切れ味鋭いハードロック  FOREIGNER - AGENT PROVOCATEUR

FOREIGNER(フォリナー)との出会い





WAITING FOR A GIRL LIKE YOU(ガール・ライク・ユー)という1981年のシングルを友達に勧められて聴いたのがFOREIGNER(フォリナー)との出会いということになります。
この曲は10週連続第2位という悲劇の楽曲として有名だったらしいです。
1位になれなかったとはいえ、10週も2位に居座ると言うのも逆にもっと難しいのかもしれませんね。
果たして、そんな楽曲をラジオでエアチェックして聴くことになりましたが、こりゃ名曲だ。
友達はめちゃくちゃいい曲だ、と言ってたが、確かにそうでした。
そのとき初めてフォリナーを認識したのです。

 

それからしばらくして、ついに新作の情報が。

 

アルバム発表の先行シングルが上がってきました。
I WANT TO KNOW WHAT LOVE IS(アイ・ウォナ・ノウ)だ。
これはガール・ライク・ユーに負けず劣らずいい曲でした。

 

一気に気に入った僕は彼らのニューアルバムをカセットに収め、聴き始めました。
それは非常に爽快でエッジの聴いたハードロックアルバムで、またお気に入りのバンドが増える結果となったのです。

 

では今日は、1984年リリース、FOREIGNER(フォリナー)の5thアルバム、AGENT PROVOCATEUR(プロヴォカトゥール)をご紹介したいと思います。

AGENT PROVOCATEUR(プロヴォカトゥール)の楽曲紹介

オープニングを飾るのは、TOOTH AND NAIL(トゥース・アンド・ネイル)。

 

いきなり飛び込んできたのは、キレッキレのハードロックでした。
フォリナーの中心人物であるMick Jones(ミック・ジョーンズ)のギターのリフが切り裂くようにシャープでかっこいいです。
それにのっかるヴォーカルのLou Gramm(ルー・グラム)の声がハードロックによくあう素晴らしい声ですね。
ガール・ライク・ユーやアイ・ウォナ・ノウしか知らない状態でこのアルバムを聴き始めたのだから、そりゃもううれしい誤算でした。
ハードロックをこよなく愛する僕なので、一曲目から一発で気に入ってしまったのです。
このアルバムは期待が持てると直感しました。

 

2曲目はTHAT WAS YESTERDAY(イエスタデイ)。

 

イントロのキーボードが始まった瞬間、いやいや、これは僕の好みど真ん中やない?と思いましたね。
エイティーズのあのサウンドです。
シンセがキラキラしている、そして僕の好きなミドルテンポの楽曲。
この曲はめっちゃキャッチーな楽曲になっています。
すこしシリアスな雰囲気があるますが、その雰囲気にもルーのヴォーカルはぴたりとはまっています。

 

この曲は2ndシングルとしてカットされ、ビルボード誌シングルチャートで第12位、Mainstream Rockチャートで第4位、Adult Contemporaryチャートで第24位を記録しています。

 

3曲目はI WANT TO KNOW WHAT LOVE IS(アイ・ウォナ・ノウ)。

 

素晴らしいバラード曲です。
この曲は僕が思うに、前回のガール・ライク・ユーが10週連続2位だったことの雪辱を晴らすため、1位を狙ってきた楽曲ではないでしょうか。
静かなイントロ、やわらかいシンセの音色にずっと包まれたまま淡々と曲は続きます。
ルーも声を抑えて静かに歌い上げて行きます。
するとBメロに入ると、ルーの歌は強い感情を帯び、サビへ向かって曲を盛り上げて行きます。
そして感動のサビだ。
ルーの歌声とともにコーラスが美しい。
もちろんメロディも一級品です。

 

この素晴らしい展開だけで、これは名曲だと誰もが納得できるに違いない素晴らしい出来になっていますね。
これだけでも1位をつかむに十分な優れた楽曲だったに違いありません。
しかし、彼らはとどめとしてなんと2回目のサビからは聖歌隊を交えてのコーラスを加えたのです。
ルーだけでもエモーショナルなヴォーカルを披露しているのだが、それに聖歌隊を加えることで、いっそう曲の感動が増すことになりました。
そして、結果として、彼らの初のそして唯一の全米No.1を獲得するのです。
狙ったからといって、誰でも全米No.1を取れるわけではありません。
しかし、僕の予想では、確かに彼らは狙って獲得したのだ。

 

この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、シングルチャートでNo.1、Mainstream RockチャートでもNo.1、Adult Contemporaryチャートで第3位を記録しました。

 

4曲目はGROWING UP THE HARD WAY(グローイング・アップ)。

 

この曲は少しハードながらも、シンセが曲を包んでいて聴きやすい楽曲になっています。
この曲もサビ前からサビへの流れが非常にキャッチーです。
でもサバイバーほどメロウではありません。
フォリナーはハードロックバンドとしての切れ味を保ったままキャッチーな楽曲をプレイしているのです。
その辺が他の似たようなバンドと一線を画している部分ではないでしょうか。

 

A面ラスト5曲目はREACTION TO ACTION(リアクション・トゥ・アクション)。

 

ここでは、超かっこいいハードロックを聴かせてくれてます。
この曲もミックのエレキギターがキレたリフを刻んでいます。
そしてルーもこういうハードロックを歌わせると実にうまいです。
僕は大好きな楽曲ですね。
そして彼らも気に入っていたのか、まさかのシングルカット。
この辺がやはり、ただのメロウなバンドとは違うという彼らの主張が見える気がしてなりません。
普通は売れ線の曲をシングルにして、ヒットを狙うのが常套手段だと思いますが、この辺がフォリナーの独自性を高めているのだと思われます。
チャート的には予想通りそれほど振るいませんでしたが、僕は彼らの英断を支持したいと思うし、そう思っているファンも多いのではないでしょうか。

