルバムは13位と大躍進。
アルバム自体のコンセプトや音楽性は変わらず、じわりと彼らの音楽が受け入れられてきたことをチャートは示している。
そのような上り調子の中、1983年に発表されたのが、このSPORTS(スポーツ)というアルバムだ。
今作もやはりポップなロックンロールを聴かせてくれる。
また、彼らの得意なコーラスハーモニーも健在だ。
今日は、1983年リリースの、HUEY LEWIS & THE NEWS(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)の3rdアルバム、SPORTS(スポーツ)をご紹介します。
SPORTS(スポーツ)の楽曲紹介
オープニングを飾るのはTHE HEART OF ROCK & ROLL(ハート・オブ・ロックンロール)。
これはまさに彼らの真骨頂ともいえる楽曲になっています。
イントロは心臓の鼓動から始まる。
これこそロックンロールの鼓動だ。
ヴォーカルの人の良さそうなHUEY LEWIS(ヒューイ・ルイス)は軽快に歌う。
そしてバンドも心地よいロックンロールを披露している。
サックスソロや、ホーンセクション、ブルースハープなどがいい味付けをしている。
エイティーズの流行の過剰演出は見られない。
シンプルに楽器演奏そのもので勝負してる感じが爽快だ。
この曲は、アルバムからの3rdシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第6位、Mainstream Rockチャートで第5位を記録しています。
2曲目はHEART AND SOUL(ハート・アンド・ソウル)。
僕が初めて聴いた曲がこの曲になります。
これも気持ちいいテンポのロックだ。
なんか、サンフランシスコのおやじさんたちが集まってバーでバンドをやってる感じがして好感が持てる。
アルバムの先行シングルのこの曲は、マイク・チャップマンとニッキー・チンという70年代から80年代にかけて活躍したヒットメイカーによる作品だ。
1981年にこの曲はEXILE(エグザイル)というアメリカのバンド(1963年以降活躍しているカントリーバンドで、恐らく日本のエグザイルとは無縁である)によってシングル化され、ビルボードのシングルチャート圏外に終わっている。
少し古めのアレンジの曲だったが、これを80年代のロック風にうまくリアレンジしてカバーしてみせた。
もともとの楽曲のよさと、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースによる新たな魅力が加わり、曲はヒットします。
この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、シングルチャートで第8位、Mainstream RockチャートでNo.1を獲得しています。
3曲目はBAD IS BAD(バッド・イズ・バッド)。
これはヒューイのけだるいヴォーカルと、メンバーのコーラスが掛け合う、雰囲気たっぷりの楽曲だ。
途中のハーモニカもいい味出している。
こういう曲を聴くと、やっぱり大人のバンドだな、って感じられます。
大人の余裕が感じられるゆったり楽しめる曲になっています。
A面最後4曲目は、I WANT A NEW DRUG(アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ)。
エレキギターのグリッサンド2発で始まる軽快なノリのロックンロールだ。
イントロのリフは非常に印象的で、曲中に繰り返し出てくるので、癖になるリズムだ。
サックスからエレキにつながる長いソロは一聴の価値があります。
曲の向こうに、楽しげに演奏するメンバーの姿が浮かぶようないい曲です。
ちなみに、翌年にRay Parker, Jr.(レイ・パーカー・ジュニア)のGhostbusters(ゴーストバスターズ)が大ヒット。
それを受けて、ヒューイはこの曲のギターリフを盗用した、つまりパクったとして訴訟を起こしている。
経緯としては、もともと映画「ゴーストバスターズ」の関係者からの、この曲を映画に使わせて欲しいという依頼をヒューイが断ったことが発端のようだ。
そのため、「ゴーストバスターズ」のスタッフがレイ・パーカー・ジュニアに、この曲と同じイメージで作るよう依頼したため、似た曲が出来上がった、ということのようである。
結局和解したようだが、僕に言わせれば、確かに似ているとは言え、これで盗作というなら、世の中にはゴマンと盗作があることになるだろう。
この曲はアルバムからの2ndシングルとしてカットされ、シングルチャートで第6位、Mainstream Rockチャートで第7位、Dance Club SongsチャートでNo.1を獲得しています。
B面1曲目は、WALKING ON A THIN LINE(ウォーキング・オン・ア・シン・ライン)。
少しシリアスなベースラインから入る楽曲です。
しかし、歌メロが始まると、いつもの彼らの楽曲だ。
内容がベトナム戦争の復員軍人について歌ってるものなので、少し深刻な雰囲気になっているようだが、彼らなりの楽曲でシリアスな内容をカバーしている。
この曲はアルバムからの5thシングルで、シングルチャートで第18位、Mainstream Rockチャートで第16位を記録しています。
2曲目はFINALLY FOUND A HOME(君のもとへ)。
これも少しシリアスな感じではじまります。
