渋かっこいい男のバラエティ豊かなアルバム DON HENLEY - BUILDING THE PERFECT BEAST
DON HENLEY(ドン・ヘンリー)との出会い
1984年、一曲の印象深い曲がチャートを上がってきた。
渋いモノクロのPVとともに、渋い歌声のポップソングだ。
男は、DON HENLEY(ドン・ヘンリー)、曲のタイトルはTHE BOYS OF SUMMER(ボーイズ・オブ・サマー)である。
EAGLESでの過去
調べてみると、彼は超有名なアメリカを代表するロックバンドのメンバーだったことがわかります。
EAGLES(イーグルス)だ。
イーグルスは、1971年から1982年という比較的短期間しか活動していない。
にもかかわらず、膨大なセールスを達成している。
トータルセールスは1億5000万枚を超えます。
これまで1億枚を超えるセールスを達成しているのはビートルズ、エルヴィス・プレスリー、ガース・ブルックス、レッド・ツェッペリンとこのイーグルスの5組だけだ。
それだけでも、とてつもないバンドだったことがわかるでしょう。
もう少し付け加えれば、6度のグラミー賞を受賞、5曲のNo.1ヒット、17曲のTOP40ヒット、そして6枚のNo.1アルバム、おまけにロックの殿堂入りも果たしています。
ドンはこのイーグルスの結成からの完全オリジナルメンバーで、ドラム、ヴォーカルそしてソングライターとしてこの偉大な成功に貢献した。
しかし、バンド内の不仲などもあり、1980年にはイーグルスは活動を停止、メンバーはそれぞれの道を歩むことになります。
ソロ活動スタート
ドンのソロキャリアのスタートは当時のガールフレンド、スティーヴィー・ニックスとのデュエット、LEATHER AND LACE(レザー・アンド・レース)だ。
アコースティックで素敵なこの曲は全米チャート第6位を記録しています。
そして1982年、自身のデビューアルバム、I CAN’T STAND STILL(アイ・キャント・スタンド・スティル)をリリース。
アルバムからの1stシングルJOHNNY CAN’T READは第42位、2ndシングルDIRTY LAUNDRYは4週連続第3位をマーク、3rdシングルI CAN’T STAND STILLは第48位となり、アルバム自体は第24位を記録しています。
そして、前作から2年で、2枚目のソロアルバムを発表します。
今日は、1984年リリースのDON HENLEY(ドン・ヘンリー)の2ndアルバム、BUILDING THE PERFECT BEAST(ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト)をご紹介します。
BUILDING THE PERFECT BEAST(ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト)の楽曲紹介
オープニングを飾るのは、THE BOYS OF SUMMER(ボーイズ・オブ・サマー)。
これは僕が初めてドン・ヘンリーを知ったあの曲、だ。
全編に渡って、エレキギターの音色が印象的に用いられています。
この爽やかなギターを披露しているのは、楽曲に共作者としてクレジットされている、Mike Campbell(マイク・キャンベル)だ。
マイクはTom Petty & The Heartbreakers(トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズ)のギタリストです。
ハートブレイカーズでは、主に土臭いギターをプレイしているが、この作品ではとてもおしゃれで洗練された音色を披露しています。
また、シンセではTOTOのSteve Porcaro(スティーブ・ポーカロ)がプレイしています。
そうした素敵な演奏の上に、ドンの個性的な素敵な歌声がのる極上のポップソングだ。
PVも全編モノクロで、楽曲にあったいい雰囲気をたたえています。
1985年のMTV VIDEO MUSIC AWARDSで、最優秀ビデオ賞を受賞しているのもうなずける素晴らしいビデオとなっています。
80年代を代表する楽曲の一つとして数えられる素晴らしい曲です。
この曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャートで第5位、同誌Mainstream RockチャートではNo.1、同誌Adult Contemporaryチャートでは第3位を獲得しています。
2曲目はYOU CAN’T MAKE LOVE(ユー・キャント・メイク・ラヴ)。
ゆったりしたリズムが心地よいポップソングです。
