ダイアモンドデイヴ ソロ第2弾 DAVID LEE ROTH - SKYSCRAPER(スカイスクレイパー)
前作EAT ‘EM AND SMILEのおさらい
1986年リリースの、DAVID LEE ROTH(デヴィッド・リー・ロス)の1stアルバム、EAT ‘EM AND SMILE(イート・エム・アンド・スマイル)は全米で第4位、200万枚を売り上げました。
古巣のVAN HALEN(ヴァン・ヘイレン)に対抗すべく、集められたバンドメンバーは、いずれも技巧派プレイヤーで、アルバムの端々にその超絶プレイを見せ付けるものとなってました。
そして、アルバム発表後のツアー終了後間もなく、同じメンバーでアルバムの製作にとりかかります。
引き続き、ギターのSteve Vai(スティーヴ・ヴァイ)、ベースのBilly Sheehan(ビリー・シーン)、ドラムスのGregg Bissonette(グレッグ・ビソネット)を従えて、前作同様、痛快な作品を作り上げました。
今日は、1988年リリースのデヴィッド・リー・ロスの2ndアルバム、SKYSCRAPER(スカイスクレイパー)をご紹介したいと思います。
SKYSCRAPER(スカイスクレイパー)の楽曲紹介
アルバムのオープニングを飾るのは、KNUCKLEBONES(ナックルボーンズ)。
ヴァイのギターリフのイントロがソリッドで心地よい。
デイヴは相変わらず、脳天気に歌っています。
なかなか痛快なハードロックです。
ギターソロはいかにもヴァイ、そのものです。
キャッチーで聴き易いオープニングになりました。
2曲目はJUST LIKE PARADISE(まるっきりパラダイス)。
もう、まさに80年代、まさにダイアモンドデイヴの真骨頂ポップソングだ。
この華やかなサウンド、ほんとに当時でしかありえなかっただろうな、と感じます。
80年代だからこそヒットした、名曲です。
ヴァイはこういうのをやりたかったのかは不明ですが、デイヴの発注どおりに仕上げてきてます。
ギターソロもハイテクではありませんが、非常に華々しく曲全体を彩ってます。
ポップでキャッチーなこの曲は、悩みなどふっとばす、痛快な出来です。
邦題には納得いかないものが多い中、この“まるっきりパラダイス”というのは100点満点挙げても良いです。
ほんとにデイヴの頭の中はまるっきり楽園状態だったと思われますので。
このただただ楽しい楽曲はアルバムの先行シングルとしてリリースされ、ビルボード誌シングルチャート第6位、同誌Mainstream RockチャートではNo.1に輝きました。
3曲目は、THE BOTTOM LINE(ボトム・ライン)。
非常に爽快なギターイントロで始まる、3連のノリのロックンロールだ。
リズム隊の音が、ちょうどHOT FOR TEACHERを思わせる。
少しヘヴィなリズムだが、非常にキャッチーでノリがよい。
ギターソロも爽快で、そのあとのビリーの高速ベースソロがまたかっこいい。
前の超明るいポップソングから一転、ノリノリのハードロックチューンである。
4曲目は、SKYSCRAPER(スカイスクレイパー)。
非常にスリリングな不思議な魅力のある楽曲だ。
SEたっぷりのイントロに絡んでくるヴァイのギター。
デイヴのヴォーカルも変幻自在なアレンジで曲を飛び回っています。
ヴァイのギターが随所で暴れまわっている。
最初の短いソロでは鋭いメロディを奏でているし、ソロでもたっぷり、ヴァイサウンドを繰り広げてます。
後半はタッピングハーモニクスで、美しい世界観をかもしだしている。
好みは別れると思いますが、僕は、このスリリングな感じは非常に好きですね。
A面ラストの5曲目は、DAMN GOOD(ダム・グッド)。
弾き語りのようなバラードだ。
ヴァイのアコースティックなギターが非常に美しい。
12弦ギターが使われているようで、とても繊細な美しいサウンドになってます。
その上でデイヴが歌い上げます。
もとはヴァイが14歳のときに作った歌らしい。
年の割りには非常に渋い歌である。
この曲は、Mainstream Rockチャートのみのチャートインで第2位を記録しています。
B面1曲目は、HOT DOG AND A SHAKE(ホット・ドッグとシェーク)。
痛快ハードロック作品だ。
やはり、ヴァイのギターが素晴らしい。
イントロから、まさに曲への関心を高める見事なギターリフによるイントロダクションだ。
