デビューシングル OIRANより カップリングトラック Monsters & Life

前の記事(NEMOPHILA(ネモフィラ)デビューシングル OIRAN)で、NEMOPHILA(ネモフィラ)のデビューシングルのタイトルトラック「OIRAN」について語りましたが、今回はそのカップリング曲について幾らか書いていきたいと思います。

1stシングル トラック2 Monsters

Monsters

作詞 mayu

作曲 SAKI

編曲 Kensuke Akiyama & SAKI

今回は作詞はヴォーカルのmayuちゃん、作曲はギタリストのSAKI(ちゃっきー)さんですね。
そしてこの曲では、秋山健介さんSAKIさんと共同での編曲とクレジットされています。
タイトル表記ですが、MonstersとMONSTERSと小文字大文字で2種類で出回ってますが、一応公式サイトのディスコグラフィよりここではMonstersを採用させていただいておきます。

 

この曲はデビュー前から演奏されていた曲で、当初は“BOOM”という曲名でプレイされていたようです。
最終的に、リアレンジを経てこの形、このタイトルになっています。

 

1曲目のOIRANから打って変わって、今回はシンセ始まりのイントロが印象的です。
シンセの音にヘヴィなバンドのサウンドが少しずつ加っていく構成からとてもかっこよく、本編への期待を高める秀逸なイントロダクションになってると思います。
ちゃっきーも、前曲OIRAN和の要素と、この曲での今っぽいシンセの派手な要素両方を軸として持っていたいと言っておられます。

 

mayuちゃん、今回はデスヴォイスなしでけっこうストレートに歌ってますね。
時折、巻き舌でねちっこく歌ったり、がなってみたりと、mayu節を効果的に入れながら、しっかりと歌に個性が感じられます。
このワイルドな雰囲気のヴォーカル、とても良いです。
サビメロはとてもキャッチーで、mayuちゃんノビノビ歌ってる感がとても爽やかです。
どのパターンで歌っても、魅力的に感じるのは、もはや僕のひいき目なのかもしれませんが、この曲はとりわけ一般受けもしそうなフックが効いてて好感が持てます。

 

詩の世界も、この勢いのある楽曲にピッタリあったものをmayuちゃんはひねり出してますね。
METALLION vol.69mayuちゃんは歌詞の方向性についてこう言ってます。

 

シンセサイザーの華やかなサウンドからダンスっぽいイメージが湧いたんです。そこから会場でハチャメチャになれる曲という感じになっていって、最終的にライヴをテーマにした曲にしようということになりました。

 

いやいや、見事にそのライヴ会場の世界観を歌い上げてると思いますね。
“爆音の世界”“溢れ出す光源”“容赦ない熱量”など、ライヴの雰囲気が漂うワードの数々が散りばめられてます。
また、サビでタイトルを歌ってますが、1回目は「I’m a “LIVE MONSTER”」2回目は「You’re “FLOOR MONSTER”」、ラストは「We’re ROCK’N MONSTERS」と歌い分けてます。
ライヴをプレイしてるバンド(I’m)、そしてフロアにいるオーディエンス(You’re)、最後に全員まとめてみんな(We’re)でロックしてるモンスターズって感じでしょうか。
熱いライヴを作り上げてる全員をモンスターに例えて、musicで踊り狂おうぜバカになって楽しもうぜ、という熱いメッセージを放ってます。
ライヴの熱さ、楽しさを凝縮したとても楽しい歌詞だと思いますね。

 

そして、その熱い歌詞を乗せる、バンドの熱い演奏も非常にいいです。
ヘヴィなギターリフを含むグルーヴィーなAメロBメロ、そしてサビでは倍テンとなり疾走感いっぱい、というこの緩急がすごくかっこよいです。
サビでちょいちょい現れる、高速ブリッジミュートが7弦ギターのせいか、非常に心地よい分厚さを感じられます。
ギターソロでは、どちらかというと速弾きよりメロディアスに奏で上げてる感じですね。
葉月ちゃんのメロディアスなプレイから、ちゃっきーのちょい速のプレイ、最後は二人のハモリツインギター、と鉄板の展開です。
2019年9月に開催された「METAL WEEKEND 2019」のオープニングアクトとして出演した、ネモフィラとしての初のライヴの時にすでにこの曲の原曲(タイトルはBoom)はプレイされていましたが、リリースまで少しづつ手を加えていき、最終的に非常にいい形に仕上がったと思いますね。

 