この曲にはFleetwood Mac(フリートウッド・マック)のLindsey Buckingham(リンジー・バッキンガム)がギターとバッキングヴォーカルで参加しています。
豪華なミュージシャンが集まっているのでクレジットを見るだけでも楽しめます。
3曲目はMAN WITH A MISSION(マン・ウィズ・ア・ミッション)。
ここで一転して、軽快なロックンロールになっています。
これには「もうひとりのイーグルス」とも言われていたJ.D. Souther(J.D.サウザー)が曲作りに参加しています。
またこの曲のコーラスハーモニーにはBelinda Carlisle(ベリンダ・カーライル)が加わっています。
ギターはCharlie Sexton(チャーリー・セクストン)がプレイしています。
彼らしいロックンロールフレーズになっていますね。
4曲目はYOU’RE NOT DRINKING ENOUGH(ユア・ノット・ドリンキング・イナフ)。
これはまたゆったりとした楽曲です。
これもシンセにスティーブ・ポーカロ、ピアノにはDavid Paich(デヴィッド・ペイチ)と、TOTOメンバーが参加している。
こういう叙情的な歌を歌わせると、ドンは見事にはまっている気がします。
5曲目はNOT ENOUGH LOVE IN THE WORLD(ノット・イナフ・ラヴ・イン・ザ・ワールド)。
ソフトなロックで気持ちよく聴けます。
wikiによると、これはドンのStevie Nicks(スティーヴィー・ニックス)との関係について歌った歌だとうわさされている、とあります。
二人が付き合ってたのは知られてますし、結局スティーヴィーは産まなかったのだが、ドンとの子供を宿したこともあります。
で、この曲がどの時点のとこを歌った歌かは定かではありません。
この曲では、“ぼくは努力したけど、うまくやれなかった。君にはこの世の愛では十分ではないようだ。”と歌われているので、恐らく別れた後の歌だろうとは推測できます。
そう考えると、結構重い歌ではあるが、曲のソフトな感じが、それを打ち消してとても聞きやすいポップロックになっています。
この曲はアルバムからの3rdシングルとしてカットされ、シングルチャート第34位、Mainstream Rockチャート第17位、Adult Contemporaryチャート第6位を記録しています。
やはり大人の歌なのです。
6曲目はアルバムタイトル曲、BUILDING THE PERFECT BEAST(ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト)。
不思議なイントロで始まり、不思議なノリだが、なんか癖になる歌です。
キャッチーという感じではないのだが、なんか病みつきになるリズム。
この曲のコーラスにはSCANDAL(スキャンダル)(日本のガールズバンドではない)のPatty Smyth(パティ・スマイス)(パティ・スミスでもない)が参加している。
ゴージャスなアレンジが意外と(!?)心地よい曲になっていますね。
7曲目はALL SHE WANTS TO DO IS DANCE(オール・シー・ウォンツ・トゥ・ドゥ・イズ・ダンス)。
またまたこれも前曲同様他では聴けない楽曲になっています。
これもゴージャスなアレンジで、またもここにTOTOのデヴィッド・ペイチとスティーヴ・ポーカロがシンセとプログラミングで参加しています。
まったくイーグルスのときからすると考えられない楽曲だ。
こんなのが突然出てくるから、やはりエイティーズはやめられないのだ。
これも不思議な魅力満載の病みつきソングである。
ボーイズ・オブ・サマーというあの高尚なシングルの次にこれが来るか、と驚かされたが、この曲は2ndシングルとしてカットされ、シングルチャートで第9位、Mainstream RockチャートではNo.1を獲得しています。みんなこの不思議なノリと魅力にやられたのでしょう。
8曲目はA MONTH OF SUNDAYS(マンス・オブ・サンデイズ)。
ピアノと、うっすらとかかるシンセをバックに歌い上げるバラードです。
バラードを歌ってもドンの声は絶品ですね。
9曲目はSUNSET GRILL(サンセット・グリル)。
前の曲に続いてそのままドラムが入り、サンセット・グリルの世界へ。
これもシンセが独特の世界を作り出しています。
シンセだけでなくホーンセクションもゴージャスに曲を飾っているが、他の何かとは似ていない独自の世界になっていますね。
後半はデヴィッド・ペイチのピアノソロなどを初めとして多くの楽器がかわるがわる曲を盛り立てています。
非常にオリジナリティあふれる楽曲となっています。