途中のオブリも一つ一つが、かっこいい。
派手な彼のプレイが非常に似合うロックナンバーである。
そしてやはり特筆すべきは、ギターソロであろう。
超ロングトーンで待たせて待たせて待たせて、そして高速タッピングへ入る瞬間などは鳥肌ものだ。
ヴァイは完全に主役のデイヴを食ってる感が半端ないです。
2曲目は、STAND UP(スタンド・アップ)。
ビリー・シーンの渋いベースラインと、不思議な雰囲気のシンセが全編を彩る楽曲だ。
大人な雰囲気の曲と思いきや、サビはいつもの感じに変身だ。
やはりヴァイのギタープレイは各所で聴かせてくれてはいるが、この曲ではちょっと控えめな感じがあります。
とはいえ、ソリッドなギターがフィーチャーされたハードロックで、心地よく聴けます。
この曲はアルバムからの2ndシングルで、シングルチャート第64位、Mainstream Rockチャートでは第5位を記録しています。
3曲目はHINA(ヒーナ)。
イントロの左右に広がるギターリフがかっこいい。
やはりこの曲もヴァイのギターしか目だっていない。
そういえば、ここに来て、ビリー・シーンのベースを誉める部分が非常に少なかったことに気付いてしまった。
ヴァイの実験的なギターをいろんなところで楽しめる楽曲です。
曲は、まあ、普通である。
4曲目は、PERFECT TIMING(パーフェクト・タイミング)。
なかなか手堅く作られたロックソングだ。
キャッチーな中にヴァイのギターが相変わらず飛び回っています。
ギターソロは爽やかに奏であげてます。
アルバムラストは、TWO FOOLS A MINUTE(トゥ・フールズ・ア・ミニット)。
ゆったりロックだが、デイヴの好きなショウビズっぽいロックだ。
エンターテイナーになりたかったデイヴの大好物ではないだろうか。
ここにきてヴァイとビリーのバトルがやっと出てきます。
ヴァイも相変わらず弾きまくってますが、加えてビリーも各所でそのベースの速弾きを披露しています。
デイヴのアルバムラストにはふさわしいアメリカンなロックです。
まとめとおすすめポイント
この1988年リリースのデヴィッド・リー・ロスの2ndアルバム、SKYSCRAPER(スカイスクレイパー)はビルボード誌アルバムチャートで第6位、アメリカで100万枚を売り上げました。
前作と比べて、チャート、セールスともにダウンしてます。
このアルバムリリース直後にビリー・シーンはバンドを脱退してます。
そういえば、前作に比べればビリーの活躍が抑えられてる感じは否めません。
このテクニカルな面子のそろったバンドですが、前作よりその面でのパワーダウンはちょっと残念です。
前作同様、バンド内のバトルを繰り広げて欲しかったところですが、そのような楽曲は非常に少数になってしまってます。
デイヴが、そこを抑えてヴォーカル主導で行こうとしたのかはわかりませんが、技巧派バンドというにはちょっと寂しい出来になってます。
そこにビリーは不満を感じて辞めていったのかもしれません。
あと、ヴォーカルの異常なオーヴァーダビングも、今回顕著になってます。
何層にも重ねて録音してて、それはそれで楽曲に個性を持たせるのはいいのですが、ちょっとやりすぎかなって思ってしまいます。
やっぱりロックバンドは一発録りが理想ではないでしょうか。
あれだけヴォーカルがぶつ切りになると、ちょっと違和感を感じてしまいます。
まあ、文句ばっかり言いましたが、さすがにいい曲が揃ってはいます。
ヴァイは一人気を吐いてテクニカルな実験的なサウンドも聴かせてくれてます。
それにデイヴのヴォーカルもワンパターンではありますが、いい意味で安定しています。
ハードロックのヴォーカルに必要なキャラクターは相変わらずです。
ギターオリエンテッドなハードロックアルバムを好む方には、おすすめのアルバムとなっております。
チャート、セールス資料
1988年リリース
アーティスト:DAVID LEE ROTH(デヴィッド・リー・ロス)
2ndアルバム、SKYSCRAPER(スカイスクレイパー)
ビルボード誌アルバムチャート第6位 アメリカで100万枚のセールス
1stシングル JUST LIKE PARADISE(まるっきりパラダイス) ビルボード誌シングルチャート第6位、同誌Mainstream RockチャートNo.1
2ndシングル STAND UP(スタンド・アップ) シングルチャート第64位、Mainstream Rockチャート第5位