 

3rdシングルとしてカットされたこの曲はシングルチャートで第54位を記録しています。

 

B面1曲目はSTRANGER IN MY OWN HOUSE(ストレンジャー・イン・ハウス)。

 

この曲ははルーの雄叫びから始まります。
そして激しいギターリフに呼応するようにルーの搾り出すようなヴォーカル。
ゆったりした楽曲ですが、ソリッドなギターリフが楽曲を引き締め、ハードな仕上がりになっています。

 

2曲目はA LOVE IN VAIN(ラヴ・イン・ヴェイン)。

 

シンセのイントロが印象的な楽曲です。
少しシリアスで、影のある曲になっています。
シンセとギターのクリーントーンが曲を澄んだものにしています。
サビではその雰囲気をルーが見事に歌い上げている。
エイティーズらしいアレンジの施された、ドラマティックな楽曲である。
とてもいい曲です。

 

3曲目はDOWN ON LOVE(ダウン・オブ・ラヴ)。

 

バラードではありませんが、スローで心地よいナンバーです。
これもシンセがとても美しいです。
そしてルーの声は、どんな楽曲も彼のものに、つまりフォリナーのものにしてしまいます
こんな個性的な声を手にして、いい楽曲を作れるバンドは確かに強いと言えますね。。
ただ、アイ・ウォナ・ノウの印象が強烈過ぎて、少し地味に感じられるのは仕方がないでしょう。

 

この曲は4thシングルとしてカットされてシングルチャートで第54位を記録しました。

 

4曲目はTWO DIFFERENT WORLDS(トゥ・ディファレント・ワールズ)。

 

ここに来てもう一曲スローな楽曲です。
この曲も雰囲気たっぷりの楽曲になっています。
スローな前半から一転してのサビの盛り上がりもいい感じですね。
ただ、前曲からの流れで、静かな曲が多いなとちょっと感じてしまいましたね。
もちろん楽曲はいいんだけど、前半の勢いが少し弱まった感がちょっと感じられます。

 

ラスト5曲目はSHE’S TOO TOUGH(シーズ・トゥ・タフ)。

 

前の曲で感じた不安を払拭するハードなロックナンバーになっています。
もとのフォリナーに戻り、切れ味鋭いギターリフとルーのクールなヴォーカルを堪能できます。
ミックのギターソロもピッキングハーモニクスをふんだんに使い、曲に合ったラフなノリを演出していますね。
アルバムの最後にこの楽曲が入ることで、アルバム全体が引き締まって聴こえます
最後もすっきり終わるので、もう一回聴きたい、という気持ちにさせてくれます。
いい終わり方ですね。

まとめとおすすめポイント

1984年リリース、FOREIGNER(フォリナー)の5thアルバム、AGENT PROVOCATEUR(プロヴォカトゥール)はビルボード誌アルバムチャートで第4位を記録し、アメリカで300万枚を売り上げました。

 

全米No.1ソングのアイ・ウォナ・ノウも収められているし、そこそこ好評だったこのアルバム。
しかし、これまでの4枚のアルバムからすると、ハードな楽曲はあるものの、80年代サウンドを取り入れすぎて、ちょっと過剰なアレンジになったというのが旧来のファンの大方の見方のようです。
僕はこれはこれでエイティーズらしくていいと思うが、以前はもっとソリッドな、ハードロックバンドだったようなのです。
それが前作ガール・ライク・ユー以降のシングルではスロー、もしくはソフトな楽曲がヒットしています。
これを丸くなった、と受け取りがっかりしているファンもいるようなのです。

 

しかし、そうした流れを知らずに、初めてこのアルバムでフォリナーにふれた者として言わせてもらえば、僕は非常に良く出来たアルバムだと思います。
ハードなものもソフトなものも、ルーの個性的なヴォーカルがしっかりとバンドの個性としていいものを作り上げていると思えるわけです。
それに加えてミックの、決してハイテクではないものの、切れ味の鋭いギターリフが、バンドのかっこよさを引き上げています。

 

というわけで、僕はこのアルバムはフォリナーの代表作としてカウントしてもいいのではなかろうかと思う次第です。

 

ある意味いわゆるエイティーズサウンドである、このアルバムは誰もが楽しめるアルバムとなっていると思うので、多くの人にお勧めしたいと思います。

チャート、セールス資料

1984年リリース

アーティスト:FOREIGNER(フォリナー)

5thアルバム、AGENT PROVOCATEUR(プロヴォカトゥール)

ビルボード誌アルバムチャート第4位 アメリカで300万枚のセールス

1stシングル I WANT TO KNOW WHAT LOVE IS(アイ・ウォナ・ノウ) ビルボード誌シングルチャートNo.1、Mainstream RockチャートNo.1、Adult Contemporaryチャート第3位

2ndシングル THAT WAS YESTERDAY(イエスタデイ) シングルチャートで第12位、Mainstream Rockチャートで第4位、Adult Contemporaryチャートで第24位

3rdシングル REACTION TO ACTION(リアクション・トゥ・アクション) シングルチャートで第54位

4thシングル DOWN ON LOVE(ダウン・オブ・ラヴ) シングルチャートで第54位




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