この曲は4thシングルとしてカットされ、シングルチャート第22位、Mainstream Rockチャート第7位、Adult Contemporaryチャート第18位を記録しています。
10曲目はDRIVIN’ WITH YOUR EYES CLOSED(ドライヴィン・ウィズ・ユア・アイズ・クローズド)。
これもまたユニークな楽曲になっています。
シンプルな楽器とシンプルなフレーズで雑多な雰囲気を作り出していますね。
早口のドンの声が乗ることで、ポップソングとして成立している。
これも不思議な、他ではあまり耳にしない新しい歌である。
癖になる曲が続々と現れるアルバムだ。
ラスト11曲目はLAND OF THE LIVING(ランド・オブ・ザ・リビング)。
この曲はレゲエっぽい雰囲気をたたえる楽曲になっています。
シンセのアクセントや、ベースが急に表に出てきたり、コーラスではパティ・スマイスの声が目立って曲を飾っていたりします。
しかしどんなパターンの曲でもドンが歌うだけで、彼のものになってしまいますね。
やはりイーグルスでの成功はフロックではないようです。
まとめとおすすめポイント
1984年リリースのDON HENLEY(ドン・ヘンリー)の2ndアルバム、BUILDING THE PERFECT BEAST(ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト)はビルボード誌アルバムチャートで第13位、アメリカで300万枚を売り上げました。
売り上げもチャートも順調に前作を上回って見せました。
このアルバムの特徴を一言で言えば、バラエティに富んでいる、というところになるでしょう。
さらに付け加えれば、オリジナリティにあふれているとも言いたいです。
アレンジが斬新な曲がたくさん含まれています。
イーグルス時代からすると、多方面に彼の方向性が広がったと言えるかもしれません。
これほどバラエティ豊かになった理由の一つは、やはり数多くのミュージシャンが参加しているところではないでしょうか。
TOTO一派、リンジー・バッキンガム、マイク・キャンベル、ベリンダ・カーライル、パティ・スマイス、あと僕の知らないミュージシャンもたくさん参加しています。
これらのミュージシャンたちが個性を持ち寄って、ドン・ヘンリーの世界を大きく広げたに違いありません。
やはり、イーグルスの看板を背負っていた、という肩書きは伊達ではなかったと言えるでしょう。
多くのミュージシャンを引き寄せるだけの魅力をドンは持っていたのです。
でもただ、まわりに持ち上げられたただのおっさんではありません。
ほとんどの楽曲で作詞作曲をし、ドラムをはじめ、多くの楽器を演奏してさえいます。
そしてもちろんあの渋いヴォーカルも、ドン独自のものです。
やはりイーグルスの肩書きと彼の持つポテンシャルを考えると、優秀な人たちが集まってきても当然と思えます。
イーグルスの雰囲気を期待すると、完全に肩透かしをくらうことになるかもしれません。
このアルバムは、もはや過去ではなく未来を見つめて作られた、ドンの新しい世界を提示するものとなっています。
優れたミュージシャンとともに作り上げられた、バラエティに富んだドン・ヘンリーの作品、一聴の価値はあると思います。
チャート、セールス資料
1984年リリース
アーティスト:DON HENLEY(ドン・ヘンリー)
2ndアルバム、BUILDING THE PERFECT BEAST(ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト)
ビルボード誌アルバムチャート第13位 アメリカで300万枚のセールス
1stシングル THE BOYS OF SUMMER(ボーイズ・オブ・サマー) ビルボード誌シングルチャート第5位、同誌Mainstream RockチャートNo.1、同誌Adult Contemporaryチャート第3位
2ndシングル ALL SHE WANTS TO DO IS DANCE(オール・シー・ウォンツ・トゥ・ドゥ・イズ・ダンス) シングルチャート第9位、Mainstream RockチャートNo.1
3rdシングル NOT ENOUGH LOVE IN THE WORLD(ノット・イナフ・ラヴ・イン・ザ・ワールド) シングルチャート第34位、Mainstream Rockチャート第17位、Adult Contemporaryチャート第6位
4thシングル SUNSET GRILL(サンセット・グリル) シングルチャート第22位、Mainstream Rockチャート第7位、Adult Contemporaryチャート第18位
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