ネモフィラの公式YouTubeにはこの曲のライヴ映像が上がって、2021年5月の時点ですでに22万回以上再生されています。
この動画は、CD音源に、2020年12月26日に開催された『NEMOPHILA Streaming Show~忘年させないぞ会~』と題するワンマン配信ライヴの映像を合わせたものになってます。
動画を見てわかるように、ほぼほぼCDと同様のプレイをしてる様子が見られます。

 

間違いなく絶対ライヴでは外せない、熱くノリのよい楽曲になってます。

1stシングル トラック3 Life

Life

作詞 mayu

作曲 Kensuke Akiyama

編曲 Kensuke Akiyama

デビューシングルにして、早くも超名曲が収録されています。

 

この曲はOIRANと同様、秋山健介さんの作曲となってますが、いい曲作ってくれましたね。
ゴリゴリのロックだけでなく、こんなメロディアスな曲も作れるとは、ネモフィラもいいミュージシャンと出会ったんですね。

 

そして楽曲がいいのに加えて、mayuちゃんもいい歌詞を書いてますね。
音源を聴いて、2時間もしないうちに基本的な歌詞は書き上げた、と言ってますから、mayuちゃんの作詞の才能もほとばしってると思います。
メンバーの歴史みたいのが詰まったものを作りたかったみたいですが、まさにそんな思いの乗った素晴らしい歌詞だと思います。

 

OIRANとは打って変わって、非常に前向きな歌詞になってます。

間違っても、またゼロに戻らなけりゃいい
傷ついても、前へ前へ前へ今を進め
苦しくても、次へ次へ次へ強く歩け

まだバンドとして始まったばかりですが、それでもなんでも順調に行ったわけではないはずです。
そんな、壁にぶち当たりながらLife(人生)を歩んでいる人たちへの強力な応援ソングになってると思いますね。

ゆっくりと育てたを固くきつく抱きしめるんだ

地獄の雰囲気を持つ前の二曲を聴くと、愛について歌うとはとても思えないわけですが、ここでぶち込んできてます。
ここで言ってる愛は、単なる男女間のモノではなく、バンド間、家族間、ファンとの間などの広い意味での愛だと思えます。
そんな絆を深めたいという気持ちが、この愛という言葉に込められていると感じます。

 

ポジティヴな言葉の紡がれた歌詞が非常に良いわけですが、それがまた壮大なパワーバラードの楽曲に絶妙に練りこまれたところが二度目の美味しさだと思います。
イントロのタッピングに続くゆったりと壮大なギターソロメロディが、シンプルながらもエモい雰囲気を醸し出してます。
このソロメロディは、中後半でのシンガロングパートになるであろうコーラスでもリフレインされ、楽曲の壮大さに貢献していますね。

 

ヘヴィなギターバッキングリフも程よく抑えられ、バランスよくmayuちゃんのヴォーカルを引き立ててると感じます。
2番の歌メロのところで、ギター音が抜けて、音がたむちゃんのドラム&ハラグチサンのベースのリズム隊とmayuちゃんのヴォーカルのみになるアレンジも見事です。
またギターソロが非常にメロディアスで、二人で掛け合いをプレイし、最終的にはツインのハモリになるとこなんか最高の仕上がりだと思えます。
コーラス部分でのバックのソロもメロディ重視で、コーラスとの合わせ技で壮大さを演出してます。
この曲ではデスヴォイスやシャウトは封印され、mayuちゃん素のハスキーヴォイスが響き渡り、歌い上げています。

 

1枚目のCDにして、早くも最高級の名曲が誕生したと感じられます。

 

この曲に関してはネモフィラの公式YouTubeチャンネルに動画が挙げられていますが、これはCD音源に8/22の配信ライヴの映像と当日のバックステージの映像を合わせた映像として紹介されています。

この2020年8月22日の無観客ライブ配信は、「むらたたむ復帰!NEMOPHILA 1st Streaming Live」と題して行われたもので、もともと5月31日に行われるはずだったけどコロナで延期になった2ndワンマンライヴの代替のものとなってます。
たむちゃんが何から復帰したかと言うと、ご出産ですね。
5月2日に女の子の赤ちゃんを授かっておられます。
もともとのライヴの予定の5月31日は既に産休に入っておられたので、どっちにしろネモ5人でのライヴは出来なかったと思われますね。
8月22日に延期になったのは、結果オーライだったんじゃないでしょうか。
ちなみに、ネモフィラとしての1stワンマンライヴは2020年2月29日に行われてますが、この時もすでにたむちゃんは産休入りしており、代わりにSHOW-YAのドラマーの角田”mittan”美喜さんがサポートでドラム叩いてます。
つまり、ネモフィラの5人揃ってのライヴはかなり久しぶりだった、5人揃ってのワンマンは初だった、というのが大きなポイントとなってます。

 