それでもサビはやはりキャッチーでコーラスも加わって爽やかだ。
重めの曲でも、彼らにかかれば爽快なポップソングに変わるのだ。
3曲目はIF THIS IS IT(いつも夢見て)。
なんとも爽やかなギターソロで始まります。
ゆったりと気持ちよいリズムで、いつものコーラスワークも冴えわたってます。
PVではビーチでの映像が使われていたけど、まさに海で聴くのにピッタリな楽曲です。
この曲で要注目なのは、エレキギターのメロディでしょう。
イントロだけでなく、ギターソロも、アウトロのソロも楽曲に合った完璧なメロディになってます。
これは80年代を代表する楽曲の一つとして認定したい、とともにビーチに持っていきたい曲としても認定必須です。
この曲はアルバムからの4thシングルとしてカットされ、シングルチャートで第6位、Mainstream Rockチャートで第19位、 Adult Contemporaryチャートで第5位を獲得しています。
4曲目はYOU CRACK ME UP(ユー・クラック・ミー・アップ)。
これも彼らの魅力の詰まったノリのいいロックンロールだ。
この辺は1作目からぶれてません。
爽快なロックンロールを聴きたいなら、ヒューイ・ルイスで決まりでしょう。
アルバムラストはHONKY TONK BLUES(ホンキー・トンク・ブルース)。
これはハンク・ウィリアムズというカントリーシンガーの1952年のヒット曲のカヴァーとなっています。
原曲はかなりスローな曲で、ウェスタンでカントリーな味わいの楽曲だ。
彼らはそれを、彼らの音楽性に改良し、アップテンポなロックンロールにして、この古い曲を現代に蘇らせてみせました。
楽しくてノリのいいアルバムはここで終わりを迎えます。
まとめとおすすめポイント
1983年リリースの、HUEY LEWIS & THE NEWS(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)の3rdアルバム、SPORTS(スポーツ)はビルボード誌アルバムチャートNo.1を獲得、アメリカだけで700万枚を売り上げます。
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースは前作で市民権を得て、ついにこのアルバムで大ブレイクを果たすことに成功したのです。
シングルは5曲がTOP20に入り、そのうち4曲がTOP10入りです。
そのような複数のシングルヒットもあって、アルバムSPORTS(スポーツ)はビルボード誌アルバムチャートで第1位を獲得してます。
この年の年間チャートではマイケル・ジャクソンのスリラーに続く第2位という快挙も達成しています。
ついにヒューイ・ルイス&ザ・ニュースはトップバンドの仲間入りを果たしました。
このヒットの要因はやはり彼らのブレないロックンロールという音楽性が挙げられるでしょう。
やはりみんなロックンロールが好きなのです。
そしてさらに多くの要素がその基盤の上に乗っかっています。
ハスキーなヒューイの声はとても魅力的です。
また、加えてルックスもとてもいい人のように見えます。
さらに美しく爽やかなコーラスワークもバンドを印象付ける強力な武器になっています。
またバンドとしてのクオリティも高い。
特にエレキは大事なところで曲にあった見事なリフやメロディを紡いでいます。
さらにサックスやハーモニカ、ホーンセクションなど、楽器そのもので曲を飾っています。
エイティーズの楽曲は大抵オーバープロデュース、過剰な味付けで特徴付けられるものが多い中、彼らは、楽器そのものでシンプルにロックンロールを聴かせてくれているのです。
その辺が、きらびやかな80年代にあって、逆に目立って多くの人に愛されたのではないでしょうか。
シンプルに、演奏をしっかり聴かせてくれる、そのようなロックンロールバンドを望む方には大変おすすめなアルバムとなっています。
チャート、セールス資料
1983年リリース
アーティスト:HUEY LEWIS & THE NEWS(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)
3rdアルバム、SPORTS(スポーツ)
ビルボード誌アルバムチャートNo.1 アメリカで700万枚のセールス
1stシングル HEART AND SOUL(ハート・アンド・ソウル) ビルボード誌シングルチャート第8位、Mainstream RockチャートNo.1
2ndシングル I WANT A NEW DRUG(アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ) シングルチャート第6位、Mainstream Rockチャート第7位、Dance Club SongsチャートNo.1
3rdシングル THE HEART OF ROCK & ROLL(ハート・オブ・ロックンロール) シングルチャートで第6位、Mainstream Rockチャートで第5位
4thシングル IF THIS IS IT(いつも夢見て) シングルチャートで第6位、Mainstream Rockチャート第19位、 Adult Contemporaryチャート第5位
5thシングル WALKING ON A THIN LINE(ウォーキング・オン・ア・シン・ライン) シングルチャートで第18位、Mainstream Rockチャートで第16位
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