久しぶりの5人揃ってのライヴでは、メンバーがたむちゃんにサプライズを仕掛けたようです。
ライヴのタイトルに「むらたたむ復帰!」を掲げておきながら、そのことに関してはライヴ終演までノータッチ
しかし終演後のアンコールで、たむさんに向けて歌います、と言って演奏されたのがこのLifeというわけです。

 

この辺のリアルな流れが、maspeedさんのブログに詳しく書かれていますので非常にありがたかったですね。
ぜひお読みください。

むらたたむ復帰! NEMOPHILA 1st Streaming Live 後編

 

ということで、このライヴ映像で見える通り、4人が円形になってたむちゃんに向かって演奏してるのにはそんないきさつがあった、という訳です。
間奏部分では、そのたむちゃんにネタ晴らし、というか、お帰りを歓迎してる様子が挿入されてます。
たむちゃんの瞳に浮かぶ涙が尊いですね。
さらに、たむちゃんを泣かそうと思ってたメンバーみんなが泣いてる、という、非常に心の温まるシーンになってます。
数か月の産休を経て、ネモフィラメンバーの絆が非常に深くなった瞬間だと思いますね。
本番直前に偽インタビューをたむちゃんに仕向けて、その間にステージの立ち位置を考えたりしてたみたいです。
リハでは、スタッフがちょっと口を滑らしかけたみたいですが、たむちゃんは気づいてなかったらしく、ほんとのサプライズが成功したようですね。
4人でわちゃわちゃとこんなサプライズを考えた様子を想像するだけで、幸せな気分にさせてくれます。

 

さらに、間奏の映像には、もう一つのサプライズとして、ハラグチサン葉月ちゃん遅ればせながらのハッピーバースデーの様子も挿入されています。
葉月ちゃんの誕生日は8月16日(一週間前!)、ハラグチサンに至っては4月19日(4か月前!!)というわけで、ハラグチサンなんかは誰の誕生日かわからずに一緒に歌ってたという・・・w。
結局コロナのために、そんなイベントも行うことができなかったということでしょうね。
でも、この件では残り3人のメンバーが、スタッフと共にバレないようにケーキの準備をしてたりするところが微笑ましいです。
映像にあるように、5人がめっちゃ楽しそうにケーキを食べたり笑いあってる様子を見るだけで、こっちも幸せに感じられます。

 

こんな出来事を踏まえてこのLifeの動画を見ると、見るたびに胸が熱くなってしまいます。
ほんとにいい曲だと思いますし、このライヴを通して深まったネモフィラのメンバーの熱い絆についても思いが及びます。
素晴らしい映像をアップしてくれてとてもありがたいですね。

 

また、この時のライヴ時のMCを文字起こしして記録に残してくれてた、「maspeedさんのブログ」管理人のまささんにも心より感謝したいと思います。

1stシングルまとめ

というわけで、2記事に渡ってネモフィラの1stシングルOIRAN収録の3曲を紹介してきました。
和の雰囲気を漂わせつつもメタルやグランジの味わいも感じられるOIRAN疾走感たっぷりで楽しく暴れまわるようなノリの良いMonsters、そして、メタリックなバンド演奏の中でも壮大でメロディアスな名曲Lifeといった、バラエティに富んだCDとなってると思います。

サイトのバンド紹介文では、

ラウドからグランジまで様々な要素を取り入れ、“音は地獄のように激しく、その他はゆるふわ”を標榜する地獄のゆるふわバンド。 予測不能でミクスチャーな佇まいと、ポジティブ系バキバキサウンドで世界に笑顔をお届け!

とあります。

ツインの7弦ギターや5弦ベースに支えられる地獄のようなメタリックなサウンドも非常に魅力的ですし、ミクスチャーという言葉から「様々なジャンルの音楽を混ぜ合わせた」という意味が連想されますが、確かにそういう意味でバラエティに富んでいるとも思います。
加えて、歌詞の世界に見られるポジティヴ要素も輝いてるのではないでしょうか。
そんな彼女たちの標榜するサウンドを、ギュッと凝縮したかのような1stシングルだと思います。

 

さらに、Lifeの映像でもわかるように、素の彼女たちは、ほんっとに「ゆるふわ」なんです。
誕生日ケーキのサプライズで無邪気に笑いあってる様子や、終わってやり切った感を全力で出してるとこなんかは、変にかっこつけてない感じが非常に好感を持てます。
この地獄サウンドとゆるふわガールズのギャップこそ、最大の萌えポイントだと僕は個人的に思っています。

 

ガールズロックバンドは数多くありますが、その中でも今、旬を迎えつつあるこのネモフィラというバンド。
しばらく目が離せなさそうです。